出て一週間後の、カンヌの録音
Appleのデータでは、アシド・パンテラ(Ácido Pantera)とデジタル・チャランガ(Digital Charanga)の「Sonido Campechano」は、2019年5月29日の日付で、約4分31秒の一曲だけのシングルとして出た。権利表示は℗ 2019 Discos Fiera。1 その一週間ほど後、6月4日から7日にカンヌで開かれた音楽業界の見本市Midemに、アシド・パンテラは独立系アーティスト向けの企画Artist Acceleratorの最終候補として招かれていた。2 会期中、二人はDynaudioの「Unheard」のスタジオで演奏している。3
二つの国のクンビア
同じ年の8月11日、コロンビアのKienyKeは、ボゴタの二人組がこの新曲で国内外の聴き手をつかもうとしていると伝え、メンバーのフアン・ポル・ディオス(Juan Por Dios)の言葉を載せた。
"mezclar la cumbia mexicana con la cumbia colombiana"(メキシコのクンビアとコロンビアのクンビアを混ぜる)4
そこから着想が生まれ、両者には共通点が多いが、いつも電子音楽、ハウスやテクノといったダンスフロアの音と混ぜることに関心があり、スタジオに入ってこの版ができた、という。もう一人のディエゴ・ベイラ(Diego Veira)は、自分たちのテクノ・クンビアでグラストンベリーに出たことを、言葉にできない喜びだったと話している。4
5月31日に配信サービスAmuseが載せた紹介によれば、二人は2013年に最初のEP『Rayacoco Bailador』で活動を始め、次のEP『Caciques Del Rave』の「Vida Bacana」がラジオでヒットして、コロンビアのEstéreo PicnicやメキシコのVive Latinoに出た。その後、アシド・パンテラと名を改めたという。2 Appleのデータでは、『Rayacoco Bailador』はラ・トスタドーラ(La Tostadora)との連名で、2016年の『Los Caciques del Rave』から単独の名義になる。5 曲を出したDiscos Fieraは、2018年にボゴタで始まった独立レーベルで、自己紹介の中で所属する作り手を「野獣(Fieras)」と呼ぶ。6
名義が一つになった版
KienyKeは、ライブ版の「Sonido Campechano」がMidemの会期中にカンヌで録られたとも書いた。4 Dynaudioは6月26日にその演奏の映像を載せ、二人がコロンビアの音とドラムマシン、シンセサイザーを混ぜたと紹介している。3 翌2020年3月16日、Discos FieraのBandcampに「Sonido Campechano (live)」が出た。説明は、2019年6月、カンヌのMidemのDynaudioの場での演奏の録音だとする。題に「(live)」の付かない「Sonido Campechano」も同じ日付で並ぶ。2020年のBandcampの二つの版では、デジタル・チャランガの名は名義から外れている。67 クンビアを電子音で組み直した別の例は、「ラテンアメリカとリミックス」の特集にある。
出典・注
[1] iTunes Lookup API: Sonido Campechano - Single, Apple。名義 Ácido Pantera & Digital Charanga、2019年5月29日、℗ 2019 Discos Fiera、271,129ミリ秒(約4分31秒)。
[2] Meet the 2019 Midem Artist Accelerator Finalists, Amuse(Leni、2019年5月31日。配信サービスのブログ)。Midemの会期(6月4日〜7日)、最終候補としての紹介と経歴。
[3] Acido Pantera: Dynaudio Unheard at Midem 2019, Dynaudio公式、2019年6月26日。動画の掲載日と演奏の紹介文(企業の紹介文)。映像は見ていない。
[4] El 'Sonido Campechano' de Ácido Pantera, KienyKe、2019年8月11日。新曲の紹介、フアン・ポル・ディオスとディエゴ・ベイラの言葉(直接引用はフアン・ポル・ディオスの言葉から、スペイン語)、ライブ版の録音地(記者の地の文)。記事に付いた取材音声は聴いておらず、取材日は記されていない。記事は『Caciques del Rave』を「最初のEP」と書き、[2]とは数え方が違う。
[5] iTunes Search API: Acido Pantera, Apple。『Rayacoco Bailador - EP』(La Tostadora & Ácido Pantera、2014年10月7日)と『Los Caciques del Rave - EP』(Ácido Pantera、2016年)の表示。
[6] Sonido Campechano, Discos Fiera公式Bandcamp。名義 Ácido Pantera、released March 16, 2020(長さの表示なし。[1]と同じ録音かは確かめていない)、レーベルの自己紹介(2018年ボゴタ創設、「free, independent and ferocious」)。
[7] Sonido Campechano (live), Discos Fiera公式Bandcamp。名義 Ácido Pantera、released March 16, 2020、録音についての説明(Dynaudio Unhead at MIDEM 2019, Cannes, France. Recording on June, 2019)。