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2019年12月26日 追加

Cape Town Jam

Auntie Flo / Radio Highlife ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

マリンバの楽団から、フロアの曲へ

2018年8月、ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)のレーベルBrownswood Recordingsは、アンティ・フロー(Auntie Flo)を迎えたことを告げる記事で、アルバム『Radio Highlife』から最初に届く曲として「Cape Town Jam」を紹介した。曲の力は南アフリカへの旅から来ていて、きっかけはあるマリンバの楽団だった、とレーベルは書く。アンティ・フローはそれを録音し、編集し、別の方向へ作り変えて、その日に見た熱気に敬意を払う、温かくクラブ向きの曲にしたという。1 レーベルの宣伝文だが、ここには一つの曲の来歴が、どこで、何を聴いて、どう作り変えたかの順に書かれている。

ラジオと同じ名の盤

XLR8Rは2018年8月8日、アルバムが10月12日に出ると伝え、この曲を全編聴ける形で載せた。記事によれば、レーベルは盤を、キューバからケープタウン、バリからカンパラまでの野外録音とスタジオ・セッションに、ロシア、イスタンブール、セネガル、英国の声を合わせたものと説明し、きっかけは2014年のキューバ訪問で、ハバナの第1回の音楽祭に出演した折に、スタジオの時間を取って録音したという。2 盤の題は、ブライアン・ドゥスーザ(Brian d'Souza)ことアンティ・フローが、ピーターソンの運営するネット局Worldwide FMで持つ番組と同じだ。3

同じ年の11月23日、The Skinnyのクレア・フランシス(Claire Francis)の取材は、彼をグラスゴー生まれでケニアとゴアにルーツを持ち、街の人気パーティ「Highlife」を始めてレジデントDJを務めてきた人と紹介した。旅先では多くの場合ラジオが土地の音楽との最初の出会いになる、と語ったうえで、彼はこう続けている。

"For me radio is about telling stories"(自分にとって、ラジオとは物語を語ることだ)4

曲をかけ、それがなぜ特別か、どこで見つかったか、誰が作ったかを話す。その文脈が音楽に新しい次元を開く、と彼は言う。4 「Cape Town Jam」についてのレーベルの短い文は、まさにこの順に、場所と、出会った楽団と、そこから作った曲を語っている。

クラブ向きか、そうでないか

The Line of Best Fitのサイモン・エドワーズ(Simon Edwards)は、2018年10月15日の評で、この曲を日差しを浴びたようなギターのフレーズと覚えやすい合唱の繰り返しから立ち上がる、抗いがたい夏の曲と呼んだ。5 12月12日のRAで、クレア・ソーヤーズ(Claire Sawers)は彼の音楽は長く続くパーティから自然に汲まれてきたと書いたうえで、この盤はずっとクラブ寄りではないが、打楽器の弾む高揚がいくつもある、と評した。6 レーベルがクラブ向きと書いた曲は、評者の耳には夏の歌として、盤全体はクラブから一歩引いたものとして届いている。

アンティ・フローの別の曲は、他人の手でフロアへ運ばれた。原曲は手を加えるには良すぎると思っていた曲を、グラスゴーの同郷の作り手がリワークした経緯は、「Waiting For A (Woman)」のエッセイにある。「Cape Town Jam」では、旅先で録った楽団の音を、作り手自身がクラブ向きに作り変えた、とレーベルは書いている。

出典・注

[1] Welcome Auntie Flo, Brownswood Recordings公式、2018年8月20日(ページの日付表示)。所属の告知と「Cape Town Jam」の紹介(レーベルの宣伝文)。マリンバの楽団がどこの誰かは書かれていない。

[2] XLR8R Staff, Auntie Flo to Debut on Brownswood Recordings with LP, XLR8R、2018年8月8日。Brownswoodをピーターソンのレーベルとする紹介、発売日、レーベルの説明の引き写し(野外録音と声の地名)、2014年のハバナでの録音、曲の全編公開(記者の地の文)。

[3] Radio Highlife, Auntie Flo公式Bandcamp(Brownswood Recordings)。released October 12, 2018、10曲目「Cape Town Jam」05:53、紹介文(Worldwide FMの番組と同名であること、宣伝文)。

[4] Claire Francis, Auntie Flo on Radio Highlife and his live show, The Skinny、2018年11月23日。人物紹介(記者の地の文)、ラジオについての本人の言葉(直接引用はここから)。「Cape Town Jam」への個別の言及はない。

[5] Simon Edwards, Auntie Flo channel's music's unifying power on Radio Highlife, The Line of Best Fit、2018年10月15日。盤の評のうち「Cape Town Jam」の一文(評者の記述)。

[6] Claire Sawers, Auntie Flo - Radio Highlife, RA、2018年12月12日。盤全体の評(評者の記述)。この評の中の「Cape Town Dub」という曲名は曲目に無く、本曲を指すか確かめられないので使っていない。

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