祖母に捧げた曲の、電子音の版と生音の版
2019年、レーベルHeavenly Sweetnessは、翌年のアルバムに先立つ最初の曲として、デイヴィッド・ウォルターズ(David Walters)の「Mama」を紹介した。バラフォンの木の響き、瞑想的なフルート、女声のコーラスが彼のクレオールの根に帰り、ニューヨークへ渡ったカリブの祖父を思い出させるが、何より祖母に捧げた曲で、最後の数小節では祖母自身が言葉を語る、という。制作は、リヨンのパッチワークス(Patchworks)と組んで行ったと書く(レーベルの宣伝文)。1 配信の単曲は2019年6月28日の日付で、3分44秒である。2
一度しか会わなかった祖父
2020年1月、アルバム『Soleil Kréyol』の発売を前に、Pan African Musicのエロディ・マイヨ(Elodie Maillot)は、彼の歌うクレオール語を、マルティニーク出身の母と祖母から家で聞いた、子ども時代の言葉だと書いた。3 同じ記事で本人は、アルバムを70年代のニューヨークに渡ったアンティル諸島の移民を思い描いて映画のように書いたと話し、その執筆中に母から聞いた祖父の話を続けている。
« mon papi Nelson, que je n’ai vu qu’une seule fois dans ma vie »(生涯に一度しか会わなかった祖父のネルソン)3
祖父は子どもの頃の夢を追ってアンティル諸島からマンハッタンへ渡り、昼は料理人、夜はクラブでタップを踏んでいたという。3 Outremers360は、祖母をマルティニーク、祖父をセントクリストファー・ネイビスの出身と伝えている。4 『Soleil Kréyol』では、「Mama」は5曲目に入った。2
電子音の版と生音の版
曲は形を変えていく。2019年10月には、パッチワークスの版、ウォルターズ自身の版、デニ・シャン(Déni-Shain)とミスター・フランキー(Mister Francky)の版を加えた単曲が出た。2 レーベルはパッチワークスの版を、ロイ・エアーズ(Roy Ayers)やロニー・リストン・スミス(Lonnie Liston Smith)の響きを持つジャズ・ファンクで、バラフォンの撥がビブラフォン奏者の手に渡る、と紹介する。1
2021年2月のアルバム『Nocturne』では、「Mama (Unplugged Version)」の名義に、チェロのヴァンサン・セガール(Vincent Ségal)、コラのバラケ・シソコ(Ballaké Sissoko)、ロジェ・ラスパイユ(Roger Raspail)が並ぶ。25 その年の10月のリミックス盤について、Accent Presseの紹介ページは、『Nocturne』を全編アコースティックの盤と呼び、ヘンリク・シュヴァルツ(Henrik Schwarz)がこの版を、コラとチェロとウォルターズのギターが行進のような拍と電子音に絡む曲に組み直したと紹介している。同じページは、エボ・テイラー(Ebo Taylor)のリミックスで、ドイツの電子音楽の厳密さと世界の音楽を結べることを示した人として、シュヴァルツを紹介する。5 その版を含む、エボ・テイラーとパット・トーマス(Pat Thomas)の録音の作り変えは「ハウスを修飾する言葉」にある。
出典・注
[1] David Walters – Mama EP, Heavenly Sweetness 公式(仏語・英語、日付表示なし)。曲の紹介とパッチワークスとの制作、パッチワークスの版の紹介(いずれもレーベルの宣伝文)。同じ文は公式Bandcampの曲のページ(released July 4, 2019)にもある。
[2] iTunes Search: David Walters Mama, Apple(フランス)。「Mama - Single」2019-06-28・223,580ミリ秒、同名の単曲に3つのリミックスが加わった版(2019-10-11)、『Soleil Kréyol』5曲目(2020-01-31)、『Nocturne』9曲目「Mama (Unplugged Version)」(2021-02-05、名義 Vincent Ségal, David Walters, Ballaké Sissoko & Roger Raspail。楽器は[5]による)、『Nocturne Remixes』1曲目のHenrik Schwarz Remix(2021-07-16)の表示。
[3] Elodie Maillot, David Walters : le monde dans un rayon de soleil kréyol, Pan African Music、2020年1月28日。仏語の記事。クレオール語についての記述(記者の地の文)、アルバムと祖父についての本人の言葉(直接引用はここから)。
[4] Jean-Tenahe Faatau, « Soleil Kréyol », le nouvel album épicé et ensoleillé du musicien antillais David Walters, Outremers360、2019年12月25日。祖父母の出身(記者の地の文)。
[5] Nocturne Remixes, Accent Presse(報道向けの紹介ページ)。「Sortie le 1er octobre 2021」、Heavenly Sweetness。各リミックスの紹介(宣伝文)。Appleの盤の日付も2021年10月1日(℗ 2021 Heavenly Sweetness)。曲には2021年7月16日の日付が付く。Schwarzをエボ・テイラーのリミックスで紹介する一文もここから。