二、三割のところで渡す
2017年7月20日掲載のDazedの取材で、マウント・キンビー(Mount Kimbie)のカイ・カンポス(Kai Campos)は、共作者との曲の作り方を説明した。アイデアはたいてい二、三割できたところで相手に聴かせ、相手の反応と衝動をもとに残りを一緒に組み立てる。そうすれば相手は最後に加わるのではなく、曲の成り立ちそのものに入る、という。相方のドム・メイカー(Dom Maker)は、仕上がったインストを送れば、自分たちの感じ方を必要以上に押しつけることになると添えた。1 三枚目のアルバム『Love What Survives』の2曲目「Blue Train Lines」と4曲目「Marilyn」12は、その渡し方の具体例になる。
一年ループしていた線
カンポスによれば、「Blue Train Lines」はシンセサイザーMS-20で弾いたごく単純な一行から始まり、ベースギターと組んだループのまま一年ほど放ってあった。それをアーチー(Archy Marshall、キング・クルール King Krule)に聴かせると、彼が面白がって先へ進めたがったという。1 アルバムが出た9月8日2に載ったCrack Magazineの全曲解説では、ネットで彼の音楽を知り、Corsica Studiosでの公演に行き、そのあとメールを送ったのが2012年か13年だったと振り返る。曲は、ごく早い段階のアイデアを渡し、普通のバンドのように投げ合って組んだという。3 キング・クルールは2013年の前作にも参加していた。1
1分の版
「Marilyn」は2017年5月、4月の「We Go Home Together」に続く曲として出た。45 同じ全曲解説でカンポスは、ミカ・リーヴァイ(Mica Levi)、つまりミカチュー(Micachu)がスタジオに来て、おそらく1分ほどの版を聴き、アイデアがあると言ってすぐに大量の歌を書いて録ったと話す。
"Again this then led how we wrote the song."(ここでもまた、それが曲の書き方を導いた)3
同じ記事で、別の曲に使ったKorgのリズムマシンDDD-1がこの曲にも使われたことに触れている。3 Dazedでメイカーは、リーヴァイをずっと仰ぎ見てきた人と呼び、彼女のバンドMicachu & the Shapesのドラマーのマーク・ペル(Marc Pell)が、自分たちのライブのドラマーだと話している。1
テクノになった方
2018年3月、Mixmagは、ニーナ・クラヴィッツ(Nina Kraviz)による「Blue Train Lines」のリミックスを伝えた。6 本編にDJ用の道具版二つを加えた『Love What Survives Remixes - Part 1』は、公式Bandcampでは5月11日の発売だ。7 9月28日には『DJ-Kicks』が出て、この版が8分6秒で21曲目に入った。8 Resident Advisorのレイ・フィルプ(Ray Philp)は、これを二人の最初の公式ミックスと呼び、クラブ音楽への二人の態度はよそよそしく見えることがあり、DJもたまにしかしないと書いた。そのうえで、終盤に置かれた、ロシアのDJによるクラヴィッツの版を、原曲のビールくさいコズミッシェ(70年代ドイツの電子的なロック)を削ぎ落とし、不穏で空洞のように響き、妙にサイケデリックな、簡素で厳しいテクノにしたと評した。9
出典・注
[1] Selim Bulut, Watch Mount Kimbie & King Krule's 'Blue Train Lines' video, Dazed、2017年7月20日。共作の進め方、「Blue Train Lines」の始まり、マーク・ペルについての二人の回答。キング・クルールが2013年の『Cold Spring Fault Less Youth』に参加していたことは記者の地の文。取材日は記されていない。
[2] Love What Survives, Mount Kimbie公式Bandcamp。released September 8, 2017、曲順と長さ(2曲目 Blue Train Lines 04:10、4曲目 Marilyn 04:06)。
[3] Theo Kotz, Mount Kimbie talk us through 'Love What Survives', track by track, Crack Magazine、2017年9月8日。カンポスによる全曲解説。「Blue Train Lines」と「Marilyn」の項(直接引用は「Marilyn」の項から)。DDD-1は「You Look Certain (I'm Not So Sure)」の項で「also on Marilyn」と書かれている。
[4] Rachel Cohen, Mount Kimbie team up with Micachu for new song 'Marilyn', Dazed、2017年5月10日。先行曲の順序(記者の地の文)。記事にはカンポスのプレスリリースの言葉(宣伝文)とマーク・ルボン監督のビデオの紹介もある。
[5] iTunes Lookup API: Marilyn (feat. Micachu) - Single, Apple。2017年5月11日、℗ 2017 Warp Records。
[6] Cameron Holbrook, Nina Kraviz shares a blistering remix of Mount Kimbie's 'Blue Train Lines', Mixmag、2018年3月22日。リミックス盤の告知と、二つのDJツール版(記者の地の文)。
[7] Blue Train Lines (Nina Kraviz Main Mix), Mount Kimbie公式Bandcamp。『Love What Survives Remixes - Part 1』、track released May 11, 2018。Appleでは本編(Main Mix)が2018年3月22日に単独のシングルとして出ており、道具版二つ(Tool 1/Tool 2)の日付は5月11日(iTunes Search API)。
[8] DJ-Kicks: Mount Kimbie, Mount Kimbie公式Bandcamp。released September 28, 2018、21曲目「Blue Train Lines (Nina Kraviz Remix)」08:06。Appleの『DJ-Kicks』収録行もMain Mixと同じ486,303ミリ秒(約8分6秒)で、同じ版と見られる。
[9] Ray Philp, Mount Kimbie - DJ-Kicks, Resident Advisor、2018年10月31日。二人のクラブ音楽への態度、最初の公式ミックスであること、クラヴィッツの版の評(評者の記述)。