短すぎる歌を、夜の長さへ
モノリンク(Monolink)の2015年ごろの紹介文は、ギターで書く歌には一つの欠点がある、と書いている。旋律と声があるから物語を語れるが、それはたいてい短い。
"all too often it's just a very short pleasure"(あまりにしばしば、ごく短い楽しみで終わってしまう)1
だから彼は、持続と同じ意味を持つ音楽、長いパーティーの夜に体で踊る電子音楽に惹かれた、と紹介文は続ける。1 アシッド・パウリ(Acid Pauli)と組んだ「New Morning」は、レーベルのページの表示で7分48秒ある。2 ギターの歌は短いと紹介された人が、8分近い曲をアシッド・パウリと出している。
ギターの人と、ベースから始めた人
モノリンクはベルリンを拠点にするシュテッフェン・リンク(Steffen Linck)の名義だ。紹介文によれば、北米のフォークやブルースを含む「ギター音楽」の出身で、いくつかのバンドでギターと歌を担い、DJとしても活動していた。典型的な作り方は、ギターで書いた一曲を背骨にして、打楽器やサンプル、たいていは即興のジャム・セッションで録った声の部分を重ねていくものだという。1 2019年の取材で彼は、15歳ごろにギターを覚えてバンドで演奏を始め、クラシックの訓練は受けなかったと話している。3
アシッド・パウリは、ドイツのバイエルン生まれのマルティン・グレッチマン(Martin Gretschmann)の名義で、パンク・バンドのベースから出発し、1995年にはコンソール(Console)という名義を始めていた。2020年、彼は自分の音楽をアンビエントとテクノの間にあるものと話している。4
同じ手法、違う方向
二人の「The End」EPは2015年3月30日、ドイツ北部メクレンブルクの集団から生まれたレーベル、3000° Gradから出た。表題曲、「New Morning」、三つのリミックスの5曲入りだ。2 レーベルの紹介文は、表題曲を、ギターの和音を解き放ち、電子のベースラインの周りで揺らしながら空間を満たし、ほろ苦い歌の背景を作る曲と描く。「New Morning」はそれと似た手法で別の方向へ向かう、深く映画的な曲で、感情のこもったシンガーソングライターの音楽と推進力のあるクラブの音が、無理なく交わる、という。2 リミックスではザ・ミクロノート(The Micronaut)が、この曲をブロークンビートの構造で組み直した。2 2020年の記事は、これをモノリンクの最初のEPと書いている。5
5年後の掲載
Beatportには「New Morning (Original Mix)」が三つのレーベル表示で並ぶ。2015年3月30日のrecordJet、2019年9月の3000 Grad、2020年5月のDeepalmaで、どれも7:48、120BPM、イ短調、ジャンルはElectronicaと表示される。6 2020年の版のページには、Beatportが編んだ「Best Sellers 2020: Electronica」のリストが掲載先として示されている。6
2019年の取材でモノリンクは、自分のライブはギターを弾いて歌うことを中心に組み、それをAbleton Liveに通し、ルーパーで電子の側を呼び込むと説明した。同じライブは二度とない、とも言う。3 2015年の紹介文も、彼がライブで元の歌をその場で演奏すると書いていた。1
出典・注
[1] Monolink, Amsterdam Dance Event(出演者紹介)。掲載日表示なし(2015年初めの「The End」までを記す紹介文)。同文が Embassy of Music のアーティスト紹介(旧ページ)にもある。直接引用はここから。本人談ではなく紹介文の記述。
[2] The End | Monolink & Acid Pauli, 3000° Grad(レーベル公式Bandcamp)。発売日2015年3月30日、曲目と表示時間(New Morning 07:48)、レーベルの紹介文と、レーベル自身の紹介。
[3] Aria Groove, Monolink: "No live set is ever the same and I really try to get the vibe of the audience", Electronic Groove、2019年12月13日。音楽を始めた経緯とライブの構成についての本人の回答。
[4] Grant Albert, The Mystical Sounds of Acid Pauli Still Transfix Listeners Two Decades Later, Miami New Times、2020年11月25日。グレッチマンの経歴(記者の地の文)と本人の発言。「New Morning」への言及はない。
[5] Interview with Monolink: a fictional goodbye letter, NIGHTMAG(Xceed)。2020年の取材。「The End」を最初のEPとする記者の地の文。
[6] New Morning (Original Mix), Beatport(recordJet、2015-03-30)。同じ題の3000 Grad版(2019-09-27)とDeepalma版(2020-05-29)。表示の長さ・BPM・キー・ジャンル、Deepalma版ページの掲載リスト。リスト内の順位や、どの版が売れたかは確認していない。