音になる前の希望を、音楽へ訳す
映画やシリーズの作曲家は、音を指定される前に何を受け取るのか。ユクセック(Yuksek)の「La Maison」は、同名のApple TV+シリーズのサウンドトラックに収められた、掲載尺1分15秒の曲だ。1
感情や色を、音の選択へ
2026年のNuméroの取材で、ユクセックは映画やシリーズの作曲について説明している。監督から撮影前に相談されることが多く、その希望は、具体的な曲よりも感情や色、オーケストラや、要素を絞るミニマルな表現への希望として伝えられる。それを解釈し、音楽にするのが仕事だという。2
たとえば「色」は、楽器の名前でも演奏する音の指定でもない。作曲家は相手の言葉から音の選択肢を作り、その希望と合うかどうかを確かめる。会話を音楽へ訳す段階にも、作る人の判断がある。
踊る曲を作ってきた人が、作曲へ戻る
ユクセックは、音楽院でピアノと和声を十年間学び、その後十五年間ダンス音楽へ深く入ったと振り返る。和声は、和音の組み合わせや進み方を扱う分野だ。その後、作曲や映像の作り手との協働へ戻りたいと思ったという。ただし、今も人を踊らせる音楽を作っている。2
出典・注
[1] Cinezik「La Maison (Série)」。シリーズ全体の音楽はYuksekとMoritz Reich、曲目1は「La Maison」1:15と掲載。曲別の共同担当や楽器は未確認。Qobuzの掲載尺1:14との編集上の対応も未確認。
[2] Violaine Schütz, Numéro「Yuksek nous dévoile les coulisses de la confection d’une BO de film」, 2026年6月4日。経歴と映画・シリーズ作曲の一般談。「La Maison」で監督から受けた具体的な依頼や、その曲の制作手順の説明ではない。