素材から思い付く、思い付いた音を残す
音楽を作り始めるために、何が揃っていればよいのだろう。バリー・キャント・スウィム(Barry Can't Swim)の「El Layali」をめぐる曲評と本人の制作談を並べると、鍵盤とサンプルを、完成した曲の要素だけでなく、作業を動かす材料としても考えられる。
借りた録音と、鍵盤のアレンジ
Stereofoxのルー(Lu)は「El Layali」の鍵盤のアレンジを高く評価し、上品さと音楽的な豊かさを感じると書く。同じ記事は、ハミド・アル・シャエリ(Hamid Al Shaeri)の1988年の「Ouda」をサンプルに使うと報じている。1
サンプリングは、録音された音を素材として使うことだ。この紹介からは、既存の録音を選ぶ仕事と、鍵盤の音を配置する仕事の両方に目が向く。録音を借りたという情報だけでは、その周りにどんな音を置くかというアレンジの仕事までは説明できない。
始め方を、二つ持っておく
2022年のMusicTechインタビューで、本人は一般的な制作の始め方を話している。あまり発想が湧かないときはサンプルから始めて展開する。一方、ほぼ完成したアイデアが頭に浮かぶときは、鍵盤へ向かってそれを残すという。2
前者では、手を動かすための音が先にあり、後者では、残したいアイデアが先にある。制作を始めるために、毎回同じ状態を待つ必要はない。素材に触れて考えることと、考えたものを音にすることの、二つの進み方を持てる。
録音のどこを使い、どちら向きに再生し、どう区切るかは、サンプリングのガイドで説明する。
出典・注
[1] Lu, Stereofox「Barry Can't Swim — El Layali」(2022年2月公開)。曲評とサンプル報道。公式の曲別クレジットや権利処理の証明ではない。歌詞や改名に関する推測は扱わない。
[2] Oliver Payne, MusicTech「Plug-ins I Actually Use: Barry Can't Swim」(2022年7月18日)。『More Content』期の一般的な制作談で、「El Layali」の作業順や使用機材は未確認。