地下鉄の歌い手が、ラジオで知られた一曲
2024年10月、モンペリエでの公演を前にHérault Tribuneのシリル・デュラン(Cyril Durand)の取材を受けたズーフリ・マラカス(Zoufris Maracas)のヴァンサン・サンチェス(Vincent Sanchez)は、始まりを振り返った。仕事を探す代わりに、テラス席で歌って一日30〜40ユーロほど稼ぎ、寒くなるとパリの地下鉄へ潜って、一日4〜6時間歌った。それを3、4年、先の見通しもなく続けたという。
"Une fois que tu as goûté à la liberté, tu ne peux plus faire demi-tour."(一度自由を味わったら、もう引き返せない)1
そして最初のアルバム『Prison dorée』を出し、最初の成功はRadio Novaが「Et ta mère」をかけたときで、それで知られるようになった、とサンチェスは続ける。1
二人と、クレジットの四人
劇場Le Phareの2016年の公演紹介は、グループを、セート出身の幼なじみ二人、サンチェス(通称ヴァンズ Vin's)とヴァンサン・アラール(Vincent Allard、通称ミショ Micho)が2007年にパリで再会して組んだ、と紹介する。地下鉄を離れてスタジオでの録音を始め、ドラムのフランソワ・コース(François Causse)らが加わり、2011年に最初のシングル「Et ta mère」、続いて6曲入り、2012年にアルバムが出た、という。2
曲の出版社Editions Raoul Bretonの Bandcampでは、詞はサンチェス、曲はアラールとユーリ・ケトレール(Youri Ketelers)、編曲はアラール。演奏はアラールがギター、打楽器、トロンボーン、ウクレレ、サンチェスが声、ケトレールがベースと小さなピアノ、コースがボンゴと記される。3 Appleの『Prison dorée (Nouvelle édition)』は20曲入りで、2012年3月12日付、1曲目のこの曲は2分49秒だ。4
怠ける歌の隣で
Qobuzのニコラ・マジェナム(Nicolas Magenham)は、題のprison dorée(金の牢獄)を、疎外へ傾いた労働のことと読み、盤をサルコジ政権の五年の終わりの陽気なはけ口、怠けることと喜びの賛歌と評した。5 2012年4月、ウェブ誌Lords of Rockのアントニー・ゴレ(Anthony Golay)は、届いたのは6曲入りだけだと断りつつ、1曲目の「J'aime pas travailler」を怠惰の賛歌と呼び、続く「Et ta mère」を、より真面目な、よく書かれた曲で、ラジオでよくかかっていると書いた。6 働かない歌で始まる6曲の中で、名を広めたのは、評者が真面目と呼んだほうの曲だった。
出典・注
[1] Cyril Durand, Les Zoufris Maracas en concert : "Nous envoyons les gens en voyage avec notre musique", Hérault Tribune、2024年10月12日。サンチェスの答え(路上と地下鉄、Radio Novaでの最初の成功。直接引用はここから)。約12年後の回想。『Prison dorée』を2012年の最初のアルバムとする角括弧内は記者の補足。
[2] Zoufris Maracas – Radio Sing Sing, Le Phare(サン=クロン)、2016年6月16日の公演ページ。グループの紹介文(主催者側の文。出どころは明記されていない)。二人の出身と通称、2007年の再会、メンバーの加入、2011年のシングルと2012年の6曲入り・アルバム。
[3] Et ta mère, Editions Raoul Breton公式Bandcamp。「track released March 12, 2012」、詞・曲・編曲・演奏者のクレジット。同じページに載る歌詞は使っていない。
[4] iTunes Search API: Zoufris Maracas Et ta mère, Apple。『Prison dorée (Nouvelle édition)』1/20曲目 169,080ミリ秒・2012-03-12。
[5] Nicolas Magenham, Prison Dorée (Nouvelle Edition), Qobuz(販売ページの編集部の紹介文、日付なし)。題の読み、政権期との結び付け、盤の評(評者の記述)。「Paru le 12/03/2012」、Wagram Music - Chapter Two Records。
[6] Anthony Golay, Zoufris Maracas, Lords of Rock、2012年4月17日。6曲入りの評(評者の記述)。