トーク ・ DJ と職業音楽家
Sugar Water Dub — Hollie Cook
DJ10月3日は八曲を選んだ日。「Soon Come」「World-a-Reggae Music」「Skateland Sax」と一緒に、Hollie Cookの「Sugar Water Dub」が入ってる。
音楽家Apple Musicの紹介は、この曲を意外なほど不穏な音の景色だと書く。深いサブベース、水の中のような効果音、Horsemanの低い声の差し込みを挙げてるね。
DJさらにDennis Bovellの80年代初頭の実験的な制作を思わせる、と。その比較から別の仕事へも掘り進める。
音楽家僕は、Horsemanの声もその音を作る材料として紹介されているところが気になる。声の位置を変えることを、制作の問いにしたくなる。
DJこのダブ盤について、Prince Fatty本人も話してる。歌の版に隠れていたメロディカ、打楽器、ホーンを出し、テープ・エコーと深いスプリング・リバーブを使った、と。
音楽家盤のダブは全部、自分のスタジオでライブ・ミックスしたという。コンピューターの自動化ではなく、指先と夜更けの感覚、カミソリの刃での組み直し。本人の言葉に、作業する手が出てくる。
DJ僕ならこの曲を、深夜のセットで流れを切り替える一曲に置く。Appleが書く不穏さを、まだ先へ進むための合図にする。
音楽家僕は、歌の下にあったものを表へ出すという盤の方針から考えたい。足すだけでなく、何を前へ渡すかを選び直す仕事だね。
DJPrince Fattyは別のインタビューで、制作にもDJの考え方を持ち込むと話す。サンプリングする代わりに、自分の望むように弾き直す。ホットタブ向けか、クラブ向けか、と気分の行き先を選ぶ。
音楽家作る前から、どこへ音楽を渡すかを考えてるんだね。僕には、演奏の選び方と選曲の考え方をつなぐ本人の姿勢として読める。
DJライブラリは翌10月4日に、Dubの付かない「Sugar Water」も選んでる。このライブラリではダブ版の日が先で、その翌日にもう一つの題名へ戻る。
音楽家同じ曲名へ、一日の間を置いて戻ってる。その二つを並べると、歌の版に隠れていた音を出す、という本人の盤の説明が、聴く入口にもなる。
DJ10月4日には「Milk & Honey Dub」も。二日続けてHollieの名前がある。
音楽家「Milk and Honey」は二人の出会いの話にも出てくる。Prince Fattyは、曲を作って合う声を待っていたら、Hollieが二テイクで見事に決めた、と振り返る。
DJ共通の友人が二人をつないだという話だね。ライブラリで翌日選んだ題名から、声を待っていた制作へ辿れる。
音楽家声を迎えた曲の話と、歌の版で隠れていた音を出すダブ盤の話。声とほかの材料の関係を、二つの仕事から考えられる。「Sugar Water Dub」をその間に置いて読みたい。