小川の録音が、あとから入口になった
ハンター/ゲーム(Hunter/Game)の二人は、デビュー・アルバム『Adaptation』の1曲目の背景に鳴る音を、小川で自分たちが録ったサンプルだと説明している。2016年2月、FACTに寄せた全曲解説での言葉だ。題名も、自然との対話という同じ話の一部で、こう言い表された。
"walking through nature without disturbing its course"(自然の流れを乱さずに、その中を歩くこと)1
ただしこの曲は、最初から入口として作られたわけではない。アンビエントでブレイクビーツの空気を持つこの曲をイントロに回すと決めたのは、仕上がってからだった。1 入口に選ばれたこの一曲と、アルバムの残りは、どうつながっているのか。
山小屋と、二人の名前
ハンター/ゲームは、エマヌエーレ・ニコジア(Emmanuele Nicosia)とマルティーノ・ベルトラ(Martino Bertola)の二人組で、2010年に始めたパーティー「Just This」以来、ミラノのテクノの場にいるとFACTは紹介する。1 アルバムは2016年2月5日、ケルンのKompaktから出た。2 二人は2016年3月のParkettの取材で、2006年に出会ったときから、Kompaktは指標とするレーベルの一つだったと話している。3
Kompaktの紹介文によれば、アルバムは暑いミラノの夏に制作され、二人はシーズンで閉じたスキー場の近く、ドロミテの山小屋にこもった。ハンター/ゲームという名も、暗い山の静かな夜を一人で歩いた経験から来ていると二人は説明し、いつも人でにぎわう場所が裸のまま現れるのを見たことに触れている。2 同じ紹介文は、この1曲目を薄い紗のような曲と形容した。2
入口と出口
FACTの解説では、ほかの曲にも役割が語られている。2曲目の「Declino」はアルバムのために最初に作った曲で、「The Path」、題名曲へと続く発想を与えた。最後の「Hide」は、締めくくりの曲を新しいやり方で作ろうと、マルティーノがベースとギターを弾き、Nord Drumとアンビエントのサンプルを重ねたものだ。1 入口は小川の録音から、出口は手で弾いた楽器から組まれている。FACTはこのアルバムを、生楽器と自然の録音、アナログ・シンセサイザーを取り込んだ作品と紹介した。1
発売の2日前、Exclaim!のアンソニー・オーガスティン(Anthony Augustine)は、ディクソン(Dixon)、テイル・オブ・アス、Kompaktを率いるマイケル・メイヤー(Michael Mayer)のセットに収まりそうな曲が並ぶと書き、メランコリーの筋が多くの曲を貫いていると評した。4 名前が挙がったテイル・オブ・アスが2013年に旋律の側へ向かった経緯は、「Another Earth」のエッセイにある。
出典・注
[1] Stream Hunter/Game's debut LP Adaptation on Kompakt with track-by-track commentary, FACT、2016年2月3日。無署名。記者による二人の紹介と、二人による全曲解説(直接引用はここから)。記事はベルトラを「Bartola」と綴る。
[2] Adaptation, Kompakt公式ショップ。発売日2016年2月5日、Kompakt CD 129。制作の経緯と曲の形容はレーベルの紹介文、名の由来は紹介文に引かれた二人の言葉。
[3] INTERVIEW: HUNTER/GAME, Parkett、2016年3月3日。イタリア語・英語併記。Kompaktについての二人の回答。
[4] Anthony Augustine, Hunter/Game — Adaptation, Exclaim!、2016年2月3日。アルバム全体の評。記事は「Tales of Us」と綴る。