夜の終わりを、曲の置き場所にする
ダンスの曲を考えるとき、踊りが最も盛り上がる瞬間だけが目標になるわけではない。ロミー(Romy)は「She's On My Mind」を、夜が終わり、照明がついて、プレッシャーがなくなったときに流れる曲のようにしたかったと話す。1 曲が人を動かす力には、何かを解き放つ時間を作ることも含まれる。
ピアノの評と、本人が思い描いた時間
DIYのジェマ・サムウェイズは、この曲のピアノをABBA風のシンコペーションする和音と評し、浮き立つようなビートとともに、喜びに身を任せる感覚を生むと書く。1 シンコペーションは、拍の強い位置からアクセントをずらすことだ。ここでは鍵盤のリズムが、曲の印象を説明する手掛かりになっている。
曲評は鍵盤のリズムから印象を言葉にし、本人はその音楽を受け取る場面を示す。音の説明と、人が過ごす時間の説明を並べて読むことができる。
音を仕上げる相手との距離
『Mid Air』の制作を語るBeatportalのインタビューで、ロミーはスチュアート・プライス(Stuart Price)との最初のZoomで長く話し、心地よく感じたと回想する。アルバムではフレッド・アゲイン(Fred again..)と自分が作曲を担い、音の発展や仕上げにプライスが関わったと説明し、「She's On My Mind」は特にプライスの色が濃い曲の一つに挙げている。2
作曲と、音を仕上げる仕事を分けて捉えると、曲の意図はメロディや題名だけに収まらないことが分かる。どんな時間に、どんな状態の人へ届いてほしいかという目標は、曲を仕上げる際にも考えられる。
出典・注
[1] Gemma Samways, DIY「Romy: Mid Air」(2023年9月13日)。ピアノとビートの表現は記者の曲評、夜の終わりの意図はロミー本人の発言。歌詞部分は扱わない。
[2] Ralph Moore, Beatportal「Artist of the Month: Romy」(2023年6月12日)。アルバムについての本人の共作談と、本曲への言及。個々の楽器の演奏者や録音順序は、この説明から特定できない。