トーク ・ DJ と職業音楽家
Muddat — Ali Sethi & Nicolas Jaar
DJ9月22日に選んだのは「Muddat」。この日の追加は一曲だけ。Appleのシングル表示は9月19日で、三日後にこのライブラリに入る。
音楽家共作の始まりが具体的だよ。The FADERによると、Ali SethiはJaarの『Telas』の一部をループし、その上で歌ってボイスノートのデモを作った。出会って間もなく、それをJaarへ持っていったという。
DJJaarは、そのデモについて「It was what Telas had been missing」と言う。自分の盤に欠けていたものだった、という反応だね。
音楽家僕は、その受け取り方が好きだ。すでに出した作品を相手が使って声を置く。それを聞いて、自分の作品にも足りなかったものがあったと答える。共作を始める場所が見える。
DJAliの方も、Jaarの音楽には馴染みを感じていたと話す。期待をからかいながら展開する物語のような冒険があって、パキスタンで育つ間に聴いた、ゆったり即興されるガザルやカッワーリーに似ていた、と。
音楽家違うところから来た二人を、楽器の名前だけで結びつけていないんだね。Ali自身が、音楽が進んでいく感覚に親しさを見つけてる。
DJ僕ならこの曲を、即興を扱う曲を並べたあと、次のまとまりへ渡す場所に置く。Aliが話す、期待を揺らしながら進む感じを選曲の起点にする。
音楽家僕はデモの作り方から入る。相手の曲の一部を繰り返して、そこで自分が何を歌えるか試す。そのやり取りから一枚の共作へ進んだ、という記事の順番がいい。
DJライブラリではJaarの名前へ前にも戻れる。2017年5月16日の「Mi Mujer」、6月5日の「El Bandido」、2018年2月27日にはKasper Bjørkeの「Heaven」のJaarリミックス。
音楽家単独の名義で選んだ曲、別の人のリミックス、今回はAliとの二人の名義。その違いを持ったまま、同じ作り手へ戻っているんだね。
DJ今回は一日に一曲。『Telas』を出発点にした共作の最初のシングルを、出て三日で選んだ。何曲も同じ名義を選んだ日とは、違うまとまり方だ。
音楽家この日に選んだ一点から、後ろにある共作の作業へ進める。ライブラリの日付と、デモを渡した話が、別々の入口になってる。
DJOther PeopleのBandcampでは、曲ページにfrom『Intiha』、Ali Sethi & Nicolas Jaarとある。掲載されたアルバムの日付は11月17日。9月のシングルから、11月の一枚へ続く。
音楽家The FADERも、デモをもとにフルアルバムへ取り組んだと書いてる。「Muddat」はその最初のシングル。一曲を入口に、二人が作った一枚へ進めるね。
DJ9月のシングルにもOther Peopleの名前が載ってる。ライブラリでは一曲の日だったけれど、辿る先には『Telas』、Aliの聴いて育った音楽、『Intiha』がある。
音楽家僕には、相手の完成した盤を、こちらから声を渡す場所に変えたデモが残る。Jaarがそれを受け取り、二人の一枚へ進む。その受け渡しから、この曲の共作を考えたい。