声を中心に組む、声の外にも推進力を読む
六曲の批評から、声を中心に組む編曲と、伴奏が生む推進力を比べる。
声を軸に集まる音
マリア・バックリー(Maria Buckley)はGoldenPlecで、「Cannibalize」の声を、付け足された質感ではなく、ほかの音をその周りへ組む中心と評している。1 声があるという事実から一歩進み、何を軸に編曲を捉えるかを示す記述だ。
同じ評者は「A Thing From Above」では、ヴォコーダーで処理された声と、明るいシンセを並べて描く。1 声を歌唱の表情として読むことに加え、加工で生まれる響きを、シンセとの組み合わせで読む余地がある。ヴォコーダーの仕組みは独立したガイドで詳しく説明している。
「Dreaming Youth」をThe Skinnyのブラム・E・ギーベン(Bram E. Gieben)は、裏声と加工された指弾きギターから描く。2 対してTexturaは、旋律の強さと物悲しさに注目した。3 指弾きは指で弦を弾く奏法だが、奏法を知ることだけで、その旋律の気分まで決まるわけではない。声と弦の手触りを描く評と、旋律が帯びる陰りを描く評を並べると、音色と感情を別の尺度で考えられる。
声を外しても残る関係
「Everything You've Done Before」の声を、落胆しながらも決意があるとXLR8Rのブランダン・ブッソリーニ(Brandon Bussolini)は評した。4 Texturaは、ヴィブラフォン、打楽器、ピアノを織り合わせた編曲に注目し、声がなくても成立するだろうと評する。3
声の表情と、編曲の推進力を別々に捉える読みだ。
Ibiza Spotlightは「Nothing Good Gets Away」のオルガンが、深い音を保つと描く。5 Texturaは、この曲と「Moments of Truth」を、合成音と打楽器群による力強い例として評した。3 低い音の持続と、打音が作る打点。高さだけでなく、どれだけ留まるか、いつ鳴るかという違いにも、曲を支える関係が見える。
タイトル曲「Changing Days」の始まりを、Resident Advisorのデレク・ミラー(Derek Miller)は、渦巻くシンセの旋律と霧のようなベースから描いた。6
一曲の中で声の扱いを比べる「Please」のエッセイと、一枚のまとまりを考える「Primative People」のエッセイも、同じ盤を読む別の角度になる。
出典・注
[1] Maria Buckley, Mano le Tough – Changing Days, GoldenPlec、2014年2月26日。曲の編曲と響きについての批評。
[2] Bram E. Gieben, Mano Le Tough – Changing Days, The Skinny、2013年2月22日。加工や奏法の描写は、演奏者のクレジットではない。
[3] Mano Le Tough: Changing Days, Textura、2013年1月。楽器名も評者による音の描写として読む。
[4] Brandon Bussolini, Changing Days, XLR8R、2013年2月26日。声の表情についての批評。
[5] Album of the week: Mano Le Tough — Changing Days, Ibiza Spotlight、2013年2月27日。
[6] Derek Miller, Mano le Tough — Changing Days, Resident Advisor、2013年3月8日。タイトル曲の冒頭の音についての評。