ドラムの力と、声の穏やかさ
ある曲が励みになるという思いを、どんな音の組み合わせから読むか。ソフィア・クルテシス(Sofia Kourtesis)は、痛みや悲しみ、浮き沈みの中でも音楽は気分を良くしてくれると、「How Music Makes You Feel Better」を紹介する際に語っている。1 曲評にあるドラムと声の関係は、その思いを考える具体的な手掛かりになる。
前へ押す音と、穏やかな声
Stereofoxのイヴォ(Ivo)は、この曲のドラムに押し出す力を感じ、穏やかな歌声を曲の背骨と評する。2 ドラムを曲の動きを支えるもの、声をその流れの中で受け取る感触として読むと、一曲の力を複数の役割から考えられる。
リズムの勢いと、声の穏やかさは、別々に説明できる性質だ。音楽が励みになるという話を読むときにも、音量や勢いだけでなく、強い動きの中にどんな声が置かれているかという視点を持てる。
作り手にも、後押しする相手がいる
この曲を収める『Madres』について、クルテシスは共同制作者のデイヴィッド・クラゼマン(David Krasemann)に謝意を示している。KALXのインタビューでは、自分を勇敢にし、限界まで押してくれた人だと話す。3
聴き手へ渡す音楽を作る側にも、試してみる勇気を支える相手がいる。共同制作は、担当を分けることに加えて、一人では踏み出しにくい試みを後押しする関係にもなる。
本人が音楽について語る励みと、制作の相手について語る勇気を並べると、作品の力を一人の内面だけへ閉じ込めずに考えられる。聴き手が受け取る一曲の背後には、作り手自身が誰かに支えられる時間もある。
出典・注
[1] Arielle Lana LeJarde, The FADER「Sofia Kourtesis shares “How Music Makes You Feel Better”」(2023年9月27日)。音楽への本人の思い。医療効果の一般的な確証や歌詞の説明として扱わない。
[2] Ivo, Stereofox「How Music Makes You Feel Better」(2023年11月)。曲評。本人引用の部分は[1]と同じ発言で、独立した証言を増やすものではない。
[3] KALX「Sofia Kourtesis Interview」。『Madres』全体の共同制作についての本人談。本曲の具体的な録音・ドラム・歌唱の担当や、この組み合わせを選んだ原因へ移さない。