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2017年6月5日 追加

El Bandido

Nicolas Jaar / Significant Others ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 2 分

チリ育ちの作り手が、別の土地のドラマにたとえた曲

2010年7月に載ったJuno Dailyの取材で、チリとニューヨークはあなたの音楽に現れるかと問われたニコラス・ジャー(Nicolas Jaar)は、「Time For Us」は少なくとも自分にとってはとてもニューヨークだと答え、続けて「El Bandido」をこう呼んだ。

"like the soundtrack to a Puerto Rican soap opera"(プエルトリコのメロドラマのサウンドトラックのよう)1

サンティアゴでの暮らしとは何の関係もない、とても安っぽい、とも言う。そのうえで、チリもきっと何か関わっているが、国籍だけでなく何もかもが影響する、と付け加えた。1 幼い日々をチリで過ごした作り手が、スペイン語の題を持つ自分の曲を、メロドラマの音楽にたとえている。

二つの町

同じ記事の前書きは、ジャーをチリを経てニューヨークを拠点にする20歳と紹介し、14歳で音楽を作り始め、17歳でブルックリンのレーベルWolf + Lambから最初の正式な作品を出したと書く。1 本人は、人生の最初の二年をニューヨークで過ごし、母とチリへ移り、9歳でニューヨークへ戻ったと話す。形がはっきりした考えがいったん混乱と断絶を経て戻ってくる、それが自分の音楽によく起きることかもしれない、と自身の経歴に重ねている。1

レーベルの耳

同じ取材で、自分の音楽をどう説明するかと問われたジャーは、ハウスとして売られているが、最初はダンス音楽を作ったことはなかったし、作ろうと考えたこともないと答えた。一方、Wolf + Lambの面々は、出会って以来、自分の出す作品のほとんどを選んできたという。自分にも半分の発言権はあるが、どの曲がダンスフロアに向くかを言うのは間違いなく彼らだ、と話し、彼らが気に入って出した曲の一つに「El Bandido」を挙げている。1

「El Bandido」は、そのレーベルの複数の作り手を集めた『Significant Others』に入った。レーベルの現在のBandcampでは、六曲の三曲目に「El Bandito」の綴りで6分37秒と表示され、2 Apple Musicでも同じ長さの単曲として並ぶ。3

最初はダンス音楽を作るつもりがなかったと話す作り手の、メロドラマの音楽のような一曲は、どの曲がフロアに向くかを言うのは彼らだと本人が話すレーベルの、顔ぶれを並べた盤に入った。

同じ取材でジャーは、いま聴いているものに器楽のヒップホップやジャズ、アフリカの音楽と並べて、ラテン音楽を「いつも」と挙げている。1 次に聴くなら、2023年の「Muddat」だ。パキスタンで聴いて育った歌の伝統を語る歌い手アリ・セティ(Ali Sethi)が、ジャーのアルバムの一部をループしてその上で歌ったデモから始まった共作で、そこでは別の土地の歌を背負う声のほうが、ジャーの音を選んで上に乗っている。

出典・注

[1] Juno Daily(聞き手 Helen Luu), Interview: Nicolas Jaar, Juno Daily、2010年7月13日。前書きの人物紹介(記者の地の文)、チリとニューヨーク、Wolf + Lamb、自分の音楽、聴いている音楽についての本人の回答。直接引用はここから。本人が語った曲の筋は本文に用いていない。

[2] Significant Others, Wolf + Lamb Records公式Bandcamp。六曲の曲目と長さ(3曲目「Nicolas Jaar - El Bandito」06:37)。ページの released February 12, 2024 はBandcampへの掲載日と見られ、本文には用いていない。

[3] El Bandido - Single, Apple Music(米国)。2009年3月8日、℗ 2009 Other People。長さは iTunes の公開検索データで確認(6分37秒)。現在の配信の表示。

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