一人になる時間に、何を取り戻すか
一人で作る時間が大切だという話には、その時間をどう使えるようにするかという続きがある。マイルド・マインズ(Mild Minds)の「DESTINATIONS」をめぐる制作の紹介と、アルバム『MOOD』についての本人談を結ぶと、孤独と、作る道具や他人の意見との距離がつながる。
制作を助けた孤独と、聴き手の行き先
EDM Identityのケリー・ボベレク(Kellie Boberek)は、「DESTINATIONS」について、本人が孤独に制作を助けられ、創作者としてその時間を大切にしていると語った、と紹介する。続いて、曲が聴き手を新しい行き先へ運ぶと評した。1
作る側の一人の時間と、聴く側の移動の感覚が、同じ段落に置かれている。制作の事情を知ることで、出来上がった音が人へ届くまでに、他人から離れる時間もあったことが見えてくる。
道具と、意見との距離を作り直す
Stereofoxで『MOOD』の制作を尋ねられた本人は、2017年頃、他人の期待を満たそうとし、予定に追われていたと振り返る。その年はゆっくり取り組み、音楽を作る道具を作り直した。最初に音楽を始めた頃のように楽しみ、子どものような無邪気な場所から作るため、外の意見を入れすぎず、自分を隔てることが助けになるという。2
道具と外の意見を同時に見直すことが、音を試せる条件を整える仕事と読める。楽しんで作るという状態には、その状態に入れるようにする準備もある。
出典・注
[1] Mild Minds『MOOD』のレビュー, Kellie Boberek, EDM Identity, 2020年3月22日。制作の事情は記者による本人談の要約、曲の行き先については記者の評。
[2] Mild Mindsへのインタビュー, Lu, Stereofox, 2021年11月。『MOOD』全体についての本人回答で、「DESTINATIONS」の具体的な道具や工程の説明ではない。