1972年のバラードを、踊る速さへ
ダロンド(Darondo)が亡くなった翌年、Ubiquity Recordsの系列レーベルLuv n' Haightは、彼の「Didn't I」を三人の作り手が組み直したEP『Didn't I Edits』を出した。A面とB面に二曲ずつが入る。レーベルの紹介文は、B面1曲目のデイヴ・アリソン(Dave Allison)の版を、テンポを上げてグルーヴのある要素を際立たせたものと書き、こう結ぶ。
"transforming the soul tune to a dancefloor mover"(ソウルの曲を、フロアを動かす曲に変える)1
アリソンは、紹介文ではモントリオールの名の知れたエディットとリミックスの作り手とされる。これはレーベルの宣伝文だ。1 Appleの表示では、この版は5分28秒。同じ盤の最後に置かれた原曲は3分29秒で、二つのあいだに2分近い差がある。2
1972年のシングル
原曲は1972年のシングルだった。2013年6月13日、SPINのクリス・マーティンズ(Chris Martins)は、本名をウィリアム・ダロン・プリアム(William Daron Pulliam)というこの歌手が67歳で亡くなったと伝え、アル・グリーンやロナルド・アイズリーのような繊細さに、荒く独特の手触りを合わせた声の持ち主と紹介した。3 同じ週のFACTによれば、ダロンドは1970年代初めのカリフォルニアのソウルの場にいて、ジェームス・ブラウンの前座も務め、7インチのシングルを三枚出したあと、ほどなく音楽から退いた。4
曲が戻ってきたのは2000年代だ。マーティンズによれば、BBCのDJジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)が1972年の「Didn't I」を掘り出して自分のラジオでかけ、2005年の編集盤にも入れた。それが2006年、Luv n' Haightから出た『Let My People Go』につながり、70年代の録音がまとめられた。ドラマ『Breaking Bad』でも、第1シーズン第4話のクレジットにこの曲が使われた。3
三つの版と、原曲
『Didn't I Edits』のA面には、フランスのガッツ(Guts)のリミックスと、同じくフランスのフローラン・F(Florent F)の版が並ぶ。紹介文によれば、ガッツの版は先に限定の二枚組7インチ『Brand New Revolution』に入り、ゆったりしたグルーヴで夏の定番になった。フローラン・Fは重い生のドラムを足した。1 Appleの表示では、ガッツの版は2012年10月19日、ほかの二つは2014年5月13日の日付を持つ。2 ガッツの別の仕事は「Voyaging Bird」のエッセイにある。5
マーティンズの記事で、晩年のダロンドのバックを務めたベーシストのジョシュ・リッピ(Josh Lippi)は、ダロンドは二度と舞台に立つとは思っていなかったが、復帰の公演の年月を存分に生きた、と話している。3
出典・注
[1] Darondo "Didn't I Edits" EP, Ubiquity Records公式ストア(Luv n' Haight)。曲目(A1 GUTS Remix、A2 Florent F Rework、B1 Dave Allison Rework、B2 Original)と紹介文(レーベルの宣伝文。直接引用はここから)。発売日の表示はない。
[2] iTunes Search API: Darondo Didn't I, Apple。Didn't I - EP の各版(Dave Allison Rework 328,000ミリ秒・2014-05-13、Florent F Rework 2014-05-13、Guts Remix 2012-10-19、原曲 209,160ミリ秒)。
[3] Chris Martins, Darondo, Cult-Adored San Francisco Soul Man, Dead at 67, SPIN、2013年6月13日。1972年の「Didn't I」、ピーターソン、『Let My People Go』、『Breaking Bad』(記者の地の文)、リッピの言葉。
[4] R.I.P. cult soul singer Darondo, 1946-2013, FACT、2013年6月14日。1970年代の活動と三枚の7インチ(記者の地の文)。
[5] iTunes Lookup: Brand New Revolution - EP, Apple。名義 Guts(artistId 263376124)、2012-10-19、「Didn’t I? (Guts Re-Edit)」235,980ミリ秒を含む。同じ artistId は『Philantropiques』(2019-03-29、「Voyaging Bird」の盤)にも付き、このリミックスの作り手と0999のガッツが同じ名義であることの裏付け。Re-Edit の長さは[2]の Guts Remix(234,427ミリ秒)とわずかに違い、同一録音とは確かめていない。