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2024年8月5日 追加

All You Children

Jamie xx、アヴァランチーズ / All You Children ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 2 分

憧れを、作り方に変える

好きなレコードから学ぶことと、その作者と一緒に作ることは、どうつながるのだろう。ジェイミー・エックスエックス(Jamie xx)は、アヴァランチーズ(The Avalanches)との「All You Children」で新しい音楽の作り方を覚えたと語る。1 この共作を、憧れの相手と名前が並んだ出来事としてだけ読むと、長く聴いてきた音楽が制作の知識に変わる、その途中を見落としてしまう。

断片を選ぶことも、作ることの入り口

Rolling Stone UKのインタビューで、ジェイミーはアヴァランチーズの『Since I Left You』について、自分が11歳のときに出たアルバムで、音楽制作を教えてくれたと振り返っている。初対面はメルボルンでの自身の公演だった。二人が来場していると知らずに、その盤のお気に入りの部分をつないだメガミックスを冒頭でかけ、公演後に会ったという。2 メガミックスは、複数の曲やその断片をまとめてつなぐミックスのことだ。

お気に入りの箇所を選び、隣に何を置くかを決める。こうして組み直すと、好きなアルバムが、自分でも扱える部品の集まりになる。断片を取り出すには、どこに惹かれたかを決めなければならない。つなぐには、その断片が前後の音とどう関わるかを考えなければならない。完成した作品への愛着に、自分で音を配置する経験が加わるのだ。

だから、この出会いには具体性がある。作者を前にして初めて敬意を示したのではなく、すでにその音楽を使って自分の公演を組んでいた。聴き手として蓄えた好みを、DJとしての選択に移していたのである。

名前の並びから、共同制作へ

「All You Children」のQobuzのクレジットには、アヴァランチーズがメインアーティストに加え、プロデューサーとプログラマーとして載っている。3 プログラマーは、音楽制作で機器やソフトウェアに音の動きを設定する役割を指す。ただし、この表記だけでは、二人がどの音を、どんな手順で作ったかまでは分からない。

そこで手がかりになるのが、FLOODに掲載されたジェイミーの言葉だ。彼はアヴァランチーズのサンプルの扱いと、異なる音を組み合わせる技術を挙げ、この曲の共同制作が新しい作り方を教えてくれたと話している。1 サンプルとは、既存の録音から取り出して制作に使う音の断片である。

完成した曲から学べるのは、ひとまず採用された結果だ。一緒に作る場では、何を選ぶか、どの組み合わせを残すかという、結果に至る選択にも触れられるだろう。ここで注目したいのは、長年の憧れが続いていることに加えて、学び方が広がったことだ。自分で選んで組み直してきた音楽の作者が、今度は同じ曲の作り手になる。「All You Children」という共作には、その距離の変化が刻まれている。

出典・注

[1] Will Schube, FLOODの新曲紹介(2024年7月30日)。ジェイミーの共同制作についての発言。記事冒頭の曲名には「Your」とあるが、共作者の発言中は「All You Children」と表記されている。

[2] Will Richards, “Jamie xx: wave after wave”(2024年9月9日)。初対面の紹介は記者の叙述、11歳と制作については本人の回想。11歳で初めて聴いたという日付の確定ではない。

[3] Qobuz「All You Children」の曲別クレジット。

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