トーク ・ DJ と職業音楽家
ASA MOTO「Cacao」──音を決めて、次へ進む
DJこの日はASA MOTOの「Cacao」と「Make Me Prada」を選んでる。五分二秒と六分十一秒。同じ名義を二曲で辿る日だ。
音楽家FindYourSoundsの紹介文では、「Cacao」は粘る進行にステレオのエフェクトと声が加わり、浮遊感のあるシンセ主導の曲へ展開するという。途中で聴く場所が変わっていきそうだね。
DJ僕は、声と左右の動きを追ってから、シンセへ注意を移して聴きたい。一つの形に留まらない、という紹介に惹かれる。
音楽家僕は、その移り方を作る仕事に関心がある。何かを足すところと、すでにある音を前へ出すところを聴き分けたい。
DJ二人の普段の作り方を読むと、GillesはFormanta UDSをお気に入りの安い掘り出し物として挙げてる。ほとんどのAsa Motoの曲で使う、と話してるんだ。
音楽家具体的な機材名が出ると、その人が何を手元に置きたがるのかを辿れるね。僕は、繰り返し使いたくなる道具と、そこから変えていく音の関係を考えたくなる。
DJ15 QuestionsでGillesが話すのは、外部機材で音を見つけて録音し、次へ進む作り方。MIDIノートやオートメーションをいつまでもいじり続けない、と言ってる。
音楽家音を決めるところで一度区切る。その選び方が気になるな。僕も、後から直す余地を増やすことと、その場で決めて先へ進むことの間で、作業の速さが変わると感じる。
DJ『Martino EP』のクレジットには、DEEWEEとStudio Martinoで楽曲制作と録音、DEEWEEで制作とミックス、と並んでる。
音楽家盤の仕事を辿ると、音を記録した場所と、まとめる仕事をした場所が見える。Gillesの話と並べると、音を決める段階から盤へ仕上げるところまで関心が伸びるね。
DJ「Cacao」はそのEPの二曲目。掲載盤の発売は2021年8月27日で、2023年3月22日の追加は五百七十二日後だ。
音楽家ライブラリでは一曲を選んでいても、そこから盤の位置へ戻れる。僕なら他の曲も聴いて、同じ作り手が音を決めるやり方と、曲ごとの展開を比べたい。
DJ僕は「Cacao」をセットの中盤、声やエフェクトの動きへ耳を向けてもらう一曲に置く。五分二秒の中で、シンセへ関心を渡していく。
音楽家僕はその展開を聴きながら、どこで新しい音を出すと注意が移るのかを確かめたい。曲を作るときの、出す順番の問題として聴ける。
DJ同じ日のもう一曲「Make Me Prada」へも進もう。一つの機材名を覚えたあとで、同じ名義の二曲を並べると、掘る向きができる。
音楽家まず「Cacao」の声、エフェクト、シンセの受け渡しを追う。音を録って次へ進むというGillesの話が、僕には、曲の展開を聴くための具体的な関心になった。