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2019年12月14日 追加

Didi

Khaled / Best Of ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

小さなMIDIの部屋で、アメリカの注文を受けて

ドン・ウォズ(Don Was)と組む5曲、その一つが「Didi」だが、それを作るとき、ハレド(Khaled)はウォズに、もっとアメリカ的な音を求めた。ウォズの方は、音楽をアメリカ風にしてほしいという依頼が、自分にはいちばん気が進まない点だったと笑って振り返る。英Sound On Soundの1997年10月号で、ポール・ティンゲン(Paul Tingen)が、その年の5月にロンドンでハレドから、ロサンゼルスの自宅にいたウォズからは電話で聞いた話だ。1

家のデモと、アメリカの注文

記事によれば、ハレドは1960年にアルジェリアの港町オランで生まれ、14歳で最初の録音をした。80年代にはライの王と呼ばれ、作品を、当時のアフリカや地中海の国々で一般的だったカセットで出していた。パリへ移り、レーベルBarclayと契約した際に、若者を意味する「Cheb」を名前から外したという。1

ハレドの話では、Barclayが示した候補の中からウォズを選び、鍵盤奏者ムスタファ・カダ(Mustapha Kada)と自宅で作ったデモを持ってロサンゼルスへ行った。ウォズは、デモがよくできていて足すものはないと言ったが、ハレドはもっとアメリカ的な音と、ウォズ自身のベースを望んだ。ウォズは、86年から87年にWas (Not Was)の欧州ツアー中にハレドのカセットを買っていて、ドラムマシンやシンセを伝統的な打楽器や四分音と組み合わせる奇妙なやり方に惹かれていた。依頼を受け入れたのは、誰も聴いたことのない音楽を作ってみようと考えたからだという。1

ウォズは、細かくは覚えていないとしつつ、ふだんドラムを組むLinn 9000とMacintoshを使い、主に自分で組んだ音や自分のレコードからサンプリングしてループにしたと話す。

"working till you find something new that's made of something old"(古いものからできた新しいものが見つかるまで作業する)1

ループの使い方を、彼はそう説明している。Was (Not Was)の面々に、カダと打楽器奏者モフセン・シェントゥフ(Mohsein Chentouf)が加わり、小さなMIDIの部屋で、ウォズは卓の後ろでベースを弾き、ハレドはライブ・ルームで歌った。ハレドの側は、機械の奴隷になるなと言われたが、土台にはコンピューターのドラム・ループを使い、鍵盤で叩いたドラムと生の打楽器を重ねた、と話す。1

百万枚のあと

記事は、1992年のアルバム『Khaled』の半分をマイケル・ブルック(Michael Brook)が、5曲をウォズが手がけ、その一つ「Didi」が49か国でヒットし百万枚以上売れたと書く。1 Appleのデータでは、その盤の1曲目の「Didi」は約5分、2007年のCapitol Music Franceの編集盤『Best Of』の1曲目は約4分59秒である。23 翌1993年の『N'ssi N'ssi』で、ハレドは「Didi」のように機械も使おうと言ったが、ウォズに、アメリカではもう誰も機械を使わないと止められたと振り返る。ウォズの記憶では、それは通訳の途中で何かが抜け落ちたのかもしれず、ループはあちこちに残っているという。1

出典・注

[1] Paul Tingen, KHALED: Algerian Rai Music, Sound On Sound、1997年10月号(ページ表示「Published October 1997」)。ハレドへの取材はその年の5月(本文の「Last May」)、ウォズは電話取材。経歴、デモとウォズの起用、録音の方法(ハレドとウォズそれぞれの言葉、直接引用はウォズの言葉から)、『Khaled』の担当の分け方と「Didi」の売上(記者の地の文)、『N'ssi N'ssi』の録音についての二人の言葉。1992年当時の発言ではなく、1997年の回想。

[2] iTunes Lookup API: Khaled, Apple。盤の日付1992年1月1日(仮置きの日付の可能性がある)、℗ 2021 Capitol Music France、1曲目「Didi」のデータは300秒(丸めた値)。

[3] iTunes Lookup API: Best Of, Apple。This Compilation ℗ 2007 Capitol Music France、15曲、1曲目「Didi」のデータは299秒(丸めた値、曲の日付表示は1992年)。[2]と同じ録音かは確かめていない。

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