一つの音を決めると、次の音へ進める
音をいつまでも調整できる環境で、どこに区切りを付けるか。ASA MOTOのジル・ノエ(Gilles Noë)は、音を見つけて録音し、次へ進む作り方を語る。「Cacao」の紹介にある展開と並べると、一つの音を決めることが、曲の先を考える足場になる。
録音を、判断の区切りにする
15 Questionsの取材で、ノエは主にコンピューターの外にある機材で音を作るため、録音した音声を扱う制約が創作の大きな部分だと話す。狙う音を見つけ、録り、次へ進む。音を鳴らす指示や、機器の設定を時間に沿って変える操作を、際限なく調整し続けないという。1
一つの音を決めたら、ほかの音をどう置くかへ判断を移せる。すべてを同時に調整し続ける代わりに、決まった音との組み合わせを試す。この区切りは、制作中に比較するものを絞る方法でもある。
曲の途中で、前へ出るものが変わる
『Martino EP』の紹介は、「Cacao」を、粘る進行に左右の2チャンネルを使うステレオのエフェクトと声が加わり、浮遊感のあるシンセサイザー中心の曲へ展開するものと描く。2 ここで注目できるのは、個々の音色だけでなく、曲の途中で何が中心になるかという変化だ。
録った音を材料にしても、曲の中でその音に渡す役割は考え続けられる。「Cacao」の紹介が伝える展開は、音を決める判断と、音を並べて注意を移す判断を、別々に考える具体例になる。
出典・注
[1] Asa Moto about Production, Technology and Creativity, 15 Questions。ノエの一般的な制作方針。「Cacao」の機材や個別の工程を説明した発言ではない。
[2] Martino EP, Asa Moto公式Bandcamp。発行元による曲紹介。同じ文がFindYourSoundsにも掲載されている。ライブラリの単曲とEP収録曲が同じ録音かは確認できていない。