ハーモニーを、組み合わせから考える
ケレン・アン(Keren Ann)の原曲を評したPopMattersは、オーケストラと声のハーモニーが言葉なしに心を引くと書く。1 エティエンヌ・ド・クレシー(Etienne de Crécy)のリミックスへ進むとき、この評は、どんな音が残ったかを数える前に、音同士がどう重なるかを考える手掛かりになる。
音の名前より、重なり方
ハーモニーは、複数の音の高さが同時に響くことで生まれる関係だ。評者がオーケストラと声を一緒に挙げたことは、歌と伴奏を別々に眺めるより、両者が重なって生む響きへ注意を向ける。
リミックスでは、元の録音を材料に曲を組み替える。声を残したか、楽器を外したかという確認も大切だが、同じ声でも周りの音との組み合わせが変われば、響きの関係は変わりうる。原曲評から得られるのは、完成版の音を先に決める答えではなく、比較するときの具体的な対象である。
作り替えることと、まとめること
Qobuzの本曲掲載では、ド・クレシーがリミックスとミックスを担当し、アレックス・ゴファー(Alex Gopher)がマスタリングを担当する。2 ミックスは各音の音量や配置などを整えて全体をまとめる仕事、マスタリングはその後の音源を仕上げる仕事だ。作り替えた人が、組み合わせた音をまとめる役割も持つ。
リミックスとミックスを同じ人が担う関係は、「Stay the Same」のエッセイでも扱った。異なる原曲に同じ人たちが関わると、比較する対象は作り手の名前から、元の曲で何が音楽の中心だったかへ移る。ケレン・アンの場合、その一つを原曲の評者は、声とオーケストラのハーモニーに見いだしている。
出典・注
[1] PopMatters Staff, Keren Ann: Keren Ann, 2007年5月31日。原曲への評であり、リミックスの音の描写ではない。直前にある別曲の弦やハーモニカの記述は用いていない。
[2] Qobuz, My Contribution to the Global Warming。本曲の曲別クレジット。掲載の3:02とライブラリの3:04には差があり、版の対応は未確認。本文の仕事の説明は一般的な意味で、具体的な処理や原曲のハーモニーがこの版にも同じ形で残ることを断定していない。