洋楽を望んだ人の、タイ語の一枚目
2017年6月、タイのTHE STANDARDの取材で、Violette Wautier(วิโอเลต วอเทียร์)は、本当は洋楽の歌(เพลงสากล)を作りたかったが、レーベルはまずタイ語の歌をと望んだ、と話した。その頃、ステージで歌えるのはいつも同じ曲ばかりだったという。
"มีเพลงของตัวเองจริงๆ แค่เพลงเดียว"(本当に自分の歌と言えるのは一曲だけ)1
記事はその一曲を括弧で「อยากฟัง」と補っている。ほかはカバーか、ドラマのための歌だったという。1
最初の一枚
2015年12月18日、タイのTrueIDは、オーディション番組The Voice Thailandの舞台から出たViolette(愛称วี)が、ドラマのためではない最初の自分の単曲「อยากฟัง」を出すと伝えた。記事の見出しは英題を「Whisper」と添える。記事に載ったクレジットでは、作詞・作曲はViolette本人、編曲と制作はชวิน จิตรสมบูรณ์(通称จั๊ก)。2 プロデューサーは、彼女はもともと自分で書いた歌を持っていて、デモの段階から聴きごたえがあった、自分はそれを編曲し、手直しを重ねた、と話している。2 Appleの配信では、同じ日付の単曲「Whisper」が3分8秒で、℗ 2015 Universal Music (Thailand) の表示とともに載る。3
ラジオ局Sunshine Radioのサイトに載った紹介文は、彼女がギターを手に取り、コードと旋律を弾きながら、さまざまな気分や出来事を英語で口ずさんできたと書く。そうするうちに、これこそ最初に伝えたい歌だと確信する時が来た、という流れで、この単曲を紹介している。4 新譜を知らせる宣伝の文だ。
八つめの版
2017年の取材でViolette自身は、この単曲をフォーク・ポップと呼び、とても気に入っていて、その時の自分そのものだったと振り返った。ただ、それでは足りず、もっとはっきりした自分の音楽が要ると考えた。1 次の単曲「ก็แค่ไม่มีฉัน」は、音楽の違う版を7つ作り、8つめで落ち着いた。音楽理論を知らないので、欲しい音を説明できない。音が絵に見えることが多く、グリッターが少しずつ降ってくるような感じ、と言っても相手には伝わらなかったという。1
いつまでも決まらないので、レーベルからは、この曲を飛ばして洋楽の歌に進むかと聞かれた。それこそ望んでいたことだったが、意地になってこの曲をやり遂げた、と彼女は話す。取材の時点では、作詞・作曲をすべて自分で手がけた4曲入りのEPに取りかかっていて、9月に出す予定だと語っている。1
英語で口ずさむところから歌を作ってきたと紹介された人の、最初の一枚はタイ語の歌だった。本人がその時の自分そのものだったと振り返ったその一曲のあとに、彼女は8つの版を経て、詞も曲も自分で書く洋楽の歌へ進もうとしていた。
出典・注
[1] ณัฐนันท์ เฉลิมพนัส, ‘ก็แค่ไม่มีฉัน’ ซิงเกิลล่าสุด ดนตรีในแบบวี วิโอเลต ที่แท้จริง, THE STANDARD、2017年6月10日。本人の回答(自分の歌は一曲だけ、洋楽の歌への希望とレーベルの意向、フォーク・ポップの評価、7つの版、音の説明、4曲入りEPの予定)。直接引用はここから。「フォーク・ポップ」の語は記者の前書きと本人の回答の両方にある。本人の回答の「前の曲」を「อยากฟัง」と読んだのは、前書きがこの曲を前作として挙げ、本人が自分の歌は一曲だけと言っていることによる。EPが洋楽の歌であることは聞き手の問いと前書きの記述。
[2] เบื้องหลังการถ่ายทำ MV เพลง อยากฟัง (Whisper) ซิ้งเกิ้ลแรกของ วี - วิโอเลต วอเทียร์, TrueID、2015年12月18日(仏暦2558年の表示)。最初の単曲でドラマの歌ではないこと、クレジット、プロデューサーの談話。本人がMV撮影の場で語った曲の主題は本文に用いていない。
[3] iTunes Lookup API: Whisper - Single, Apple(タイ)。releaseDate 2015-12-18、187,736ミリ秒、℗ 2015 Universal Music (Thailand) Ltd。題の表示は英題「Whisper」のみ。タイ語題の版との同一性は、発売日・長さの一致と[2]の見出しの併記による。
[4] วี วิโอเลต วอเทียร์ [Violette WautIer] Single: อยากฟัง, Sunshine Radio(パタヤ)のサイト。掲載日表示なし。新譜の紹介文(宣伝文)。