同じ一曲の、三つの作り直しの一つ
2021年10月13日、Deutsche Grammophon(DG)は新しいシリーズ「Fragments」を告知した。一人の作曲家の音楽を今の作り手たちに作り直してもらい、12の版を数か月かけて配信の単曲で出し、最後にアルバムにまとめる。最初に選ばれたのはエリック・サティ(Erik Satie)で、告知の時点では「Gnossienne No. 5」などの版が出ていた。次に予告されたのは、ベルリンのモノリンク(Monolink)が「Gnossienne No. 1」をもとに作った二つのトラックで、10月29日に出る予定だった。1 Appleでは、モノリンクの2曲入りの単曲は10月29日の日付で載っている。2
2022年4月の単曲
グランドブラザーズ(Grandbrothers)の「Gnossienne No. 1」は、それから半年近くあとの2022年4月22日に単曲で出た。32 エロル・サープ(Erol Sarp)とルーカス・フォーゲル(Lukas Vogel)の二人組だ。二人の2017年の曲は、「Bloodflow」のエッセイで扱った。
DGのカタログの録音情報では、この版は2021年4月にドイツのクレーフェで録られ、初出の年は2021年と記される。3 Qobuzのクレジットでは、長さは5分5秒。サープとフォーゲルがプロデューサーと作曲者に、フォーゲルはプログラミングにも名を連ね、録音とミックスはシュテファン・フェスター(Stephan Vester)だ。原盤権の表示は2021年で、DGへの独占許諾とされる。4
三組目の「Gnossienne No. 1」
3週間後の2022年5月13日、DGはアルバム『Fragments』の発売を伝えた。その記事が取り上げたのは、同じ「Gnossienne No. 1」を作り直した、フランスのキッド・フランチェスコリ(Kid Francescoli)だ。彼は、サティにとって「Gnossienne」という語は静止のひとときを含むと言い、こう説明した。
"something moving forwards yet standing still at the same time"(前へ進みながら、同時にじっと止まっているもの)5
そして夜の街を車で走る場面のサウンドトラックにしようとした、と話している。5 Appleでは、彼の版は5月13日の単曲として載り、同じ日付の12曲のアルバムでは、「Gnossienne No. 1」の版が3曲目のモノリンク、7曲目のグランドブラザーズ、11曲目のキッド・フランチェスコリの三つ並ぶ。2 出た順では、モノリンク、グランドブラザーズ、キッド・フランチェスコリの三組になる。だがグランドブラザーズの版は、モノリンクの版が予告されるより半年早い2021年4月に録られていた。31
出典・注
[1] Introducing Fragments: A new genre-bending series from DG, Deutsche Grammophon公式サイト、2021年10月13日。シリーズの説明(12の版、アルバムは2022年5月予定)、それまでの版、モノリンクの予告(レーベルの文)。
[2] Apple(iTunes Lookup API、ドイツのストア)。Gnossienne No. 1 (Monolink Remix) [FRAGMENTS / After Erik Satie] - Single(2021-10-29、2曲)、Gnossienne No. 1: Grandbrothers Rework (FRAGMENTS / Erik Satie) - Single(2022-04-22)、Gnossienne No. 1 (Kid Francescoli Rework (FRAGMENTS / Erik Satie)) - Single(2022-05-13)。アルバムSatie – Fragments(2022-05-13、℗ 2021 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin、12曲。「Gnossienne No. 1」は3曲目 Monolink Nostalgia Remix、7曲目 Grandbrothers Rework、11曲目 Kid Francescoli Rework の3つだけ)。
[3] SATIE Gnossienne No. 1 / Grandbrothers Rework, Deutsche Grammophon公式カタログ。発売日 April 22, 2022、UPC 00028948616336。録音年月(2021年4月)、録音地(Kleve, Germany)、初出年(2021)は、ページに埋め込まれた曲目データで読んだ。
[4] Gnossienne No. 1 (Grandbrothers Rework (FRAGMENTS / Erik Satie)), Qobuz(英国)。Released on 22/04/2022、00:05:05、クレジット(Erol Sarp, Producer, Composer - Lukas Vogel, Programmer, Producer, Composer - Stephan Vester, RecordingEngineer, MixingEngineer)、℗ 2021 Grandbrothers, under exclusive license to Deutsche Grammophon GmbH, Berlin。
[5] Erik Satie reimagined - 'Fragments' is out now, Deutsche Grammophon公式サイト、2022年5月13日。アルバム発売の記事(レーベルの文)と、キッド・フランチェスコリの言葉(直接引用はここから)。グランドブラザーズの版には触れていない。