選曲を広げる人から、曲を作る人へ
デミ・リキシモ(Demi Riquísimo)は、曲を作る前にDJから始めたと話す。レコードを選ぶことから、自分の音楽を人へ渡すことへ。「Mysterious」を一曲として読むときにも、その仕事の往来が背景になる。
違う音楽を、自分の選曲へ入れる
Jaegerのインタビューで本人は、デッキとレコードを買って練習し、およそ半年後に初めてクラブでプレイしたと振り返る。デッキはレコードをかける機器だ。その後、開くイベントへほかの音楽を取り入れ、さらに制作にも取り入れていったという。1
ほかの人の曲を選ぶ段階では、すでにある曲同士の組み合わせを扱う。作曲や制作に進むと、曲の中の音を組み合わせることも仕事になる。選ぶ対象の大きさが変わり、取り合わせを自分で作れる範囲が増える。
一曲から、四つの追加へ
MusicRadarのマット・マレン(Matt Mullen)は、1990年代のダンス音楽を参照し、電子音を作る古いシンセサイザーを使って古典的な音を追う作風と紹介している。2
ライブラリには2023年の「Don't Feed The Tiger」、2024年の「Mysterious」、2025年の「Shameless Progression」と「Certified」の四曲がある。同じ名義への追加が、別の日付と曲名に分かれている。
一曲だけでは、作風の紹介とその曲の特徴が重なって見えやすい。四曲を並べると、共通しているものと、曲ごとに選び直したものを分けて考える対象ができる。DJから始めた人の音楽を、もう一度、曲同士の組み合わせとして受け取れる。
出典・注
[1] Very Delicious with Demi Riquísimo, Jaeger。本人の一般的な経歴と選曲・制作の広がりについての回想。「Mysterious」の制作工程を語った取材ではない。
[2] Demi Riquísimoのスタジオ取材, Matt Mullen, MusicRadar, 2024年6月3日。作風の紹介は記者によるもの。機材を用いた個別の制作例は別曲「Windows 95 Anthem」の話であり、本曲へは当てはめていない。