本心を隠すための決まり文句を題に
2020年5月28日、DIYはラリー・ピンク・ザ・ヒューマン(LARRY PINK THE HUMAN)の新曲「MIGHT DELETE LATER」を伝え、バンドの言葉を載せた。題は、本当の意図を和らげるために人がよく使う言い回しから取ったという。打ち明けるのが怖い本当の気持ちを皮肉で覆う言葉だ、とバンドは書く。そしてこの曲を自分に気づくことについての曲と呼び、言葉は現代の不安と自意識、感情をうまく言い表せない感じや力の足りなさを語ったものだと説明した。1
二人のプロジェクト
DIYはこのバンドを、スレイヴス(Slaves)のローリー・ヴィンセント(Laurie Vincent)の新しいバンドと紹介し、前の月にデビュー単曲「LOVE YOU, BYE.」が出たと書く。1 同じ年の11月24日付で取材記事を載せたFar Outのジョー・テイサム(Joe Taysom)によれば、これはヴィンセントとプロデューサーのジョリオン・トーマス(Jolyon Thomas)のプロジェクトで、トーマスはスレイヴスの2015年のデビュー盤を手がけた人だという。2
同じ記事でヴィンセントは、最初は一人のプロジェクトのつもりだったが自信がなく、トーマスを信頼して曲を引き出してもらったと話す。スレイヴスでも歌詞を手伝ってきたが、気の利いた、ひとこまを切り取るような書き方は自分の得意ではなく、それが自分の声ではないと認める必要があった、とも言う。2
長さと、翌年のリミックス
Appleのデータでは、単曲は2020年5月28日の日付で、約3分48秒。2021年2月19日の日付で4曲入りのリミックス盤が出て、バンド自身、3QUEL、ポール・ハートノル(Paul Hartnoll)、ウルフ・アリス(Wolf Alice)のジョエル(Joel)による版が並ぶ。3
単純なことを単純に
テイサムは記事の中で、ヴィンセントがその年、パートナーを亡くしたと書いている。2 ヴィンセントは、すでに出た曲の多くは関係が失われることについてではなく、子どもができて関係が変わっていくことについて書いたものだと話した。どの曲がそれに当たるかは挙げていない。2 書き方については、こう言った。
"You can only sing what you know and write what you know,"(知っていることしか歌えないし、知っていることしか書けない)2
気持ちには単純なものもあり、それをわざとできるだけ単純に伝えている。だから陳腐さと胸に迫るものとのあいだで綱渡りをすることになる、と彼は続けた。2
出典・注
[1] LARRY PINK THE HUMAN release 'MIGHT DELETE LATER', DIY、2020年5月28日。見出し下の紹介文と地の文は編集部の記述、L23は曲についてのバンドの言葉(宣伝用の声明)。L24のビデオについての言葉は使っていない。
[2] Joe Taysom, Far Out Meets: Step into the world of Larry Pink The Human, Far Out Magazine、2020年11月24日。二人の紹介とトーマスの経歴、パートナーの死はテイサムの地の文(L25、L40)。ヴィンセントの発言はL33–34、L43、L45。直接引用はL45(発言の区切りまで)。
[3] iTunes Search: larry pink the human might delete later, Apple(英国)。単曲(1曲、228,114ミリ秒、日付欄2020-05-28)と『MIGHT DELETE LATER (REMIXED) - EP』(4曲、日付欄2021-02-19。1. LARRY PINK THE HUMAN REMIX、2. 3QUEL REMIX、3. PAUL HARTNOLL REMIX〔名義 LARRY PINK THE HUMAN & Paul Hartnoll〕、4. JOEL, WOLF ALICE REMIX)。