育った街に返した十年
二度目のヴァースのあと、ドラムと声がいったん引いて、また勢いを取り戻す箇所がある。フォラモール(Folamour)はこの曲をセットでかけてそこに差しかかると、何度も泣きそうになってきたという。2025年6月、Billboardのイライアス・リート(Elias Leight)の取材で、彼はこの曲が自分のセットの中では少し浮くことも認めている。1
"It's always a bit unexpected [when I play that] in my set, because it has that really electronic, modern lead, which doesn't really fit with the old-school funk, disco, and soul I usually play"(セットでこれをかけるといつも少し意外な感じになる。すごく電子的で今っぽいリードが入っていて、ふだんかける古いファンクやディスコ、ソウルには合わないから)1
十年目の一曲目
フランスのDJ、プロデューサーのフォラモールが最初のEP『Deeply Rooted Vibes』でハウスに現れてから10年。2024年6月26日にAll Night Longから出たこの曲は、それを祝う一連の発表の最初の一枚だった。DJ Magのオリヴィア・ストック(Olivia Stock)によれば、音程を下げた声は本人のもので、曲は彼が育ったリヨンへ戻っていく。2 本人は発売前の同誌にこう話した。子どもの頃は争いごとが多く、何度も引っ越しては、そのたびに一からやり直した。だから音楽を聴き、本を読んで、その重圧から逃れる時間が長かったのだ、と。
"'Pressure Makes Diamonds' is about all the generations struggling to find their place in the nowadays world."(「Pressure Makes Diamonds」は、いまの世界で自分の居場所を見つけようともがく、あらゆる世代についての曲だ)2
Beatportの表示では124 BPM、Bbマイナー、ジャンルの欄はDeep House。3
公園の日曜日
発売から4日後の6月30日、日曜日。フォラモールはリヨンのジェルラン地区にあるパルク・デ・ベルジュ(Parc des Berges)で、午後4時から10時まで無料の野外パーティーを開いた。リヨンのニュースサイトLyon Capitaleのレオ・オリヴィエリ(Leo Olivieri)は5月の告知の記事で、初めての舞台から10年、最初の観客への礼の形だと書いた。4 本人はDJ Magに、リヨンは「アーティストとして育つのを見てくれた街」で、まだ今の自分でなかった頃に支えてくれた、と話している。2 2日後、地元のクラブ情報サイトLyon Clubbingは、7,000人から1万人が集まり、彼のディスコ・ハウスで踊ったと書いた。5
翌2025年6月13日のアルバム『Movement Therapy』で、この曲はアルバムを先導した単曲として収められた。Billboardによれば、このアルバムの曲はすべて、初めて出来かけの段階からクラブで試したという。1 ほぼ一年前に出ていたこの曲も、彼のセットでかけられ続けていた。
リートの記事は、この曲をかけることが、彼にとって古い習慣をかき混ぜるもう一つのやり方にもなっていると書く。1 引っ越しのたびにやり直した子どもの話から始まった曲が、ふだんと違う音でセットの流れを変える役を負っている。リートの記事とDJ Magの談を重ねて引く読みで、本人がそう結びつけたわけではない。前の年、ロンドンのクラブが閉じる日のフロアにいた彼の話は「Poundland Anthem」にある。
出典・注
[1] Elias Leight, Folamour 'Felt Dead Inside' – His New House Album Revived Him, Billboard(Yahoo Entertainmentに転載されたもの)、2025年6月13日。泣きそうになる箇所、本人の言葉(直接引用はここから)、アルバムの先導曲であること、全曲をクラブで試したこと、古い習慣をかき混ぜるという記者の地の文に使った。Billboard本誌の頁(同じ記事)は取得できず、転載で読んだ。泣きそうになる話は記者の地の文で、本人の直接の言葉ではない。記事は彼の拠点をパリとしている。拠点は資料で分かれる(2023年のMixmagは地元をマルセイユ、DJ Mag[2]はリヨンを「hometown」と書く)。本文は育った街として、リヨンと書いた。
[2] Olivia Stock, Folamour shares new single, 'Pressure Makes Diamonds', via All Night Long: Listen, DJ Mag、2024年6月25日。10周年の最初の発表であること、最初のEP、本人の声、子ども時代と曲の主題についての本人の言葉(直接引用はここから)、野外パーティーについての本人の言葉に使った。曲の初出しの記事(プレミア)。記事はAll Night Longを、作り手にとって意味のある都市をめぐる単曲を出すフランスのレーベルと紹介している。
[3] Beatport, Pressure Makes Diamonds (Original Mix), 曲のページの表示。BPM・キー・ジャンルに使った。長さ5:44、レーベルAll Night Long、発売6/26/24の表示。
[4] Leo Olivieri, Lyon : le DJ Folamour organise un open air gratuit en juin, Lyon Capitale、2024年5月9日。日時・場所・無料であること、最初の観客への礼という記述(記者の地の文)に使った。開催前の告知記事。
[5] La rédaction, Carton plein pour le dj Folamour au parc des Berges à Lyon, Lyon Clubbing、2024年7月2日。人出(7,000〜10,000人)に使った。記事は、催しが「Entre Rhône et Saône」の祭りの枠で、Artfeastという集団が組織したと書く。その日のセットでこの曲がかかったかは記事に書かれていない。