My Music Research10 年分のライブラリを、追加日順に
2016年10月4日 追加

Primative People

Mano Le Tough / Changing Days ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 2 分

一曲の広がり、一枚のまとまり

このライブラリの記録に残る最古の日、2016年10月4日には、マノ・ル・タフ(Mano Le Tough)の曲が11曲追加されている。「Primative People」を含む10曲の盤名は『Changing Days』だ。曲ごとに残る記録が、一枚のまとまりも残している。マノ自身のアルバム観と、この曲がリミックスで広がった経緯を並べると、曲と盤、それぞれの大きさで作品を見る理由が分かる。

一曲が、別の作り手の手へ渡る

Resident Advisorのデレク・ミラー(Derek Miller)は、『Changing Days』の曲をそれぞれ書き分け、「Primative People」を、目が回り、方向感覚を失うような曲と評している。1 これは評者による曲の捉え方だ。同じ盤の中に異なる手触りの曲があることを、個々の曲について書くことで伝えている。

その一曲は、後にディクソン(Dixon)とテイル・オブ・アス(Tale of Us)のリミックスを伴う形でも出た。XLR8Rのインタビューで、マノはその盤を巡る報道よりも、皆がかけていたという実際の広がりの方が大きかったと振り返っている。2 リミックスは、既存の曲の素材を使い、音の組み合わせや展開を作り直す版である。

この曲では、リミックスを手がけた二組の仕事が加わっている。さらにDJが選んでかければ、他の曲との並びの中にも置かれる。マノの回想が示すのは、評価の言葉に加えて、誰かが曲を使うことも作品の広がりを作るということだ。ただし、本人が話す夏の年や、各DJが使った版までを、この発言から決めることはできない。

一枚で、自分を表す

Totally Dublinで、マノは好きな曲だけをオンラインで選べるようになったことを認めながら、アルバムはいまも作家として自分を表す最良の方法だと語っている。自分でも気に入った盤は通して聴くという。3 一曲の広がりを経験した人が、一枚のまとまりにも価値を置いているのである。

盤を通して聴くと、一曲の特徴は、前後との違いも含めて受け取れる。緊張する曲の後に何が来るか、声のある曲とない曲がどう並ぶか。一曲ごとの長所に加えて、その変化を組むことで伝わるものがある。

公式の『Changing Days』では「Primative People」は六曲目にある。4 ライブラリの最古の日に記録された11曲は、同盤名の10曲と、別の盤名を持つ「Started Running」一曲だった。追加日の一致は、通して聴いた証拠にはならない。それでも、個々の曲を選ぶ記録の中に、一枚分の曲がそろっていることは確かだ。

一曲の特徴を知ること、リミックスで別の形を知ること、一枚の中の位置を知ること。それぞれで作品の見え方は変わる。DJに選ばれる一曲として広がりながら、作者が一枚で伝えようとした音楽の一部でもあり続ける。

出典・注

[1] Derek Miller, Resident Advisor『Changing Days』評(2013年3月8日)。記事では曲名を「Primitive People」と表記。本稿はライブラリと公式曲目の「Primative」を用いる。

[2] William Ralston, XLR8R「Interview: Mano Le Tough」(2015年11月5日)。原曲と後続のリミックス盤についての回想。具体的な使用版やセットの再現ではない。

[3] Totally Dublin「Mano Le Tough Interviewed」(2013年7月1日)。本人のアルバム全体への姿勢。本曲の曲順をどう設計したかという発言ではない。

[4] Permanent Vacation公式Bandcamp『Changing Days』。掲載発売日は2013年2月22日。

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