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2024年2月14日 追加

You Will Return (feat. Alice Russell)

Quantic、Alice Russell / Magnetica (Bonus Track Version) ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

電子音のアルバムの、バンジョーの一曲

2014年5月、ラテンアメリカの音楽と文化を扱うサイトSounds and Coloursでクアンティック(Quantic)の新作『Magnetica』を評したラス・スレイター(Russ Slater)は、アルバムの2曲目についてこう書いた。

"I absolutely love both tracks, yet they sound at odds with the rest of the 'global bass' material."(どちらの曲も心から好きだ。けれど、ほかの「グローバル・ベース」の曲とは噛み合わない)1

「どちらの曲も」の片方が、アリス・ラッセル(Alice Russell)の歌う「You Will Return」、もう片方はクアンティック本人が歌う最後の曲だ。スレイターはこの曲を「牧歌的なサイケデリック・フォーク」と呼んでいる。1

電子音に戻るはずのアルバム

レーベルTru Thoughtsの紹介文によれば、『Magnetica』はクアンティック名義では2006年以来のアルバムで、コロンビアで7年暮らしたウィル・ホランド(Will Holland)が、電子音の作り手としての出自に立ち返った一枚だった。2 スレイターの評も同じ約束から書き起こし、電子のビートとシンセが熱帯のリズムに加える力を褒めている。1

その中で、紹介文はこの曲を「ほろ苦いサイケデリック・フォーク」と呼び、きらめくバンジョーの重なりの中でラッセルが切なげに歌うと書く。弦の編曲はヴァイオリン奏者のミゲル・アトウッド=ファーガソン(Miguel Atwood-Ferguson)。2 ラッセルは同じレーベルの歌い手で、二人は「Quantic & Alice Russell」の名義でも組んできた。2

割れた評

アイリッシュ・タイムズのジム・キャロル(Jim Carroll)は、同じ5月の短評で、この曲を「Spark It」「Duvidó」と並べて、この旅に加わる理由に挙げた。括弧に添えた一言は、ラッセルの「力強い歌唱」。ダウンロードに勧める3曲にも入れている。3 浮いていると書いた評と、入口に選んだ評。どちらもこの曲を好いている点では割れていない。

曲の置き場所の決まらなさは、サービスの表示にも出る。Beatportの表示では118 BPM、Gメジャーで、ジャンルの欄はDance / Pop。Apple Musicの表示ではR&B/ソウル。45

埠頭の映像

アルバムの発売から6週間ほどたった6月18日、この曲は映像つきで出た。Okayplayerのマイケル・ゴニック(Michael Gonik)は、なめらかなバンジョーのフレーズと弾むブレイクを挙げ、映像は露光を飛ばした埠頭の回想の場面だと伝えた。6 先行曲が「Duvidó」だったアルバムから、評の一人が浮くと書いたフォークの曲が、あとから映像を付けて出されたことになる。評と日付を並べて引く読みで、ホランドが理由を語ったわけではない。2

ホランドはその9年後、明け方のパーティを描いた「Morning Light」でも歌い手と組んでいる。2014年の映像では、ラッセルが静かな水面を前に歌っている。6

出典・注

[1] Russ Slater, Quantic – Magnetica, Sounds and Colours、2014年5月26日。引用の一文、「牧歌的なサイケデリック・フォーク」の呼び方、電子音への回帰という約束と、それが音楽に加える力への評に使った。「both」(どちらの曲も)のもう一方は最後の曲「Painting Silhouettes」で、評はそこでクアンティック本人が歌うと書く。Bandcampの通常盤(12曲)の曲目に「Painting Silhouettes」は無く、ライブラリの録音が入っている『Magnetica (Bonus Track Version)』との収録の違いは確かめていない。

[2] Quantic, Magnetica, Bandcamp(本人頁、Tru Thoughtsの紹介文)、2014年5月5日発売の表示。2006年以来のクアンティック名義のアルバムであること、コロンビアでの7年、電子音への回帰、曲の説明、弦の編曲、ラッセルがレーベルの仲間であることと「Quantic & Alice Russell」の名義に使った。発売時の宣伝文。紹介文にあるホランドの言葉(電子の楽器で遊ぶのが新鮮だった)は冒頭のタイトル曲についてのもので、この曲には使っていない。曲目では2曲目、03:59。

[3] Jim Carroll, Quantic: Magnetica, The Irish Times、2014年5月9日。「powerful performance」とダウンロードの推薦に使った。

[4] Beatport, You Will Return, 曲のページの表示。BPM・キー・ジャンル(レーベルTru Thoughts、2014-05-05)。

[5] Apple Music, You Will Return (feat. Alice Russell), 『Magnetica (Bonus Track Version)』の曲のページの表示。ジャンル。MusicKit(API)の登録値ではR&B/ソウルとワールドの二つ。

[6] Michael Gonik, Quantic x Alice Russell - "You Will Return" [Official Video], Okayplayer、2014年6月18日。シングルとしての映像の公開、バンジョーとブレイク、映像の描写に使った。記事は曲を「new single」と呼ぶが、シングル盤の発売日は確かめていない。

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