メロディーと音色を、別々に考える
フレンチ79(French 79)は、メロディーとコード進行を重視し、よくピアノで作曲してから音作りに進むと話している。1 この制作観を「Burning Legend」を聴くための手掛かりにすると、旋律の動きと、それを鳴らす音色を別々に考えられる。曲を覚えてしまう理由は、音の並びにあるのか、その音の表情にあるのか。
ピアノに、仕事を絞る
メロディーは、時間に沿って並ぶ音の動き。コード進行は、複数の音がつくる和音をどの順に移していくか、という骨組みだ。音色を選ぶ前にそこへ集中する、というフレンチ79の話は、作曲するときに一度に判断することを減らす工夫として読める。
たとえば、同じ音の並びでも、短く切れる音で弾くか、長く尾を引く音で鳴らすかによって、次の音が来るまでの空間は変わる。音高と順番を思い出せる部分と、鳴り方が変わると印象まで変わりそうな部分を分けてみると、メロディーと音色がそれぞれ担う仕事に気付ける。これは音色と旋律を分けて考えるための例だ。
フレンチ79の発言は普段の作曲方法についてで、「Burning Legend」をピアノで書いたと確認できる証言は掲載されていない。1 その作曲観から、聴く側も一つの問いを持てる。音色を頭の中で単純な鍵盤の音に置き換えて想像したとき、どの動きが残るだろう。
楽器が、音の表情を広げる
同じ取材でフレンチ79は、新アルバムのシンセサイザーをジャン=ミシェル・ジャール(Jean-Michel Jarre)のスタジオで録音した喜びも語っている。1 ジャールは電子音楽家で、作曲・演奏・制作を手掛ける人物だ。2 憧れていた鍵盤楽器を前にしたフレンチ79の言葉には、音を選ぶ場面そのものの楽しさがある。
アルバム『TEENAGERS』には「Burning Legend」が収録されている。3 ただし、取材のスタジオ談は新アルバム全体についての説明で、この一曲に使った機種や録音工程は特定できない。メロディーを考える場面と、楽器の反応に触れる場面を分けて読むことで、機材名を知ることに加え、制作のどこで何を楽しんでいるかが見えてくる。
音色は、すでにある旋律に輪郭や奥行きを与え、ときには強調する音を変える。次に「Burning Legend」を聴くときは、まず覚えやすい音の動きを追い、もう一度、音の立ち上がりや消え方を追ってみる。二度の聴き方で同じ箇所に引き付けられるかを比べると、メロディーの魅力と音作りの魅力を、もう少し具体的に言葉にできる。
出典・注
[1] French 79 about Production, Technology, and Creativity, 15 Questions。公開・更新日不明。一般の作曲観と新アルバムの録音談を分けた。
[2] Jean-Michel Jarre — Biography, 公式。人物の短い紹介に使用。
[3] TEENAGERS, French 79公式Bandcamp。アルバム掲載の曲目を確認。