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2017年12月15日 追加

Fever

ペギー・リー / The Best Of Peggy Lee ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

ロックンロールの売り場で、ベースラインだけを残す

1958年8月20日のNew York Mirrorで、ドン・ベイラー(Don Bailer)は、ペギー・リー(Peggy Lee)の新しいレコード「Fever」が売れ行きの上位をうかがい、ほかの音楽人たちを当惑させていると書いた。ロックンロールの市場で、なぜあんな曲がベストセラーの表に載るのか、と。1 記事の中でリーは、ブルースの型の曲で、中くらいだがとても張りつめたテンポと、素朴で基本的なリズムがあるのだと答え、ロックンロールが若い人を引きつけるのもリズムを強調するからだと話した。

"They can get up and dance to it."(立ち上がって、それで踊れる)1

言葉に注意を払わず、知らなくても、リズムなのだ、と続けた。1 流行に逆らって売れたと記者が書くレコードの歌い手は、流行の聴かれ方をこう説明していた。

ベースラインまで削る

同じ記事によれば、前年の11月ごろ、ベース奏者のマックス・ベネット(Max Bennett)が、ベースラインが素晴らしいという、叩きつけるようなロックンロールの「Fever」を聴かせに来た。彼らは曲をベースラインまで削り、リー流に組み立て直した。伴奏はドラムとベースと指鳴らしだけで、曲は三つの調を移りながら張りつめていく、とベイラーは書く。1

リーはノースダコタ州ファーゴのラジオ局で歌い始め、1941年にはベニー・グッドマン(Benny Goodman)の楽団で歌った。2 公式サイトに2013年に掲載された「Thirty Years of Fever」は、本文に「68歳の今」とある回顧の文章だ。そこでは録音を1958年5月19日とし、リトル・ウィリー・ジョン(Little Willie John)のジュークボックス向けのR&Bから、ホーン、エレキギター、ゴスペルの声を取り去ったと書く。本人は、ベネットがジョンのレコードを持ってきたこと、自分向けに詞を書いたが著作権の登録は思いつかなかったことを回想している。同じ文章は、曲がBillboardで1958年8月25日に8位まで上がったとする。2

語りの違い

2025年のuDiscover Musicの記事で、ゼノビア・オーティス(Zenobia Ortis)は別の経緯を書く。リーは1957年のレイ・ピーターセン(Ray Petersen)のややロカビリー寄りの版に触発され、のちにジョンの版を聴いた。新しい詞は雇った作詞家シド・カラー(Sid Kuller)と作り、プロデューサーと指揮者がもっと大きな編曲を望んでも、ベースと打楽器と指鳴らしにこだわった、という。3 1958年の記事と後年の本人の回想はベネットの持ち込みを語り、2025年の記事は別の版から話を始める。詞も、本人の回想では自分で書き、2025年の記事では作詞家と作っている。三つが重なるのは、伴奏をベースと打楽器と指鳴らしに絞ったという点だ。

公式サイトの文章によれば、この曲が初めてLPに入ったのは1960年の『All Aglow Again』で、その後、ベスト盤の類に何十回も収められてきた。2 1989年の再録音と表示される版も配信されている。4 『The Best Of Peggy Lee』もそうした一枚だが、ここに書いたのは1958年の録音の記録で、この盤の音源との照合はしていない。

削る前の形を知るなら、1956年にR&Bチャートの1位になったジョンの版だ。オーティスは、不穏なテナー・サックス、重く押すビート、ブルース調の後ろの声の編曲だと書いている。3

出典・注

[1] Don Bailer, Peggy Sets a Feverish Pace, New York Mirror、1958年8月20日(PeggyLee.com公式サイトの資料庫に再掲)。リーの発言(直接引用はここから)、持ち込みの経緯と伴奏・転調の記述(記者の地の文)。

[2] Gino Falzarano, Thirty Years of Fever, PeggyLee.com公式サイト、2013年1月19日掲載。本文に「68歳の今」とあり、執筆はそれ以前。経歴、録音日、原曲から取り去ったもの、詞についての本人の回想、チャート、LPと編集盤への収録。

[3] Zenobia Ortis, Why Peggy Lee's 'Fever' Still Smolders, uDiscover Music、2025年7月24日(2026年7月24日更新の表示)。経緯、詞、編曲、ジョンの版についての記者の記述。本文に60周年が近いとあり、旧稿の再掲の可能性がある。

[4] iTunes Search API: Peggy Lee Fever, Apple。「Fever (1989 Re-Recorded Version)」の表示(配信側の表示)。

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