13分と12分の曲が並ぶEPの、5分の表題曲
2014年、レーベルPan European Recordingから出たフラヴィアン・ベルジェ(Flavien Berger)のEP『Mars Balnéaire』は4曲入りで、表題曲が4分55秒、2曲目の「Océan Rouge」が13分47秒、最後の「Radio Rover」が11分59秒ある。1 長い曲が並ぶ盤の最初の5分で、評者が耳を留めたのは、歌の言葉の発音のしかただった。
言葉の発音
2014年11月3日、L'Imprimerie Nocturneのローラ・Bst(Laura Bst)は、ベルジェの名はクラフトワーク(Kraftwerk)と結び付けられることが多く、このEPを聴いてもまずそれが思い浮かぶと書いた。そのうえで、表題曲の歌詞の発音のしかたからはLCDサウンドシステム(LCD Soundsystem)の「Sound of Silver」を思い出すが、ベルジェの方がリズムはけだるい、と続ける。「Océan Rouge」にはエティエンヌ・ダオ(Étienne Daho)を聴いている。評者は、フランス語の電子音楽が可能で、しかも素晴らしいことを示す人として彼を挙げた。2
先に書き、あとで歌う
EPを出したあとの2014年9月30日、音楽ブログLe Bazarのフランソワ・ジロディノー(François Girodineau)は、スタジオにいたベルジェが質問に答えたやりとりを載せている。前書きは、この年に『Glitter Gaze』を春に、『Mars Balnéaire』を8月に出したと書く。ベルジェは最初のアルバムを作っているところで、EPと同じ素朴な手作りの勢いで、Pan European Recordingを創ったプロデューサーのアルチュール・ペショー(Arthur Peschaud)に助けられながら進め、翌年のはじめに出すつもりだという。そこにEPの曲は入れない、とも言っている。クラウトロックについては、ノイ!(Neu!)で知ったと言い、機械的なリズムの硬い枠の中に、少しだけグルーヴを置くのが好きだと話した。3
二枚目のEPで音楽に言葉を載せたのはなぜかと問われ、ベルジェはこう答えた。
"J'ai d'abord écrit, j'ai chanté plus tard."(まず書いた。歌ったのはあとだ)3
はじめは声を和声の楽器としてコーラスに使い、それから言葉が現れた。純粋にポップでありたい気持ちを電子音楽の武器と交差させていて、物語を仄めかすより語りたいから歌う、と続けている。3
出典・注
[1] MARS BALNÉAIRE EP, Flavien Berger公式Bandcamp。released June 23, 2014、PAN038、4曲の曲目と長さ(1. Mars Balnéaire 04:55、2. Océan Rouge 13:47、3. Les Véliplanchistes 05:22、4. Radio Rover 11:59)。[3]の前書きは発売を8月とする。
[2] Laura Bst, Flavien Berger nous propulse sur la station Balnéaire de Mars, L'Imprimerie Nocturne、2014年11月3日(フランス語)。EPの評(評者の記述)。表題曲の歌詞の発音とLCDサウンドシステム、「Océan Rouge」とダオ、フランス語の電子音楽についての見方。
[3] François Girodineau, Interview – Flavien Berger (septembre 2014), Le Bazar、2014年9月30日(フランス語)。前書き(二枚のEPの時期、スタジオにいた本人が質問に答えたこと)と、ベルジェの回答(言葉と歌の順序〔直接引用はここから〕、クラウトロックとノイ!、最初のアルバムとペショー)。音楽ブログの記事。「二枚目のEPで言葉を載せた」は質問の中の前提で、どのEPのどの曲かを本人は特定していない。