詩より先に、ピアノの旋律があった
エゼキエル・パイエス(Ezéchiel Pailhès)の「L'attente」は、詩人マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモール(Marceline Desbordes-Valmore)の詩に曲をつけた歌だ。公式Bandcampの曲の頁は、言葉が1833年の詩集『Les Pleurs』から取られていると記す。そのうえで、この曲の出発点は詩ではなく、ピアノでごく簡単に書いた旋律だったというパイエスの説明を伝えている。1
同じ頁でパイエスは、作業の途中で自然に、直感的にわき上がってくる、はじけるような旋律が好きだと話し、こう続ける。
"This track has a cinematic feel to it"(この曲には映画のような感触がある)1
そこには、前の盤で、とくに初めての全編器楽のアルバム『Divine』で磨いてきた、コラージュや音の変形の技法がかなり入っている、というのが本人の説明だ。1
詩人の側の音楽
レーベルCircus Companyのアルバムの紹介文で、パイエスはデボルド=ヴァルモールの詩をとても音楽的だと言い、リズムと繰り返しの使い方が曲にしたとき新しい見え方をすると話している。彼女は歌われることを考えて書いた詩もある、とも言う。2 同じ紹介文によれば、詩を歌にするこの試みは2017年に、シェイクスピアやネルーダ、ユゴー、そしてとりわけデボルド=ヴァルモールの詩で始まり、彼女の詩は「Dors-tu?」「Élégie」、そして「L'attente」でまた聴ける。2 前作『Oh !』で詩を歌にした盤の、詩人の名がない1曲目については、「J'aimerais tant」のエッセイにある。
評者が聴いたもの
公式Bandcampでは、「L'attente」はアルバム『Mélopée』からの2枚目の単曲として2022年9月2日に出た。作曲はパイエス、作詞はデボルド=ヴァルモールと記され、ミックスはパリのBleep Studioでステファヌ・「アルフ」・ブリア(Stéphane ‘Alf’ Briat)が担った。1 Appleのデータでは、アルバムの11曲の4曲目で、約3分43秒。3
Quai Bacoのアルノー・ル・ティヨー(Arnaud Le Tillau)はアルバムを評し、散らばった楽器の背景の上に、パイエスがこの曲で完璧なまとまりを持つ作品を組み立てたと書いた。そしてその離れ業は、控えめで品のある声のエフェクトによるところが大きい、と続けている。評の最後に、ル・ティヨーは推す曲として表題曲とこの曲の二つを挙げた。4
出典・注
[1] L'attente, Ezechiel Pailhès公式Bandcamp。track released September 2, 2022、紹介文(宣伝文。2枚目の単曲、『Les Pleurs』〔1833〕、旋律が出発点という説明、パイエスの言葉〔L134。直接引用はここから。原文は「with quite a few collage…」と続き、文の途中で切っている〕)、クレジット(Composed by / Written by / Mixed by)。頁に載る詩の本文は使っていない。
[2] EZÉCHIEL PAILHÈS – MÉLOPÉE, Circus Company(レーベルの頁。宣伝文)。2017年に始まった計画、デボルド=ヴァルモールの詩の曲、パイエスの言葉(L36–39)。
[3] iTunes Search: ezechiel pailhes attente, Apple(フランス)。『Mélopée』(11曲)の4曲目、223,259ミリ秒、日付欄2022-09-02。
[4] Arnaud Le Tillau, Ezéchiel Pailhès – « Mélopée » : La Chronique, Quai Baco(頁の「Date d'ajout」は09-10-22)。アルバムの評(フランス語、評者の記述)。「L'attente」についての箇所(L56–58)と、末尾の推す曲(「Nos coups de」に続く欄に MELOPEE, L'ATTENTE)。