最初の一枚の、最後の溝
スキント(Skint)のカタログ番号SKINT 1は、ファットボーイ・スリム(Fatboy Slim)の「Santa Cruz」だった。1 その12インチには4曲が刻まれ、最後に置かれたのが「Neal Cassady Starts Here」だ。23 1996年のアルバム『Better Living Through Chemistry』には、この曲は入らなかった。同じ題の曲がアルバムの再発に加わったのは、2016年の20周年盤でのことだ。
最初の三枚
スキントは、ブライトンのレーベル、ローデッド(Loaded Records)の分家として始まった。14 2014年、DJ Magのアンドリュー・ホワイトハースト(Andrew Whitehurst)の記事で、ダミアン・ハリス(Damian Harris)は、スキントを始める許可が出たとき、最初の三枚を探すよう言われ、ノーマン・クック(Norman Cook)なら分かってくれると思った、と振り返っている。求める音を、ハリスはヒップホップの押しの強さとブレイク、アシッドハウスの高揚、ロックの態度、と言い表している。4
一枚の12インチに並んだ題
SKINT 1の曲目は、「Santa Cruz」「Weekend Bonus Beats」「The Weekend Starts Here」「Neal Cassady Starts Here」の順だ。23 後ろの二曲は、同じ「Starts Here」で終わる題を並べ、片方は週末を、もう片方は一人の人物の名を掲げる。1曲目の「Santa Cruz」がロンドンのクラブでかけられた経緯は、「Santa Cruz」のエッセイにある。
ニール・キャサディ(Neal Cassady)は、ビート・ジェネレーションの象徴的な人物だ。ジャック・ケルアックの『路上』に登場するディーン・モリアーティのモデルとして知られ、1960年代にはケン・キージーの一団のバス「ファーザー」を運転した。5 題の由来をクックが語った言葉は見当たらない。
アルバムが拾ったもの、残したもの
2018年、909originalsの取材でクックは、『Better Living Through Chemistry』はそれまでの12インチをほぼ一枚にまとめたものだったと振り返っている。6 20周年盤の一枚目では、「Santa Cruz」の長尺版(Extended)が2曲目、「The Weekend Starts Here」が4曲目にある。7 12インチの残り二曲は、そのまとめに入らなかった。
2016年の20周年盤は、2枚組CDの二枚目に米国盤と日本盤の追加曲や未発表の保管音源を集めた。7 その二枚目の7曲目に「Neal Cassady Starts Here」、12曲目に「Weekend Bonus Beats」がある。2026年、SuperDeluxeEditionのジョン・アールズ(John Earls)は30周年盤の紹介で、この二曲を「Santa Cruz」のシングルのカップリング曲と明記した。8
30周年の告知で、クックはこう話した。
"was basically me figuring out what I was doing"(あれは基本的に、自分が何をやっているのかを探っていたものだった)9
発売前の告知によれば、20周年盤のスリーヴノートはハリスが書くことになっていた。7 スキントを始めるとき、最初の三枚を探すよう言われてクックを思い浮かべた人が、その一枚目の最後と同じ題の曲まで収めた再発に、言葉を寄せる予定だったことになる。
出典・注
[1] Neil Mason, Various Artists '20 Years Of Being Skint' (Skint), Electronic Sound、2015年8月31日。スキントがローデッドの分家として始まったこと、「Santa Cruz」がSKINT 1だったこと。
[2] Santa Cruz, FBSO(ファン運営のディスコグラフィー)。Skint、SKINT1、4曲の曲順。
[3] Fatboy Slim Santa Cruz UK 12" vinyl, RareVinyl.com(中古盤の商品ページ)。SKINT1の4曲の収録と曲順。
[4] Andrew Whitehurst, Game Changer: Fatboy Slim 'Praise You', DJ Mag、2014年2月27日。ローデッドがブライトンのレーベルであること、ハリスの回想。記事の主題は「Praise You」で、本曲への言及はない。
[5] David S. Wills, Neal Cassady – 50 Years Since His Death, Beatdom、2018年2月4日。キャサディの人物紹介。本曲やクックへの言及はない。
[6] Interview: Fatboy Slim is STILL F**king in Heaven…, 909originals、2018年10月19日。クックの回想。
[7] Paul Sinclair, Fatboy Slim / Better Living Through Chemistry / 20th anniversary deluxe, SuperDeluxeEdition、2016年8月31日。発売前の告知。20周年盤の構成と曲目、スリーヴノートの筆者。
[8] John Earls, Fatboy Slim / Better Living Through Chemistry, SuperDeluxeEdition、2026年8月19日。二枚目の曲の出どころ(どのシングルのカップリング曲か)。
[9] Benny Sun, Fatboy Slim reveals Better Living Through Chemistry 30-year anniversary reissue, Resident Advisor、2026年8月18日。30周年再発の告知とクックのコメント。直接引用はここから。盤全体についての発言で、本曲への言及はない。