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2019年10月19日 追加

Low to the Street

Lord Echo、Lisa Tomlins / Harmonies ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

60年代の技法を語る作り手の一曲に、評者が聴いた80年代

2017年、ロード・エコー(Lord Echo)の三枚目『Harmonies』の発売に向けてSoundwayが出した紹介文には、本人の言葉が長く載っていた。自分の耳にはいくらか好ましくない様式、たとえばディスコやテクノの要素を取り出し、60年代の制作技法と、好きなジャマイカのレゲエ、東西アフリカの音楽、米国のファンクとソウルの手ざわりで作り直すのが、自分のやり方の一部だという。作った曲はDJのときに必ずかけて試し、何度も作り直す。

"a sound system in a room full of people doesn't lie"(人で埋まった部屋のサウンドシステムは嘘をつかない)1

前の曲に及ばない曲なら、最初の5秒でそれが分かるという。

同じものを何度も作る

The 13th Floorのティム・グルアー(Tim Gruar)によれば、ロード・エコーは、ブラック・シーズ(The Black Seeds)のギタリストとして知られたマイク・ファビュラス(Mike Fabulous)ことマイケル・オーガスト(Michael August)の名義だ。Soundwayと契約してからの三部作『Melodies』『Curiosities』『Harmonies』の三枚目にあたるこの盤のために、彼はロウアー・ハット郊外の工業地区にあるプラスチック工場の最上階に3年こもったという。2

紹介文で彼は、人は違うことをしたがるが、自分は同じものを何度も作ることに関心がある、前作と同じ楽器と方法を使い、ジャケットも同じ形式にした、と述べる。この盤は主にDJのことを考えて作ったとも言う。1 ただ、DJを念頭に置いたという一節は、実は2013年11月、Okayplayerが二枚目『Curiosities』を紹介した記事にも、ほぼ同じ文で載っている。3 2017年の紹介文では、そこにレコードおたくへの言及が加わっている。14

声の主

リサ・トムリンズ(Lisa Tomlins)について、ニュージーランドの音楽史サイトAudioCultureは、地元で最も幅広く歌える歌い手の一人と紹介し、ウェリントンのディスコ・ハウス・ダブの三人組エブ(Ebb)の前に立ったと書く。2010年、ロード・エコーは最初のアルバム『Melodies』の録音で、シスター・スレッジ(Sister Sledge)の「Thinking Of You」をディスコ・レゲエに直した版を彼女に頼んだ。以来、彼女は三枚すべてに参加し、何度かの日本ツアーにも加わったという。5 2017年の紹介文でロード・エコーは、その歌唱を前作からのヒットと呼んでいる。1

「Low To The Street feat. Lisa Tomlins」は、公式Bandcampでは2017年4月7日に出た『Harmonies』の10曲の5曲目、5分8秒だ。6 グルアーは、アーディジャ(Ardijah)流のポリ・ファンクの片鱗が見えるとびきり陽気な曲と呼び、ネオンの光る80年代のコンピレーションからそのまま抜いてきてもおかしくないと書いた。2 60年代の技法で作り直すと本人が語った盤の一曲に、評者は80年代を聴いた。ディスコが演奏され、切り取られ、作り直されてきた道筋は、「ディスコ」の特集で扱っている。

出典・注

[1] Lord Echo "Harmonies" (Soundway Records), Music Is My Sanctuary、2017年4月7日。Soundway経由の紹介文の転載に載ったロード・エコーの言葉(同じものを作ること、DJとレコードおたくを念頭に置いたこと、ディスコやテクノを作り直すやり方、DJでの試し、共演者の紹介と「Thinking Of You」)。直接引用はここから。紹介文の同じ言葉は1月27日の[4]に既に載っており、書かれた日付は記されていない。本人は「Thinking Of You」を「the last record」からのヒットと書いているが、[5]とAppleの表示では2010年の最初のアルバム『Melodies』の収録。

[2] Tim Gruar, Lord Echo – Harmonies (Soundway), The 13th Floor、2017年6月9日。人物と三部作、制作の場所と期間、参加者、「Low To The Street」の評(評者の記述)。

[3] Audio Premiere: Lord Echo - Curiosities [Rich Medina Album Mix], Okayplayer、2013年11月19日。『Curiosities』の紹介と、DJを念頭に置いたという本人の言葉。

[4] Soundway to release Lord Echo's third album Harmonies on vinyl, The Vinyl Factory、2017年1月27日。『Harmonies』の告知と本人の言葉([1]と同じ紹介文の系列で、独立した証言には数えない)。記事がトムリンズの「Thinking Of You」を前作(the last album)の曲とするのは、[1]の本人の言い方と同じ。

[5] Martyn Pepperell, Lisa Tomlins, AudioCulture、2023年6月7日。経歴、エブ、『Melodies』での「Thinking Of You」、三枚すべてへの参加と日本ツアー(筆者の地の文とトムリンズの回想)。

[6] HARMONIES (3rd Album), Lord Echo公式Bandcamp。released April 7, 2017、10曲の曲目と長さ(5曲目 Low To The Street feat. Lisa Tomlins 05:08)、アルバム全体のクレジット(Producer: Lord Echo、追加の演奏者の一覧。曲ごとの担当は書かれていない)。

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