トーク ・ DJ と職業音楽家
Sad Night Dynamite「Sugabby」──曲の外にも、作る仕事がある
DJこの日の五曲には「All You Children」と「Sugabby」がいる。「Sugabby」は二分二十八秒。ライブラリのSad Night Dynamiteは、この一曲から辿れる。
音楽家Qobuzの紹介を読むと、Archie BlagdenとJosh Greacenは幼なじみの二人組なんだね。別々の大学へ進んでも、オンラインでビートやメロディを送り合って、そこへ声を加えていたと書いてある。
DJ同じ部屋にいるところだけが出発点じゃない。そのあとロンドン東部で一緒に暮らすようになった、という紹介まで続く。
音楽家僕は、相手が送ってきたものへ声を足すというやりとりに関心がある。自分だけで完成させる前に、もう一人へ渡す。その往復から曲を作る感覚を探してみたい。
DJ「Sugabby」の映像についてDorkで話す二人は、消費が速い中で、曲を宣伝する新しい方法を見つけるのは難しいと言ってる。録音を出したあとにも、作る仕事が続くんだ。
音楽家僕にも、その悩みは身近だな。一曲を完成させることと、その曲に触れる時間を作ること。映像も含めて考えるなら、完成の後にもう一つ制作がある。
DJ二人は、ソーシャルメディアとアートを混ぜ、演劇と現実の境目を曖昧にするものを作りたかった、と話してる。AppleのJoshの解説では、ネット上の関係を演じたものを、はっきり架空の関係と呼んでる。
音楽家それを実生活の記録と思って読むより、見せ方を作った仕事として追いたくなるね。曲を開く前から人の関心を動かす演出を考えていたわけだ。
DJDorkによると、このMVの監督はGeerten Harmens。音の作り手の名前を追ったところから、映像の別の仕事へも枝が伸びた。
音楽家僕なら音だけで受け取るときと、画面を伴うときを比べたい。音の印象を映像に引っぱられることも含めて、二つの仕事がどこで重なるかを考える。
DJ僕は「Sugabby」をセットの中盤、長い曲のあとに置く。二分二十八秒の枠で、次の一曲へ選曲の向きを変える。
音楽家そこでは宣伝の筋書きから一度離れて、ビート、メロディ、声へ耳を向けたい。二人が送り合ってきた素材のやりとりを、聴く方の関心として持ち込めるね。
DJシングルの掲載発売は6月12日。8月5日の追加は、その五十四日後で、アルバム『Welcome The Night』の9月27日より前だった。
音楽家一曲を選んだあとで盤へ進む道がある。映像や宣伝を追うことと、アルバムの他の曲へ進むことを、別々の掘り方にできそうだ。
DJこの日の五曲を並べると、一曲ごとに違う名義へ移れる。「Sugabby」を選んだ事実だけでも、二人の往復、映像、盤へと寄り道が増えた。
音楽家まずは二人のやりとりを手掛かりに、この一曲の声とビートを確かめよう。それから映像を見て、音だけのときに気になった場所がどう変わるか、比べてみたい。