録音の年と、歌声の順番
「Feel Like That」で父と息子の声が同じ曲に入るのは、録音された時間の違う歌声を組み合わせたからだ。残っていた演奏と、新たに加わる歌唱。その間に、一曲を組み立てる仕事がある。
ジャムを、新しい曲の素材にする
Rolling Stoneの取材記事は、サブライム(Sublime)のブラッドリー・ノウェル(Bradley Nowell)らが行った1996年のジャム、即興的な演奏へ遡る。スティック・フィギュア(Stick Figure)のスコット・ウッドラフ(Scott Woodruff)は、そこに残った複数トラックの録音を元に曲を構築。ブラッドリーの息子ジェイコブ・ノウェル(Jakob Nowell)は、2024年1月に歌声を加えたと伝えられている。1
音を別々のトラックに記録しておくと、完成した一つの音源とは違い、構成する音を取り出して扱える。昔の演奏を聴けるように残すことに加え、その録音から新しい構成を作る余地も残る。
年代の隔たりを、曲中の交代へ
ジェイコブによると、父のヴァース、自分のヴァースと続き、最後はスティック・フィギュアが締める。ヴァースは歌の一つのまとまりを指す。1
録った年月が離れた声も、曲の中では前後に配置できる。過去の声をただ再公開するのでなく、その次に誰が歌い、どう終えるかまで作る。父と息子という関係が、歌声の順番という音楽の構成にもなる。
出典・注
[1] Hear the First New Sublime Song in 28 Years, “Feel Like That”, Brian Hiatt, Rolling Stone, 2024年5月23日。記事の制作経緯とジェイコブ本人の説明。元録音の全内容、採用箇所や加工の詳細は確認していない。