名前を伏せた奏者たちと、レコード店の戸惑い
2020年10月にMr Bongoのサイトに載った連載取材で、ザ・プロ・ティーンズ(The Pro-Teens)の曲を書くハドソン(Hudson)は、グループについてこう話した。
"I originally wanted the group to be totally anonymous"(もともとは、グループを完全に匿名にしたかった)1
レコード店で盤を手に取った人が、ドクター・ズニオ・ダーピーシュ(Dr Zunio Darpeesh)のような名を見て、このやけに本格的なティーンたちは誰なのかと戸惑う瞬間を作りたかったという。ただ、そうしたことを隠し通すのは難しい、とも認めている。1
九つの芸名
メルボルンのソウル・レーベルCollege Of Knowledgeの紹介文によれば、三枚のLPで演奏した奏者は、それぞれThe Cactus Channel、Mildlife、The Seven Ups、The Teskey Brothersといった市内の知られたグループで活動している。クレジットではそれぞれに芸名が与えられ、一度もライブをしていないことも相まって、プロジェクトはほぼ完全な匿名を保ってきた。2
2019年4月13日のレコード・ストア・デイに、レーベルは二曲入りの7インチを300枚出した。その片面が「Cold Vein」で、クレジットにはトランペットのナンシー・シャンデリア(Nancy Chandelier)、ドラムとミックスのオズ・ウォッシュルーム(Oz Washroom)、オルガンのスヌーチ・ドッド(Snooch Dodd)など、九つの芸名が役割とともに並ぶ。2 表示の長さは4分41秒だ。2
家の部屋と、共同のスタジオ
ハドソンの話では、最初の二枚は2017年、三枚目は2018年に出た。いずれも自費で、一枚目はメルボルンのフィッツロイにあった彼の古い家で、リズム隊を一つの部屋に、管楽器を別の部屋でひっくり返したダブルベッドに向けて録った。あとの二枚は、メンバーとメルボルンのほかのファンク系バンドの人たちが造った共同のスタジオで録ったという。1
「Cold Vein」の出どころは三枚目の『Thanks Team』だ。バンドのBandcampでは、2018年11月15日に出た12曲の最後に置かれ、長さは4分54秒と表示される。3 7インチの版より13秒長い。
名前の行き先
ハドソンは自分の好みを、ラップと映画的なファンク/ソウルが半々だと言う。スヌーチ・ドッドは、彼がかつての恋人と考えた架空の人物の名で、最初の三枚でヤマハのオルガンの大半を弾いた創設メンバーに贈ったものだった。2020年10月にCollege of Knowledgeから出た『I Flip My Life Every Time I Fly』を、ハドソンはこのスヌーチのソロの盤として語り、スヌーチはラップの影響が強く、盤はビートのミックステープに近いものになったと話す。1 「Cold Vein」のクレジットでオルガンの横にあった芸名を、曲を書く本人は、一枚の盤の主役として語るようになった。
出典・注
[1] Digging Deeper: An Interview With The Pro-Teens, Mr Bongo、2020年10月14日。ソングライターのハドソンの回答(匿名の意図、三枚の制作と録音場所、好み、ライブ、スヌーチ・ドッドの名の由来と2020年の盤)。直接引用はここから。ハドソンがクレジットのどの芸名に当たるかは記事に書かれていない。
[2] Full Recovery b/w Cold Vein, The Pro-Teens公式Bandcamp。College Of Knowledge Recordsの紹介文(宣伝文)、7インチの枚数と発売日(released April 13, 2019)、曲ごとのクレジットと長さ(Cold Vein 04:41)。配信では同じ組み合わせのシングルが2019年3月28日付で4分42秒と表示される(iTunes Search API、id 1458217898)。配信で見られるのは同じ題の1曲入りシングル(2020年7月31日、The Pro-Teens名義、id 1522370390)で、LPそのものではない。
[3] Thanks Team, The Pro-Teens公式Bandcamp。released November 15, 2018、12曲目 Cold Vein 04:54、「Recorded in 2018」。