ビートの盤に置かれた、ギターの一曲
「2016年8月」と署名して公式Bandcampに載せた説明文で、南アフリカ・ケープタウンのフェリックス・ラバンド(Felix Laband)は、四曲入りのEPの表題曲「Bag of Bones」を、明かりを消した暮らしへの自分のバラッドと呼び、こう続けた。
"Just me and my guitar."(僕とギターだけ)1
そこにシェーン・クーパー(Shane Cooper)がコントラバスを加え、曲に息を吹き込んでくれた、とも書いている。1 2013年2月にAfrica Is A Countryに載り、2015年にMusic In Africaが再掲したトセリソ・モナヘン(Tseliso Monaheng)の記事によれば、クーパーはケープタウンを拠点にジャズのバンドで弾くベース奏者で、カード・オン・スポークス(Card On Spokes)の名で電子音楽も作る。記事の時点で、Standard Bank Young Artist Awardのジャズ部門を受けたばかりだった。2
同じEPの、ほかの三曲
EPは2016年9月30日に出た。Appleの表示ではCompost Recordsの盤で、この曲は2曲目、6分5秒。12インチではA面の2曲目に置かれ、6分3秒と表示される。13 ほかの三曲について、ラバンドの説明文は、カードでいかさまをした男を殺すスタッカーリー(Stakerlee)への頌歌で、ジム・ジョーンズ師の説教も聞こえる「Righteous Red Berets」、そのルーク・ヴァイバート(Luke Vibert)によるリミックス、2002年の自分のクワイト・ベースの曲を、1960年のソウェトのトイトイのサンプルを軸に組み直した「Donkey Rattle – Kill The Boer」と説明する。曲名にヴァイバートの名がある版は「Righteous Red Berets」のリミックスで、「Bag of Bones」の別版ではない。1
公開日の2016年9月30日、南アフリカのBubblegum Clubでクリストファー・マクマイケル(Christopher McMichael)は、挑発的な曲名に最初は身構えたと書きつつ、政治的な背景に囲まれたこの盤でいちばん満たされるのは親密な表題曲だと評した。クーパーとの温かい共作で、緊張や衝突を脇に置いた、牧歌的な感触があるという。4
ビートから離れる話のあとで
発売の一週間前、2016年9月23日に公開されたSuperbalistのディラン・ミューレンバーグ(Dylan Muhlenberg)の記事で、ラバンドは、自分の経歴のほとんどはビートのためのものだったと振り返り、これからはずっとアンビエントな、ほとんどクラシックのような場所で作りたいと話した。また歌うのが楽しみだ、とも言っている。記事によれば、彼は2015年の『Deaf Safari』を意識して政治的な盤にし、落ち着いたビートを作ることに飽きていた。ビートに別れを告げる四部作の構想もあるという。5
ビートへの別れを語った記事の一週間後に出た盤の中で、ラバンドが自分とギターだけの曲と説明したのは、この表題曲である。
出典・注
[1] Bag Of Bones EP, Felix Laband公式Bandcamp。released September 30, 2016、デジタル版の曲目(2. Bag Of Bones 06:05)、12インチの曲目(A2. Bag Of Bones 6:03)、「(Felix Laband | August 2016)」と署名された説明文(各曲の説明、クーパーの参加。直接引用はここから)。
[2] Tseliso Monaheng, Interview: Shane Cooper, Music In Africa、2015年6月17日の再掲。初出はAfrica Is A Country、2013年2月7日(ページ末尾の表記)。クーパーの紹介と受賞(記者の地の文。受賞は2013年の時点で「Recently」)。
[3] iTunes Lookup: Bag of Bones - EP, Apple。℗ 2016 Compost Records、発売日 2016-09-30、2曲目 Bag of Bones 365,695ミリ秒。
[4] Christopher McMichael, Felix Laband- Digging Up The Dead, Bubblegum Club(アーカイブ)、2016年9月30日(ページの公開日データ)。EPの評(評者の記述)。
[5] Dylan Muhlenberg, Bag of Bones, Superbalist(The Way of Us)、2016年9月23日(Internet Archiveの2019年の保存版で読んだ。元のページは自動取得を拒否)。ラバンドの発言(ビートとアンビエント、歌うこと、『Deaf Safari』)と、四部作の構想(記者の地の文)。