長さを比べる、展開を読む
イアン・プーリー(Ian Pooley)の「CompuRhythm」には、Original、ディクソン(Dixon)の4/4 Treatment、バイカル(Baikal)のRemixがある。1 三つを曲の長さで比べることと、曲がどこへ向かって展開するかを読むことは、異なる比較になる。
三つの版と、曲目の並び
プーリー側のBandcampは、Originalを6分42秒、Dixon版を8分11秒、Baikal版を10分30秒と表示する。1 同じ題の曲でも、ここに並ぶ三つの尺は異なる。最も長い版を選ぶことと、目的に合う版を選ぶことは一つではない。
Innervisionsの公式曲目ではDixon版がA1、OriginalがA2、Baikal RemixがB1に置かれる。2 Originalを先頭にするBandcampと比べると、こちらはDixon版から三つを見渡す並びだ。曲目の順序も、どの版をまず提示するかという違いを伝える。
ブレイクを経て、もう一度高まる
Mixmagのパトリック・ヒントン(Patrick Hinton)は、Dixonが元の素材をダンスフロアへ焦点を絞った版と評する。曲は中央のブレイクダウンへ向けて育ち、そこから再び高まる、と記した。3
ブレイクダウンは、いったん曲の要素を減らして展開に区切りを作る部分を指す。ヒントンの記述を読むと、フロアへの焦点は、音を鳴らす勢いだけでなく、区切りを経て高まり直す時間の配分にも結び付いている。
8分余りという尺は全体の長さを示すが、この区切りと再上昇の関係までは伝えない。Dixon版を考えるとき、長いという数値に加え、どこで流れをほどき、どこで再び集めるかという構成の読みが残る。異なる組み直しの仕事を扱うリミックス特集とも、版名だけでなく音の役目を比べる点でつながる。
出典・注
[1] CompuRhythm EP, Ian Pooley公式Bandcamp。掲載の三版と曲尺。
[2] Ian Pooley — Compurhythm EP, Innervisions公式アーカイブ、IV40。曲目の配置。
[3] Patrick Hinton, 10 essential Innervisions tracks, Mixmag、2015年9月18日。Dixon版の展開についての批評。