別の用途で録られた声の、その後
リー・“スクラッチ”・ペリー(Lee "Scratch" Perry)が亡くなったのは2021年だった。2023年2月8日、Complex UKのジェイムズ・キース(James Keith)は、この曲の先行公開の記事をその死から書き起こし、スタジオで彼と作業した最後の人々の一人として、プロデューサーのデヴォン・ジェイムズ(Devon James)を紹介した。キースによれば、ジェイムズはペリーの最後の数年に重ねたセッションを通じて、この伝説的なダブとレゲエの作り手と親しい関係を築いていた。1
四時間の録音
記事が引くジェイムズの言葉は、まず最初のスタジオでのセッションを振り返る。ペリーと過ごしたあのセッションは人生で最も深い記憶の一つで、その存在感には人を従わせる力があった、とジェイムズは言う。
"He recorded vocals for almost four hours straight."(彼はほぼ四時間、ぶっ通しで声を録った)1
セッションの終わりには全員で手をつなぎ、ペリーが祝福の言葉を述べた。すべてが現実離れしていた、とジェイムズは振り返る。1
ただ、この曲に使われた声は、この曲のために録られたものではなかった。二人で進めていた別の企画に使うつもりだったが、うまく合わなかった。ジェイムズはしばらくその声を寝かせてから、この曲を作ると決めたという。仕上がりにはとても満足していて、これまで聴いたことのあるペリーのどの音とも違うと思う、と話している。1
ハウスの側へ
キースはこの曲を、過去をなぞるのでなく、二人が根っからのハウスのジャムで出会った曲だと書いた。ダンス音楽は60年代と70年代のペリーの革新に大きな借りがあり、その上に立つ曲だ、とも。記事は、正式な発売が2月10日にRVDIOVCTIVEから予定されていると結び、これがペリーの最後のオリジナル曲になるかもしれないと書いている。1
2か月あまりのち、2023年4月20日、EDM Identityのグラント・ギルモア(Grant Gilmore)は、ジェイムズの最初のアルバム『Love Reach』を紹介した。ジェイムズはRVDIOVCTIVEの共同創設者で、アルバムは9曲入り、表題曲はペリーの声を迎え、彼が亡くなる前に録音されたものだという。2 ギルモアはこの表題曲を、友人たちと暗いダンスフロアで過ごす夜更けにぴったりの美しい曲と呼び、声から催眠的なビートまで、体を動かさずにいられないと評した。2
ここからは書き手の読みだが、ジェイムズの話では、この曲の順序は逆になっている。別の企画に収まらなかった声が先にあり、しばらく置かれたあとで、それを受け止める曲のほうが作られた。その曲の題が、2か月あまりのちには彼の最初のアルバムの題にもなった。2
出典・注
[1] James Keith, Premiere: Devon James Shares "Love Reach", A House Collab With The Late, Great Lee 'Scratch' Perry, Complex UK、2023年2月8日。元のURLは読み込みを拒否されたため、Internet Archive の2023年2月11日の保存で読んだ。行番号はこの保存の取得時のもの。ペリーの死とジェイムズの紹介はL149–151、曲の性格についての記者の評はL152、ジェイムズの言葉はL153–154(直接引用はL153の一文)、発売の予定はL155。
[2] Grant Gilmore, Devon James Delivers Debut Album 'Love Reach', EDM Identity、2023年4月20日。ジェイムズの紹介とアルバムの題はL34–44、アルバムの曲数と曲目はL49・L64–73、表題曲についての記述と評はL53。2月の単曲とアルバムの表題曲が同じ録音かどうかは確かめていない。