My Music Research10 年分のライブラリを、追加日順に
特集 ・ 約 19 分

共作は、出会う前と後でどう変わるか

準備、提案、参加

2006年12月、グウェン・ステファニー(Gwen Stefani)は、エイコン(Akon)とのセッションを一度キャンセルしたと思う、と話している。周りから組むよう勧められても、彼が誰なのか知らなかった。妊娠中で世間の動きに疎かったという。するとレーベルのトップから電話が来て、ほかは何を取りやめてもよいがこのセッションだけは取りやめるな、と言われた。1 エイコンの側は、話が来た時点で準備を始めていた。翌年1月の取材で、彼は話が来てからノー・ダウト(No Doubt)の盤から彼女のソロ作までを聴き直したと言い、「trying to figure out what's missing from what she's doing today(いまの彼女の仕事に何が欠けているかを探っていた)」と語る。2 片方は相手を知らず、もう片方は相手の過去の盤を聴き直していた。その二人が同じ部屋に入って、一曲ができた。共作する人たちは、会う前に何を用意し、会った後に何を提案し、どこから参加するのか。この特集では、2006年から2024年までの六曲について、本人や記者の言葉を、語られた年とともに、曲ごとのクレジットと分けて読む。

電話一本で動いた部屋 — 「The Sweet Escape」

先の二つの発言は、どちらも当時の米MTV Newsの記事に載ったものだ。ステファニーの話は、2006年12月4日、ジェニファー・ヴィンヤード(Jennifer Vineyard)による新作アルバムの紹介記事にある。1 エイコンの話は2007年1月29日、シャヒーム・リード(Shaheem Reid)がマイアミで彼の新しいビデオの撮影を取材した記事にある。エイコンはこのとき、インタースコープ(Interscope)のCEOジミー・アイオヴィン(Jimmy Iovine)がステファニーとスタジオで組ませてくれたと感謝していた。同じ記事によれば、彼は同社に自分のレーベルを立ち上げたばかりで、インタースコープのアーティストの何人かと仕事をしていた。アイオヴィンに「Hollaback Girl」の人と組まないかと聞かれ、一も二もなく引き受けたという。2 ステファニーの側の電話の主は「レーベルのトップ」とだけ語られていて、同じ人かどうかは記事からは確かめられない。

エイコンは準備の中身も話している。ノー・ダウト時代の彼女を大きくした音が、今度のアルバムには入っていない、というのが彼の見立てだった。ところが向き合って座ると、ステファニーの側にもたくさんのアイデアがあった。服のブランドなど手がけていることが多く、それを曲に取り込みたがっていた。そこで二人は、彼女のイメージやブランドの打ち出し方と重なる言葉を探し、ビートを聴いた彼女と一緒に書き始めた、とエイコンはいう。2 ステファニーの側の結論は短い。ありきたりなヒップホップになると思って行ったら、新鮮で楽しかった。1 ヴィンヤードは記事の地の文で、アルバムの幅の一つとして、エイコンがタイトル曲に遊び心のある旋律を考えたと書いている。1

同じ記事には、別の準備の仕方も出てくる。キーン(Keane)の鍵盤奏者ティム・ライス=オクスリー(Tim Rice-Oxley)とスタジオに入る前の晩、ステファニーは彼に電話して、どんなバラードが欲しいかを既存の曲名を挙げて伝えた。翌日、彼はピアノで一曲を弾いてみせたという。1 こちらは頼む側が前の晩に注文を出し、エイコンとの場合は頼まれる側が相手の過去を調べて臨んだ。同じアルバムの中で、準備を担う側が入れ替わっている。

配信サイトQobuzの曲別の表示では、「The Sweet Escape」の作詞作曲にステファニー、ジョルジオ・トゥインフォート(Giorgio Tuinfort)、エイコン(本名Aliaune Thiamの表記)が並び、プロデューサーにはエイコンとトゥインフォートが記される。3 部屋に入った二人の名前の横に、制作の三人目がいる。2022年のNicki Swift(ケイラ・リヴェラ Kayla Rivera)の記事は、当時のMTVの発言をつなぎ直してこの経緯をまとめている。4 本特集では出どころの2006年と2007年の記事に戻って読んだ。曲そのものの話はエッセイにある。

会う前に渡すノート — ザ・アヴァランチーズの流儀

準備を仕組みにしている作り手もいる。オーストラリアのザ・アヴァランチーズ(The Avalanches)は、ロビー・チャター(Robbie Chater)とトニー・ディ・ブラシ(Tony Di Blasi)の二人組だ。2020年11月、NMEのマイキー・ケイヒル(Mikey Cahill)による表紙の取材は、デビュー盤『Since I Left You』から二十年を経た三作目『We Will Always Love You』を、二人がメルボルンのロックダウンで互いに会えないまま仕上げた苦労を伝える。サンプルだけで作る自分たちを好む熱心なファンもいるが、U2の『Achtung Baby』のような方向転換がバンドを長く続けさせた、とディ・ブラシは同じ取材で話している。5

同じ記事によれば、二人には客演についての決まりがある。録音の約束をする前に、チャターは相手に自分の来歴を書いたノートを渡す。十代の頃の飲酒との闘い、二十代の自己免疫の病、六人から二人に減って「一枚だけのバンド」と呼ばれた長い時期のことだ。ディ・ブラシは、客演の歌手を並べただけのアルバムにはしたくなかった、ノートはみんなを同じ空気に乗せるために大事で、乗れなければ無理に曲にはしない、と話す。5 相手が用意してくる場合もある。ウィーザー(Weezer)のリヴァース・クオモ(Rivers Cuomo)の側からは、彼が温めている言い回しの一覧表がアシスタント経由で届き、一つ選んでよいと言われた。二人は三つ選び、クオモは了承したという。5

アルバムの発売日にNMEが載せた、客演者を一人ずつ語る記事では、会う前の記憶がさらに遠くまで遡る。チャターは、子どもの頃にオーストラリアのラジオでミック・ジョーンズ(Mick Jones)のビッグ・オーディオ・ダイナマイト(Big Audio Dynamite)を聴き、どうやって作っているのかと思った、それがサンプリングだった、と話す。6 共作の相手は、会うずっと前に、作り方の手本として一度出会っていた。以下の二節では、このアルバムを境に向きが入れ替わる二組を順に見る。

疲れた最終日に — 「Don't Forget Your Neighborhood」

同じ客演の記事で、チャターは「We Go On」の録音をこう振り返っている。ロサンゼルスのスタジオで丸二週間を過ごし、写真撮影もこなして、その日が録音の最終日だった。疲れていて、もう空港へ向かおうかと思うほどだった。そこでコーラ・ボーイ(Cola Boyy)に会い、たちまち目が覚めた。彼は賢く、政治的で、地元の共同体に情熱を持つ活動家で、だからミック・ジョーンズと同じ盤に彼がいるのが気に入っている、という。6 「We Go On」は2021年3月にビデオが公開され、NMEは同じ発言を引きながら、アルバムが2020年のオーストラリアン・ミュージック・プライズを受けたと伝えている。7

その二か月後に出た曲では、立場が逆になっている。2021年5月、コーラ・ボーイ(本名マシュー・ウランゴ Matthew Urango)は、アヴァランチーズとの「Don't Forget Your Neighborhood」を初のアルバム『Prosthetic Boombox』からのシングルとして出した。NMEのケイレブ・トリスカーリ(Caleb Triscari)は、アヴァランチーズが共作と制作を担ったと紹介し、ディスコの色を帯びた音が彼らの2020年のアルバムの曲に近いと評している。8 The Line of Best Fitの記事で、本人はビーチ・ボーイズ、フレンチ・ディスコ、ハウスの鍵盤、『Cheers』の音楽を混ぜたかったと語り、故郷オクスナードの人と場所を見捨てるなという曲のメッセージにも触れる。チャターは、これまで関わった中でも指折りの曲だと言葉を添えた。記事によれば、アルバムは米国とパリをまたいで六年かけて書かれた。9

Bandcampの曲別のクレジットは、この共作を細かく分けている。「Written by」はウランゴ一人、「Composed by」はウランゴとアヴァランチーズ。制作はアヴァランチーズとコランタン・“nit”・ケルドラオン(Corentin 'nit' Kerdraon)で、追加の制作にルイス・オフマン(Lewis OfMan)、ピアノにジョン・キャロル・カービー(John Carroll Kirby)、バッキング・ヴォーカルにデイヴィッド・ヌムワミ(David Numwami)、ミックスとマスタリングにも別の名がある。10 二つの表示の違いが何を分けているのかは、クレジットには説明がない。ここでは、一人の名だけで書かれた欄と、共作の名が並ぶ欄が別にあることだけを確かめておく。

Far Outのタイラー・ゴールセン(Tyler Golsen)は、この曲のビデオに、コーラ・ボーイ、アヴァランチーズ、カービー、ソフィー・ロイヤー(Sofie Royer)のZoomでの会話が入っていると書いている。同じ評は、彼の声や効果音の子どもっぽさが時に鼻につくとしながら、この曲には彼のいちばん良いところが詰まっていると結んだ。11 最終日のスタジオで会った人が、のちに画面越しに同じ曲の作り手として並んでいた。本人の取り合わせの言葉と担当表のずれについては、エッセイで読んでいる。

二つの楽屋の話 — 「All You Children」

アヴァランチーズの2020年のアルバムには、ジェイミー・エックスエックス(Jamie xx)も加わっていた。バンドのジ・エックスエックス(The xx)の一員で、ソロではDJ、プロデューサーとして活動する。客演の記事でチャターは、彼がどれほどアヴァランチーズを好きだったかを知ったのは、ジ・エックスエックスがメルボルンで演奏したときの楽屋だった、と話す。ロミー・マドリー・クロフト(Romy Madley Croft)が、彼がいつもメンバーに『Since I Left You』を聴かせていたとばらして、本人を赤面させたという。6 同じ記事で、ジェイミーは曲作りの途中で音を送る相手として頼もしかったと語られる。彼はある曲を「バンガー(盛り上がる曲)」と呼んで、それを送ってくれと言い、遅かった全体の速さを上げた。6 表紙の記事は、この「Wherever You Go」を、ネナ・チェリー(Neneh Cherry)、クリプソ(CLYPSO)、ジェイミーが参加した曲と紹介している。5

四年後、ジェイミーの側から、二人との初対面が語られる。Rolling Stone UKのウィル・リチャーズ(Will Richards)による2024年9月の記事では、十年ほど前、メルボルンの彼の公演に、本人の知らないうちに二人が来ていた。彼は偶然、『Since I Left You』のお気に入りの箇所をつないだメガミックスで公演を始めていて、終演後に楽屋で会った。ジェイミーは、すっかり舞い上がったと振り返り、あのアルバムは自分が11歳のときに出て、制作のやり方をほとんど教えてくれたと話す。12 同じ機会の話かどうか、二人がどう彼の熱意を知ったのか、二つの記事からは決められない。

記事によれば、ジェイミーは2作目のソロ・アルバム『In Waves』で、初めて外部のプロデューサーと組んだ。前作の作業がとても内にこもったものだったので、重圧を減らしたかったという。アヴァランチーズとは「All You Children」と「Every Single Weekend」の二曲を作った。記事の地の文は、スタジオに入った三人が、自分たちの作り方がとても似ていることに気付いたと書き、ジェイミーはその理由を、自分がアヴァランチーズの曲を土台に作り方を覚えたことに求めているという。12 「All You Children」は「Every Single Weekend」の長い版から生まれ、曲の始まりに置かれた声のサンプル13は、何年もジェイミーの手元で使われずに眠っていたと記事は伝える。12 彼は「I have an imaginary library in my head of everything I've always wanted to use(使いたかったものすべての、架空の図書館が頭の中にある)」と言う。12 初対面の日の彼は、相手のアルバムの断片を自分の公演の冒頭に並べていた。十年後の共作では、自分の手元に眠っていた断片を、相手と一緒に一曲へ組み込んでいる。

出会いの後の時間には、フロアもある。記事は、パンデミックの最初の数週間に彼がBBC Radio 1の「Essential Mix」を任され、古いお気に入りとしてフェラ・クティ(Fela Kuti)やアヴァランチーズを入れたこと、パンデミック明けから2024年初めまで、のちに『In Waves』に入る曲を仕上げの途中の状態でDJの場でかけていたことを伝える。マスタリング前の曲をかけても客が冷めなければ当たりだ、とジェイミーはいう。12 2024年7月30日、Young からシングルが出たとき、FLOODのウィル・シューブ(Will Schube)は、この曲がすでに彼のライブ・セットの定番になっていると書き、ジェイミーが寄せた言葉として、共作が新しい音楽の作り方を教えてくれたという一文を引いた。13 Qobuzの曲別の表示では、アヴァランチーズはプログラマーとプロデューサーにも名がある。14 2020年には相手の盤の曲を受け取って速さを上げる側だったジェイミーが、2024年には相手を自分の盤へ迎える側に回った。憧れが作り方へ変わる途中は、エッセイで詳しく読んでいる。

相手に「足りないもの」を尋ねる — 「Domino」

冒頭のエイコンは、相手の仕事に欠けているものを、会う前に自分で探した。同じ問いを、頼む側が相手に向けた例がある。フランスのマイド(Myd、本名クァンタン・ルプートル Quentin Lepoutre)は、リールに生まれ、DJ、ギタリスト、歌い手でもある作り手で、レーベルのエド・バンガー(Ed Banger)から2021年に初のアルバム『Born A Loser』を出した。15 そのアルバムを出した頃の取材で、彼はマック・デマルコ(Mac DeMarco)のスタジオで録った曲について、アルバムのための曲だと二人とも分かっていて、マックは自分の見方に付いてきてくれた、と話している。16 部屋を整えて音を選ぶ話は、エッセイにある。

一年後、話の向きが変わる。2022年の夏、メルト・フェスティバル(Melt Festival)の会場でtmrw Magazineの取材を受けたマイドは、アルバムを出した後の気分を二日酔いのようだと言い、また作り始めるために一緒に制作する相手を探した、と語る。ジャングル(Jungle)のスタジオへ行って「Domino」を作った。下書きは二日ででき、詞は家で書いて仕上げた。最初は、どうやって調子を取り戻せばいいのかと思っていた、いちばんの方法は、よその人に自分の作業へ入ってもらい、その人から見た自分のプロジェクトを説明してもらうことだ、という。17 ジャングルのトム・マクファーランド(Tom McFarland)のところへ行って最初に尋ねたのは、「What would be the missing piece of this puzzle?(このパズルに欠けている一片は何か)」だった。新しい章を開くためではなかった、ツアーと宣伝で、その力は残っていなかった、とも彼は言う。17

発売は2022年6月9日。18 FindYourSoundsに載った紹介文は、英仏海峡の両側のインディ・ダンスの二人が夏を前に手を組んだと書き、マクファーランドの制作による曲と打ち出した。15 一方、Qobuzの曲別の表示では、作曲にマクファーランド、サム・ティバ(Sam Tiba)、マイド、カルロス・ラヴァーボーイ(Carlos Loverboy)の四人が並び、プロデューサーに記されるのはマイドだけだ。18 紹介文の「共同制作」と、配信の担当欄の書き方は揃っていない。どちらかを誤りと決める材料はここにはない。7月には、ダン・シェイク(Dan Shake)らのリミックスが出た。紹介文によれば、ダン・シェイクは、ずっと前からマイドのファンで、リミックスを頼むメールが届いて舞い上がったと話している。19

一度断って、素材を求める — 「The Stars」

ジェフ(DJEFF)の話は、頼む側と頼まれる側の両方を行き来する。2018年8月、Electronic Grooveの紹介によれば、彼は1984年にリスボンで生まれ、ポルトガルとアンゴラの場で名を上げたDJで、取材の時点ではアンゴラに住み、2011年に自分のレーベルKazukuta Recordsを始めていた。20 同じ取材で彼は、ゼイクス・バントウィニ(Zakes Bantwini)との「Zugu Zugu」の成り立ちを話している。ロッテルダムのパーティーでボディ(Boddhi)に紹介され、演奏中のブースにゼイクスが入ってきて一緒に楽しんだ。終わった後、スタジオに入ろうという話になった。家に戻って手持ちのインストゥルメンタル(歌のない曲)を聴き直し、彼の雰囲気にいちばん合うと思う一つを送った。気に入ったという返事が来たとき、もう良い曲ができたと分かった、という。20

六年後、その立場が入れ替わる。リスボンのレーベル、ディスコテキサス(Discotexas)は、2007年にムリネックス(Moullinex)とシノビ(Xinobi)が始めた。21 2023年7月にシノビとメタ(Meta_)の「The Stars」を出したとき、シノビはこれを自分の曲の中でいちばん好きな曲の一つと呼んだ。22 2024年7月に出たジェフのリミックスについて、シノビは経緯を書いている。ジェフがこの曲のインストゥルメンタルをいつもかけていて、気に入っていると言うので、自然にリミックスを頼んだ。驚いたことに、完璧だと思う曲はリミックスできないと丁寧に断られた。その後ジェフに案が浮かび、ステム(パートごとに分けた音源)を求めてきたという。23 レーベルの紹介文は、ジェフを最近の仲間と呼び、これからレーベルと定期的に組む人と書いている。23 2018年のジェフは、会った相手のためにインストゥルメンタルを選んで送った。2024年の彼は、他人のインストゥルメンタルをかけ続けた末に、分解された素材を受け取る側に回った。依頼の時点と着手の時点が分かれていることは、リミックスの特集とエッセイでも扱った。

聴き慣れたデモを手放す — 「I Will Leave A Light On」

最後の例は、出会う前の相手が、長くスピーカーの向こうにいた人だった場合である。歌い手のジル(Jyll、本名ジル・バイスハイム Jill Beisheim)は、EDMTunesのアルピタ(Arrpita)による2026年4月の取材で、長年ストリート・ミュージシャンとして、ギターでフォークやインディ、ポップの曲を書いていたと話す。その頃は電子音楽をあまり聴いていなかったが、レーン8(Lane 8)とサルタン+シェパード(Sultan + Shepard)はよく聴いていて、深い歌でも踊れると教えられた。やがてプログレッシヴ・ハウスの曲で歌ってみないかと頼まれ、そこから電子音楽の側へ移ったという。24

「I Will Leave A Light On」は、彼女がその音に惚れ込んでいたル・ユース(Le Youth)と作り始めた曲だった。ある夜中、Wesという人からメールが届き、レーン8が曲に加わりたいと知らされた。レーン8は、彼女が電子音楽の世界へ入る大きな理由になった人だった。しばらくして二人から新しい版が届いたが、すぐには馴染めなかった。元のデモを何度も聴いていたので、その形を手放せなかったという。二人に、時間をかけて頭を慣らすよう言われ、やがて曲の特別さを感じ取れた、と彼女は振り返る。憧れていた人を怖がらなくていいと学んだ、とも話す。24 曲はレーン8のレーベル、This Never Happenedから2023年8月10日に出た。25 Dancing Astronautは同じ年の11月、この曲を自分たちの年間ベスト・トラックになるかもしれないと書いている。26

その後の動きは、ル・ユースの側のつながりから来る。Dancing Astronautによれば、ル・ユースは、『Reminders』で何度か組んだサルタン+シェパードと再び組み、この曲のリミックスを依頼した。サルタン+シェパード自身も、その年にレーン8のレーベルからアルバムを出していた。26 リミックスの拡張版は10月26日に出ている。27 ジルが電子音楽へ移る前に聴いていた二組のうち、一組は共作者として、もう一組はリミキサーとして、同じ曲に名を連ねたことになる。どちらも彼女が頼んだのではなく、レーン8は自分から加わりたいと言い、サルタン+シェパードはル・ユースが依頼した。

同じ取材は、その後も伝えている。のちのレーン8との曲「Stay Still a Little While」では、彼が家の物音まで入った一分ほどのピアノの断片を送り、ジルはほとんど一回で最初の歌を録った。送り返すときは緊張したが、前の曲と比べなくていいと言われて楽になり、その後の版は37くらいまで重なったかもしれない、という。24 最初の曲で届いた新しい版を受け入れるのに時間がかかった人が、次の曲では、最初の一回の録音から始めている。ライブラリの版は「Tritonia 475」の表記を持つリミックスで、その編集上の対応はエッセイの注にまとめた。

次に聴くなら

アヴァランチーズの2020年のアルバムから「We Go On」を聴き、続けて「Don't Forget Your Neighborhood」を聴いてみたい。ロサンゼルスの録音最終日に客演として現れたコーラ・ボーイが、のちに自分の曲にアヴァランチーズを迎えている。68 同じ二組が、迎える側と迎えられる側を入れ替えた二曲である。

この特集の曲

  1. The Sweet Escapeグウェン・ステファニー、エイコン2024年8月5日 追加
  2. Don't Forget Your NeighborhoodCola Boyy、アヴァランチーズ2021年5月31日 追加
  3. All You ChildrenJamie xx、アヴァランチーズ2024年8月5日 追加
  4. DominoMyd2022年6月10日 追加
  5. The Stars - DJEFF RemixXinobi、Meta_、DJEFF2024年7月11日 追加
  6. I Will Leave A Light On (Tritonia 475) - Sultan + Shepard Lights Out RemixLe Youth、Lane 8、Jyll、サルタン+シェパード2024年5月18日 追加

出典・注

[1] Jennifer Vineyard, Baby On Board! Gwen Stefani's Son Joins Her On LP, Spring Tour, MTV News, 2006年12月4日(元のページは現存せず、Wayback Machineの2016年10月18日の保存版で読んだ)。ステファニーの談話(セッションのキャンセル、レーベルのトップの電話、予想と実際)、ライス=オクスリーへの前夜の電話、エイコンが旋律を考えたという記者の地の文。

[2] Shaheem Reid, Akon Gets Sexy On The Beach For New Video, Raves About Working With Gwen, MTV News, 2007年1月29日(同じくWayback Machineの2016年10月18日の保存版)。アイオヴィンの仲介(記者の地の文)、エイコンの談話(準備、見立て、ステファニーのアイデア、書き始め)。

[3] The Sweet Escape / Gwen Stefani, Qobuz。アルバム2006年12月1日、タイトル曲の曲別表示(ComposerLyricist、Producer)。作業の分担の中身は表示されない。

[4] Kayla Rivera, Why Gwen Stefani Decided To Collab With Akon On The Sweet Escape, Nicki Swift, 2022年11月29日。MTV NewsとIdolatorの発言をつないだ記事であることの確認のみに使用。

[5] Mikey Cahill, On The Cover – The Avalanches: "Now we're just a regular band instead of the band who made an amazing debut", NME, 2020年11月25日。ロックダウン下の仕上げ、客演者へのノート(記者の地の文とディ・ブラシの談話)、サンプルのファンと『Achtung Baby』についてのディ・ブラシの談話、クオモの一覧表、「Wherever You Go」の参加者の紹介。

[6] Mikey Cahill, Johnny Marr, Tricky, Jamie xx… The Avalanches talk nearly every guest artist on new album 'We Will Always Love You', NME, 2020年12月11日。チャターの談話(ミック・ジョーンズの記憶、「We Go On」の最終日とコーラ・ボーイ、ジ・エックスエックスの楽屋、「Wherever You Go」でのジェイミー)。記事は談話をチャターのものとして紹介する。

[7] Josh Martin, Watch The Avalanches' clairvoyant video for 'We Go On', NME, 2021年3月19日。ビデオの公開と、2020年のオーストラリアン・ミュージック・プライズ受賞の記述のみ使用。

[8] Caleb Triscari, Cola Boyy releases 'Don't Forget Your Neighborhood', produced by The Avalanches, NME, 2021年5月26日。共作と制作の紹介、記者の曲評。

[9] Cerys Kenneally, Cola Boyy announces debut album with The Avalanches collaboration "Don't Forget Your Neighborhood", The Line of Best Fit, 2021年5月27日。コーラ・ボーイとチャターの談話、アルバムが六年かけて書かれたという記述。

[10] Don't Forget Your Neighborhood, Cola Boyy公式Bandcamp。『Prosthetic Boombox』(2021年6月18日)収録曲の曲別クレジット。「Written by」と「Composed by」の区別の意味は書かれていない。ライブラリのシングル版との同一性は確認していない。

[11] Tyler Golsen, Cola Boyy collaborates with The Avalanches, Far Out, 2021年5月27日。ビデオの内容の記述(Zoomでの会話)と記者の評。

[12] Will Richards, Jamie xx: wave after wave, Rolling Stone UK, 2024年9月9日。初対面の経緯(記者の地の文)、ジェイミーの談話(舞い上がったこと、11歳、制作、架空の図書館、DJの場での試し方)、外部プロデューサーとの初の共作、「All You Children」の成り立ちと声のサンプル(記者の地の文)、Essential Mix(記者の地の文)。

[13] Will Schube, Jamie xx Recruits The Avalanches for New Single "All Your Children", FLOOD, 2024年7月30日。ライブ・セットの定番、曲の始まりの声のサンプルという記者の記述と、ジェイミーが寄せた言葉。見出しの曲名は「Your」だが本文の談話では「All You Children」。

[14] All You Children / Jamie xx, The Avalanches, Qobuz。2024年7月30日、Young。曲別の役割表示(Programmer、Producer)。

[15] Myd releases soaring new single 'Domino' co-produced by Tom MacFarland (from duo Jungle), FindYourSounds, 2022年6月(ページに6月10日と12日の表示)。プレス文とみられるが、ページに出どころの明記はない。マイドの経歴、二人の組み合わせの紹介。本文中のマクファーランドの綴りはページに「MacFarland」とあるが、Qobuzの表記に合わせた。

[16] Brendan Hanson, Ed Banger's Next Sensation Myd: Exclusive Interview and Debut Album, CULTR, 2021年5月13日。マック・デマルコとの作業についてのマイドの談話のみ使用。曲名は記事の該当箇所に書かれていない。

[17] VIBING WITH MY DAT MELT FESTIVAL 2022, tmrw Magazine, 2022年(掲載日と署名はページから確認できない。本文はメルト・フェスティバル2022の会場での取材)。マイドの談話(アルバム後の気分、ジャングルのスタジオ、二日の下書き、詞、マクファーランドへの問い)。

[18] Domino / Myd, Qobuz。2022年6月9日、Ed Banger Records。曲別のComposer、Producer表示。掲載3分35秒とライブラリの3分36秒の差は未確認。

[19] Myd releases remix package for new single 'Domino' feat. Tom MacFarland of Jungle, remixes by Dan Shake, Busy P, FindYourSounds, 2022年7月(ページに7月8日と10日の表示)。ダン・シェイクの談話のみ使用。

[20] Djeff: "Africa is full of talented musicians that just need support and a stage to showcase their music", Electronic Groove, 2018年8月28日。冒頭の紹介文(生年、居住、レーベル)と本人談(「Zugu Zugu」の成り立ち)。ボディがどの人物かは談話に書かれていない。「The Stars」についての取材ではない。

[21] About, Discotexas公式サイト。レーベルの所在地、設立年、設立者。

[22] DT200: Xinobi & Meta_ - The Stars, Discotexas。原曲の紹介文と、シノビが自作でいちばん好きな曲の一つと呼んだという記述。ページに日付は無く、発売日(2023年7月28日)はシノビ公式Bandcampの曲ページの表示による。

[23] DT235: Xinobi & Meta_ - The Stars (DJEFF Remix), Discotexas。シノビの談話と、ジェフを紹介するレーベルの文。ページに日付は無く、発売日(2024年7月5日)はシノビ公式Bandcampの曲ページの表示による。

[24] Arrpita, EDMTunes Exclusive: Who Is Jyll? Inside Her Musical Journey, EDMTunes, 2026年4月22日。ジルの回想(ストリート・ミュージシャンの時期、よく聴いていた作り手、電子音楽へ移った経緯、「I Will Leave A Light On」の共作と新しい版、レーン8との次の曲)。原曲の共作についての回想で、サルタン+シェパード版の制作談ではない。「Wes」の肩書は原文に無い。

[25] I Will Leave a Light On, Le Youth公式Bandcamp。2023年8月10日、This Never Happened。

[26] Sultan + Shepard give Le Youth, Lane 8, and Jyll's 'I Will Leave A Light On' a melodic spin, Dancing Astronaut, 2023年11月3日(署名なし)。年間ベスト候補という評、ル・ユースによる依頼と前作での共作、サルタン+シェパードのアルバムの記述。

[27] I Will Leave A Light On (feat. Jyll) (Sultan + Shepard Remix) (Extended Mix), Le Youth公式Bandcamp。2023年10月26日、This Never Happened。ライブラリの「Lights Out Remix(Tritonia 475)」表記との対応は確認していない。