エッセイ ・ 約 2 分
楽器を減らして、曲の重心を変える
リミックスでは、新しく足された音に加えて、外された音も比べてみたい。「San Lázaro」のボスク(Bosq)版は、楽器の数と役割を別々に考える具体例になる。
ピアノの不在と、ベースの前景
公式紹介では、原曲にあったロベルト・ヴァルデスのピアノがなくなり、ギターが漂うとされる。ベースラインをグルーヴの前へ押し出し、打楽器を踊る人へ向けるという説明だ。1 グルーヴは、音の位置や繰り返しが生むリズムの感触を指す。
ある楽器を外すと、その楽器の音だけが減る。だが、同時に鳴る別の音への注意も変わりうる。これは一般的な聴き比べの考え方で、本曲の操作手順を示すものではない。紹介の二つの変化を読むと、リミックスを音の追加数で比べるより、どの楽器が曲を引っ張るようになったかを比べるほうが具体的だ。
録音で集め、作り替えるときに選ぶ
原曲を収める『Estrellas』について、ガッツ(Guts)は、キューバでの録音計画がパンデミックのためダカールへ移り、17日間の録音を行ったと回想する。2 これは盤全体の制作背景である。
録った音をすべて使うことだけが、演奏を生かす方法ではない。リミックスでは、鳴らさない音も選択の一部になる。
出典・注
[1] Guts公式Bandcamp『Estrellas - Remixes』。ボスク版についてのレーベル紹介で、本人の工程取材ではない。具体的な加工や奏者の録り直しは未確認。
[2] Guts公式Bandcamp『Estrellas』。盤全体の回想。ダカールの録音を本リミックスの制作場所へ移していない。