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2023年9月22日 追加

Muddat

Ali Sethi、Nicolas Jaar / Muddat ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 2 分

完成した盤に、自分の声を置いてみる

相手の音楽への親しさを、共作の提案に変えるには、何を渡せばいいのだろう。アリ・セティ(Ali Sethi)とニコラス・ジャー(Nicolas Jaar)の「Muddat」を含む共作から、好みを説明することと、自分の表現を音で示すことの関係を考えたい。

ループが、声を置く場所になる

The FADERが伝える経緯では、アリはジャーの『Telas』の一部をループし、その上で歌って、音声メモのデモを作った。二人が紹介された後、それをジャーへ持っていったという。1 ループは、録音の一部分を繰り返し再生することだ。

盤としては完成している音楽でも、一部分を繰り返せば、自分の声を試す土台になる。同じ部分が戻ってくるたびに、そこへ声をどう置くかを考えられる。

ジャーは公表したコメントで、そのデモこそ『Telas』に欠けていたものだったと述べている。記事は、そこから二人がアリのデモをもとにアルバムへ取り組んだと説明する。1 相手が置いた声を、自分の盤が持っていた別の可能性として受け取っているのである。デモは歌声の見本に加えて、「この音楽には、こう応答できる」という提案にもなったと読める。

親しさは、展開する感覚にもある

アリがジャーの音楽に感じた親しさも具体的だ。本人は、期待を揺らしながら展開する物語のような冒険を挙げ、それがパキスタンで聴いて育った歌の伝統、ガザルやカッワーリーのゆったりした即興に似ていたと話す。1 ここで思い出しているのは、自分が親しんだ歌の進み方である。

「Muddat」は、その共作アルバム『Intiha』の最初のシングルとして紹介された。公式Bandcampにも同盤の曲として載っている。12 共作の提案は、言葉で好みを説明するだけでなく、声を置いた音を渡すことでもできるのだ。

出典・注

[1] Jordan Darville, The FADER「Ali Sethi and Nicolas Jaar announce collaborative album, share “Muddat”」(2023年9月19日)。共作全体の経緯と本人談。ジャーの発言は声明経由。本曲固有の素材・録音工程は未確認。歌詞は扱わない。

[2] Other People公式Bandcamp「Muddat」。『Intiha』収録表示。同盤の掲載発売日は2023年11月17日。

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