夏フェスの新曲が、二十年の曲と並んで録り直される
2018年9月28日、YOUR SONG IS GOODの公式サイトは、この年の夏フェスから演奏してきた新曲「Motion」の仕上がりが素晴らしく、急きょ7インチの発売とレコ発が決まったと告げた。バンドの7インチは2005年以来だという。1 盤は10月20日に出た。それから五か月足らずの2019年3月6日に出た20周年記念盤『Sessions』では、同じ曲が、初期の代表曲から最新曲までを一日で録り終えた全10曲の6曲目に入った。23
手刷りの7インチ
YOUR SONG IS GOODは1998年1月に結成されたインストバンドで、初期はエモやメロディック・ハードコアの影響が強く、次第にブラックミュージックの味わいのダンスサウンドへ移っていった、と音楽ナタリーのプロフィールは紹介する。4 7インチはカクバリズムからKAKU-093の番号で出て、A面が「Motion」、B面が「Palm Tree(7' Mix)」、作曲はどちらもサイトウ“JxJx”ジュン。ギタリストの吉澤成友がデザインしたステンシル作品を、スリーブに手刷りした限定盤だった。1
レーベルの通販の入荷案内は、この曲を、トロピカル・フュージョン風のギターと、前作『Extended』以降のサポート奏者、後関好宏のフルート・ソロが印象に残る、昼のディスコの曲と紹介した。5 レーベル側の言葉である。
八人の一発録り
2019年1月、カクバリズムは『Sessions』を、オリジナルメンバー6人にパーカッションの松井泉、サックスとフルートの後関を加えた八人で、初期の代表曲から最新曲までを最新のライブアレンジで一発録りした盤と告げた。同じ告知は「Motion」を、前年の最新作と呼んでいる。3 発売後の音楽ナタリーの取材でサイトウは、20周年の日比谷野音ワンマンに合わせ、今の音をドキュメンタリーのように残そうとしたのが発端で、ライブ盤も考えたが、ライブの空気と細かなニュアンスを同時に伝えるにはスタジオでのセッション盤がよいと考えた、と話す。2
同じ取材でサイトウは、2013年のカクバリズム復帰以降、DJ活動で手応えを得たダンスミュージックへ出力を絞ってきたと振り返る。昔の曲も今の感覚で調理すれば新曲と共存できると考えたと言う。ダンスミュージック的な発想の曲にバンドならではのノリが入り込んできたというギターのヨシザワ“モーリス”マサトモの言葉を受けて、サイトウはそれを
「過去と現在が歩み寄ってる感じ」2
と言い表した。
タワーレコードのbounce誌で金子厚武は、「Motion」をフルート・ソロが印象的な、浮遊感たっぷりの曲と評した。6 7インチの紹介でレーベルが挙げたフルート・ソロは、八人の一発録りの版でも評者の耳に留まった。
出典・注
[1] 新作7インチレコードのリリースを記念した 自主企画「I WANT YOU BACK」の各地のゲストが発表!, YOUR SONG IS GOOD公式サイト、2018年9月28日。7インチの告知(2005年以来、夏フェスからの新曲、急きょの発売決定)、品番・発売日・曲目と作曲者・スリーブ。手刷りの詳細は10月18日の告知も参照。
[2] 宮内健(取材・文), YOUR SONG IS GOOD「Sessions」インタビュー, 音楽ナタリー、2019年3月8日(全4ページ、4ページ目を含む)。発売日の表示、『Sessions』の発端、復帰後のダンスミュージックへの接近、昔の曲の調理(サイトウの回答)、ヨシザワとサイトウのやりとり(直接引用は4ページ目から)。「Motion」への個別の言及はない。
[3] YOUR SONG IS GOOD 20周年記念盤『Sessions』のリリースが決定!, カクバリズム、2019年1月16日。八人の編成、一発録り、曲目(6曲目 Motion)、発売日2019年3月6日、「最新作『Motion』」の表記(レーベルの告知文)。
[4] YOUR SONG IS GOOD「Sessions」インタビュー, 音楽ナタリー。ページ末尾のアーティスト・プロフィール(編集部の文)。
[5] YOUR SONG IS GOOD『Motion』入荷しました。, カクバリズムデリヴァリー、2018年10月20日。7インチの入荷案内(レーベル通販の宣伝文)。
[6] YOUR SONG IS GOOD『Sessions』, タワーレコード・オンライン。bounce vol.424(2019年2月25日発行号)掲載の金子厚武の評、曲目表示(6曲目 Motion 00:06:18)。