アフロパンクの盤から、最初に出たディスコ
2019年9月、Le Droitの記事で、ソウルジャズ・オーケストラ(The Souljazz Orchestra)を率いるピエール・クレティアン(Pierre Chrétien)は、新作『Chaos Theories』をアフロパンクへの取り組みとして語った。多くのアフリカ系米国人の音楽家がパンクへ向かうのを見て、自分に問うたという。
« Si nous autres, on devait s'attaquer à l'afro-punk, comment on ferait ça ? »(もし自分たちがアフロパンクに取り組むなら、どうやる?)1
答えは、ファンクの要素が薄いセックス・ピストルズやラモーンズではなく、もっとファンキーなザ・クラッシュの方へ向かうことだった。同じ記事で記者のイヴ・ベルジュラ(Yves Bergeras)は、トランプ大統領に矢を向けた「House of Cards」を、猛烈にディスコなビートの曲と書いている。1 Apple Musicの表示では、アルバムに先立って出た四つのシングルの最初が、この曲だった。2
二年前の80年代の機材
楽団はオンタリオ州オタワの集団で、クレティアンは主な作曲者であり編曲者だ。3 公式サイトの紹介によれば、2017年の前作『Under Burning Skies』で、楽団は初めて80年代のシンセサイザーと初期のドラムマシンを持ち出し、ローファイなディスコ、ブギー、エレクトロの手触りを管の編曲に加えた。4 Le Droitの取材でもクレティアンは、新作にはこの40年に発想を得た、80年代のパンクやディスコやブギーを思わせるものがあると話し、「Police the Police」のクーペ・デカレ、「Charlie Foxtrot」のダブステップやトラップを新しい要素に挙げた。1 パンクの気構えと前作からのディスコの手触りが、同じ盤に並んでいる。
先に出た5分11秒
シングルはAppleの米国ストアで2019年7月9日付、続いて「General Strike」「Well Runs Dry」「Police the Police」が出て、アルバムは9月13日にStrutから出た。23 「House of Cards」は9曲の3曲目、5分11秒で、Qobuzの表示では作曲、作詞、制作のいずれもクレティアンだ。35 配信店Beatportはこの曲を「Nu Disco / Disco」と「Funk / Soul」に分類し、114BPMと表示する。6 公式Bandcampの紹介文(宣伝文)は、米国の現政権への薄いベールをかけた当てこすりを、うつりやすいディスコのグルーヴに乗せた曲と書いた。3
Exclaim!のジョシュ・ワインバーグ(Josh Weinberg)は、核戦争の危険を扱う「War Games」を、米国の役割に焦点を当てる点で「House of Cards」の姉妹曲と呼び、ディスコやニュー・ウェイヴの影響が加わって、これまで聴いたこの楽団の作品よりずっとキャッチーで引き締まった曲が並ぶと評した。7
盤はオタワのメトロポリタン・スタジオで、前の8枚も手がけたジェイソン・ジャクナス(Jason Jaknunas)と録音され、主にレコードの音のためにロンドンで仕上げられた。クレティアンによれば、そこでカッティングに使われた旋盤は、モータウンのスタジオから受け継がれ、マーヴィン・ゲイの『What's Going On』を刻んだ機械だった。ただの機械だが、とにかくクールだ、と笑顔で話したという。1
出典・注
[1] Yves Bergeras, Plaisirs manifestes de Souljazz Orchestra, Le Droit、2019年9月20日(2023年2月6日更新の表示)。アフロパンクについてのクレティアンの答え(直接引用はここから)、「House of Cards」がトランプ大統領を標的にしディスコのビートを持つという記述(記者の地の文)、新しい要素と40年の影響、録音とロンドンでの仕上げ、旋盤の話(クレティアンの言葉)。取材日は記されていない。記事は同じ機械がスティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソンの盤も刻んだという彼の話も伝えている。
[2] iTunes Search API: Souljazz Orchestra, Apple。「House of Cards - Single」2019年7月9日、「General Strike」7月23日、「Well Runs Dry」8月14日、「Police the Police」9月4日(いずれも℗ 2019 !K7 Music)。シングルの長さは311,547ミリ秒(Lookup)。Qobuzの同じシングルは「Released on 02/07/2019」と表示しており、日付の表示は店により異なる。
[3] Chaos Theories, The Souljazz Orchestra公式Bandcamp。released September 13, 2019、曲目と長さ(3曲目 House of Cards 05:11)、紹介文(Strut側の宣伝文。オタワの集団、作曲者・編曲者としてのクレティアン、曲の紹介)。紹介文に引かれた歌詞は使っていない。
[4] Records, The Souljazz Orchestra公式サイト。『Under Burning Skies』(2017)の紹介文(80年代のシンセと初期のドラムマシンを初めて使ったこと、ディスコ、ブギー、エレクトロ)。
[5] House of Cards, Qobuz。シングルの曲別クレジット(Composer, Lyricist, Producer - Pierre Chrétien)、00:05:11。
[6] House of Cards (Original Mix), Beatport。ジャンル表示、114 BPM、A Minor、5:11(配信店の分類)。
[7] Josh Weinberg, The Souljazz Orchestra: Chaos Theories, Exclaim!、2019年9月10日。アルバムの評(評者の記述)。