四つの場面から、一曲だけ遠くへ
レーベルMoodfamilyの紹介文は、スタヴロズ(Stavroz)の『Gold Town EP』を、世界の謎めいた辺境へ向かう冒険のサウンドトラックとして描き、四曲を順に、旅の話として紹介した。1 ところが翌年2月、三曲目の表題曲だけが、ベルリンの集まりの名を冠した28曲入りのコンピレーションに入っている。2 旅の途中の一場面として紹介された曲が、ひとりで別の場所へ出ていった。
四つの場面
スタヴロズは、ベルギーの東フランダースでDJをしていた二人に、のちに二人が加わってバンドになった四人組だ。自分たちでレーベルMoodfamilyを始めた、と公式サイトは書く。3 EPは2017年5月26日にそのMoodfamilyから出た。4 紹介文は、前年8月の『Talabout EP』の物語を受ける短い詩句から始まる。45
紹介文によれば、一曲目「Whale Parade」は、何か月も森をさまよったあとに隠された土地へ導く序章で、ギター、ピアノ、打楽器が静かに入ってくる。表題曲では幌馬車に乗り、霧の山並みの怪しげな集落へ向かう。嘆くようなトランペットがそれに寄り添う。馬車が這うほどに遅くなると、四曲目「Ghajar」が現れる。ピアノと灼けつくようなシンセが旋律と物語を交わす、ダウンテンポの曲だという。1 二曲目「All Day I Zama」と、そこに入った旅先の録音は、「All Day I Zama」のエッセイと録音を材料にする特集で扱った。
Beatportの表示では、四曲のテンポは曲順に83、96、118、103BPM。ジャンルは中の二曲がOrganic House、最初と最後がElectronicaと表示される。6 数字の上では、旅は表題曲でいちばん速くなり、最後の曲で少し落ちる。紹介文が馬車の減速に重ねた「Ghajar」は、表示のテンポでも表題曲より遅い。
トランペットの曲
表題曲は、発売前日の2017年5月25日にバンドのSoundCloudへ上げられた。説明文にはEPの紹介文が引かれ、最後にトランペット奏者としてミロン・ラファイロヴィッチ(Miron Rafajlovic)の名が記されている。7 レーベルの紹介文でトランペットの名が出るのは、四曲のうちこの曲だけだ。
2026年9月の表示で、SoundCloudの再生回数は表題曲が約59万8千回、ほかの三曲は約6万2千回から13万2千回にとどまる。78 バンドのFacebookには、DJのソロムン(Solomun)の支持に礼を言う投稿があり、「Gold Town」の動画へのリンクが添えられている。9 公式サイトは、この曲をバンドの二つ目のヒットと呼び、BeatportのElectronicのチャートで何か月も1位を保ち、ゲーム『GTA 5』の音楽に加えられたと書く。3 いずれもバンド側の記述で、チャートの記録やゲームの側の資料は確かめていない。
28曲の中の一曲
2018年2月2日、表題曲はStil Vor Talentのコンピレーション『A Tribe Called Kotori』に、同じ5分43秒で収められた。紹介文によれば、A Tribe Called Kotoriはベルリンを拠点にする集まりで、先鋭的な音楽とサイケデリックな美術展示が一つの空気を作る。28曲はそれを体現するよう選ばれたという。2 同じ盤には、モノリンク(Monolink)の「Burning Sun」のリミックスと、アシッド・パウリ(Acid Pauli)の「Edda's Cumbia」も入る。2 二人が組んだ一曲は「New Morning」のエッセイにある。EPの紹介文が冒険のサウンドトラックと呼んだ曲は、紹介文を "The journey starts here."(旅はここから始まる)と結ぶ別の盤で、28曲の一つになった。2
出典・注
[1] Stavroz – Gold Town, Moodfamily公式ショップ。レーベルの紹介文。掲載日の表示はないが、同文は2017年5月のSoundCloudの説明文[7]にもある。各曲の形容はこの紹介文のもの。
[2] A Tribe Called Kotori, Beatport。Stil Vor Talent、SVT211X、2018年2月2日。紹介文(結びの一文の直接引用はここから)、収録28曲と参加者。表題曲の収録版は同サイトの曲ページ(5:43、2/2/18)による。
[3] About Stavroz, Stavroz公式サイト。掲載日表示なし、現在の紹介文。結成の経緯、レーベルの設立、表題曲のチャートとゲームへの採用はバンド側の記述で、個別には確認していない。
[4] Gold Town EP, Stavroz公式Bandcamp。発売日2017年5月26日、曲順と長さ、紹介文冒頭の詩句。
[5] Talabout EP (LUL009), Stavroz公式Bandcamp。発売日2016年8月15日。
[6] Gold Town EP, Beatport。Moodfamily、MF011。曲別のBPM、キー、ジャンル、長さの表示(ページ内の構造化データ)。テンポは配信側の表示で、実測ではない。
[7] Stavroz - Gold Town, Stavroz公式SoundCloud。2017年5月25日の投稿、説明文(トランペットのクレジット)、2026年9月29日読取時点の再生回数。説明文と数字はページ内の構造化データから読んだ。
[8] Stavroz - Gold Town EP, Stavroz公式SoundCloud。ほかの三曲の2026年9月29日読取時点の再生回数(ページ内の構造化データ)。
[9] Stavroz公式Facebookの投稿, Stavroz公式Facebook。投稿文と添えられたリンク。URLには solomun-playing-stavroz-gold-town とあるが、動画は開いておらず、ソロムンが曲をかけた場面かは未確認。投稿日不明。