復刻盤の一曲目から、復帰の盤の二曲目へ
2016年10月24日、ニューヨーク市立大学大学院センターで、ギルマ・ベイエネ(Girma Bèyènè)はワシントンD.C.のフィーデル・バンド(Feedel Band)を従え、ピアノの前に座った。Afropop Worldwideのセバスチャン・バウクナイト(Sebastian Bouknight)は、その晩の曲の振れ幅を、古いカントリーと50年代のツイストの間のような曲と、この「Ené Nègn Bay Manèsh」のような曲とで示した。
"smooth tunes with roots in jazz"(ジャズに根を持つ、なめらかな曲)1
記事は彼を、エチオピアの黄金期にもっとも多くの曲を書き、編曲した一人とし、歌い手としての録音は数曲しかないと書く。妻を1984年に亡くして長く音楽を離れ、ワシントンでガソリンスタンドの係員をしていたこと、2017年に盤を出す予定であることも伝えている。1 2017年1月に出た盤では、同じ曲をパリのバンドが伴奏している。
復刻盤で出会ったバンド
Buda Musiqueの編集盤『Éthiopiques, Vol. 8: Swinging Addis (1969-1974)』は、この曲で始まる。Appleのデータでは約4分2秒で、同じ盤にはギルマの「Sét Alamenem」「Enkèn Yèlélèbesh」「Yebèqagnal」も入っている。2 シリーズを監修するフランシス・ファルセト(Francis Falceto)の文によれば、ギルマは1981年、亡命中のプロデューサー、アムハ・エシェテ(Amha Eshèté)に招かれた米国ツアーからそのまま戻らなかった。初めての帰国は2008年5月、ギルマと、80年代に亡命したサックス奏者たちを讃えたアディスアベバの音楽祭に招かれたときで、以後はアディスに住んだ。シリーズの刊行で世界に得た聴き手の筆頭が、アカレ・ウベ(Akalé Wubé)の面々だったという。3
アカレ・ウベは、Éthiopiquesの復刻で知った曲を編み直そうと2008年10月に集まったパリの五人組だ。4 催し情報サイトLyloには、2015年9月25日付で、パリのスタジオ・ド・レルミタージュでの両者の公演が載っている。5 Éthiopiquesの公式Bandcampの紹介文(宣伝文)は、レルミタージュでのある年の9月の公演を、25年の空白の後の復帰とし、続いてファルセトの指揮で録音したと書く。6
パリで録り、ニューヨークで歌う
『Éthiopiques 30: Mistakes on Purpose』のクレジットでは、録音はパリのスタジオ・プラド、編曲はすべてアカレ・ウベ、ギルマはピアノと歌で、曲番号の指定でこの2曲目にはエルワン・ルフェル(Erwan Loeffel)が打楽器で加わる。公式Bandcampでの長さは4分24秒。3 Appleのデータでは約4分21秒、盤の日付は2017年1月20日だ。7 復刻盤のギルマの他の3曲の題も、2曲はそのまま、1曲は「Feqer Endè Krar (Yebèqagnal)」の括弧の中に、この盤の曲目に見える。3曲目には、綴りの違う「Muziqawi Silt」が続く。3
冒頭のニューヨークの晩は、盤が出る三か月ほど前のことだ。記事によれば、ギルマが加わらなかった曲で、バンドは彼の「Musicawi Silt」を演奏した。記者はそれを、おそらくもっともカバーされたエチオピアの曲と呼び、バンドが輝いたと評した。1
出典・注
[1] Sebastian Bouknight, Two Greats of Ethiopia's Golden Age: Mahmoud Ahmed and Girma Beyene, Afropop Worldwide、2016年10月27日。10月24日の公演の記事(記者の地の文)。ギルマの紹介、妻の死と音楽からの離脱、ガソリンスタンドの仕事、2017年の予定、「Ené Nègn Bay Manèsh」についての記述(直接引用はここから)、「Musicawi Silt」の演奏。この晩の演奏はパリの盤の録音とは別。
[2] iTunes Lookup API: Éthiopiques, Vol. 8: Swinging Addis (1969-1974), Apple。℗ 2005 Buda Musique、21曲、1曲目 Girma Beyene「Ené Nègn Bay Manèsh」242,453ミリ秒、14〜16曲目がギルマの3曲。1曲目の日付は盤と同じ2004年7月4日。一部の曲には1972年の日付が付くが、録音年とは示されていない。
[3] Éthiopiques 30 - Mistakes on Purpose, Akalé Wubé公式Bandcamp。曲目と長さ(2曲目 04:24、3曲目 Muziqawi Silt 06:26)、クレジット(録音 Pierre Dachery & Viktor Gourarier at Studio Prado, Paris、All arrangements by Akalé Wubé、Artistic production: Francis Falceto、Erwan Loeffel - percussions 2,3,4,5,6,12)、released January 13, 2017。紹介欄の「Girma Bèyènè & Akalé Wubé by Francis Falceto」の文(ファルセトの署名文。1981年のツアー、2008年の帰国、アカレ・ウベについて)。
[4] Akalé Wubé, Africultures(グループ紹介、仏英併記)。2008年10月の結成と、Éthiopiquesの復刻で知った曲を編み直すという方針(紹介文中のバンドの言葉)。
[5] Akale Wube Feat. Girma Beyene - Studio de l'Ermitage, Lylo(公演情報サイト)。「Vendredi 25/09/2015」の告知。開催の記録ではない。
[6] Mistakes On Purpose, Ethiopiques Series公式Bandcamp。紹介文(宣伝文。「last September」のレルミタージュ公演、ファルセトの指揮での録音)、released January 23, 2017。紹介文の書かれた年は記されていない。
[7] iTunes Lookup API: Mistakes on Purpose (Ethiopiques 30), Apple。盤の日付2017年1月20日、℗ 2016 Prado Records(本文では使っていない)、14曲、2曲目 261,240ミリ秒。発売日は目録ごとに1月13日・20日・23日と異なる。