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2023年6月5日 追加

Woman

Barry Can't Swim、Låpsley / Woman ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

使えなかったサンプルと、アルバムの息つぎ

バリー・キャント・スウィム(Barry Can't Swim)の「Woman」は、別の誰かの声から始まった。Apple Musicのアルバムのページに載る曲ごとの解説で、本人は、ボーカルのサンプルから作り始めたものの権利の許諾が難しくなり、ラプスリー(Låpsley)に連絡して歌を録ってもらったと話している。録ってもらった声は元のサンプルより「10倍いい」とも言う。1 同じアルバムで許諾が通ったサンプルの話は「Dance of the Crab」にある。

曲は2023年5月31日にNinja Tuneから出た。同じ日に彼は、初のアルバム『When Will We Land?』を10月に出すと発表している。2 Mixmagが載せた本人の言葉では、送るとすぐにラプスリーがとんでもない声を返してきて、それを切り刻んで並べ替えたら、すべてがうまくはまったという。23 ラプスリーはマージーサイド出身の歌い手だ。4

前の曲との距離

その年の2月に出た「Sunsleeper」を、本人は純粋なパーティーのエネルギーと呼んでいた。5 Beatportの表示では、「Sunsleeper」は124 BPMでジャンルの欄はNu Disco / Disco、「Woman」は102 BPM、B♭メジャーで、ジャンルの欄はElectronicaだ。67

Notionの聞き手も発表直後の取材で、前の曲よりやや落ち着いた曲だと切り出している。4 本人のアルバムの解説も同じ方を向く。かなりダウンテンポでゆったりした曲で、その頃は90年代の終わりの電子音楽をよく聴いていた、と。

"I think an album needs these more chilled, reflective moments to break things up."(アルバムには、流れを区切る、こういう落ち着いた、内省的な時間が要ると思う)1

同じ取材で彼は、アルバムではエネルギーを軸にクラブの曲を書くことから離れ、感情とメロディに重きを置いた立体的な曲作りを目指したと話した。4 10月に出たアルバムでは、「Woman」は11曲の6曲目に、単曲と同じ3分52秒で入っている。8

静かな方へ、一人だけ別の方へ

評者の多くは静かな方に耳を寄せた。Notionのリアム・カターモール(Liam Cattermole)は「シューゲイズとハウスの交差」と呼び、力で押すクラブの曲から離れて物思いに沈む光景へ向かう曲だと書き、4 音楽ブログStereofoxのルー(Lu)はカラフルなアートワークとは対照的な、深く内省的な調子を聞き取った。9 一人だけ違う方を向いたのがThe FADERのアリエル・ラナ・ルジャード(Arielle Lana LeJarde)で、女性への頌歌、猛々しいアンセムだと書いている。3

ライブの中ほどで

2年半後の2025年11月21日、マンチェスターのThe Warehouse Projectでのライブ(29日にBBC Radio 1のEssential Mixとして放送)。投稿型の曲目表MixesDBでは、ライブの部分の5曲目に「Woman」が載り、最後は「Sunsleeper」だ。10 アルバムの流れを区切るために置いたと本人が話した曲は、ライブでも、始まりでも終わりでもない場所に置かれていた。その位置に息つぎを重ねるのは曲目表を読む側で、本人はライブの並びを語っていない。

出典・注

[1] When Will We Land?, Apple Music(米国)。曲ごとの解説(掲載日の表示なし)。サンプルの許諾、ラプスリーへの依頼、ダウンテンポ、90年代の終わりの電子音楽、直接引用(「Woman」の項の最後の一文)に使った。

[2] Gemma Ross, Barry Can't Swim announces anticipated debut album 'When Will We Land?', Mixmag、2023年5月31日。発表の日付、アルバムの発売月、本人の言葉、ラプスリーを「English singer-songwriter」とする紹介に使った(本文の一行紹介はNotion[4]のマージーサイド出身に寄せた)。記事も「shoegaze-house crossover」の語を使っており、Notion([4])と同じ言い回しなので、発表時の資料に由来する可能性がある。

[3] Arielle Lana LeJarde, Song You Need: Barry Can't Swim believes God is a woman, The FADER、2023年6月14日。[2]と同じ本人の言葉を、発表文からの引用として載せている(独立の資料には数えない)。評者の読み(女性への頌歌、アンセム)に使った。記事には歌詞の引用があるが、使っていない。

[4] Liam Cattermole, Barry Can't Swim is Ready for a Stratospheric Summer, Notion、2023年6月2日。ラプスリーの紹介、聞き手の問い、アルバムについての本人の答え、評者の記述に使った。頁には2024年5月3日の日付も併記され、前年夏の取材の再掲として前書きが付いている。この取材で「Woman」の成り立ちを問われた本人は、年の最初を派手に始めたかった、DJセットを見据えたパーティーの曲を出すのは久しぶりだと答えているが、内容が「Sunsleeper」発売時の本人の言葉([5])とほぼ重なるため、「Woman」についての説明としては使っていない。

[5] Barry Can't Swim, Sunsleeper, Bandcamp(本人頁)、2023年2月21日。「Sunsleeper」についての本人の言葉(発売時の紹介文の中の引用)。

[6] Sunsleeper (Original Mix), Beatport, 曲のページの表示。BPM・ジャンル。

[7] Woman (Original Mix), Beatport, 曲のページの表示。BPM・キー・ジャンル、発売日5/31/23、長さ3:52、レーベルNinja Tune。

[8] iTunes Lookup: When Will We Land?, Apple(米国)。アルバムの日付欄2023-10-20、6/11曲「Woman」232,057ミリ秒。単曲と同じ録音かどうかは確かめていない。

[9] Lu, Barry Can't Swim Welcomes Us To an Introspective Mood on "Woman", Stereofox、2023年6月。評者の記述に使った。コーラスのラプスリーの声が曲に命を吹き込むという記述もある。投稿型の音楽ブログの評。

[10] 2025-11-21 - Barry Can't Swim (Live PA) @ Earth's Only Paradise, The Warehouse Project, Manchester (Essential Mix, 2025-11-29), MixesDB。ライブの部分の曲順に使った。「Woman」の前には「Kimbara」や「Blackpool Boulevard」、後ろには「Kimpton」が並ぶ。利用者が書き込む曲目表で、頁自体が「incomplete」(不完全)と表示している。「Kimpton」は曲目表ではオフリン(O'Flynn)との共作名義。

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