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2023年6月12日 追加

Dominoes

Jungle / Dominoes ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 4 分

カメラが止まったあとの踊り

2023年3月、ロンドンの二人組ジャングル(Jungle)が出した「Candle Flame」の映像は、終わり際に名前のない穏やかなグルーヴを少しだけ聴かせていた。音楽サイトSoulBounceのD-Moneyは、それが次のシングルになりそうだと見ていた。二か月後の5月23日、その約束を果たすように「Dominoes」が出た、と彼は書いている。1

オフエア

アルバム『Volcano』の14曲には、すべて映像が付いた。謎めいたテレビ局のスタジオでジャングルの映像が作られていく、という筋でつながった連作だ。二人のうちJ・ロイド(J Lloyd)ことジョシュ・ロイド=ワトソン(Josh Lloyd-Watson)は、whynowの取材(2023年8月の記事)で、踊り手たちがカメラの前と外で何を経験するかを探ったと説明し、こう続けた。2

"So 'Candle Flame' is on air, and then 'Dominoes' is off air"(つまり「Candle Flame」はオンエアで、「Dominoes」はオフエアなんだ)2

撮影が切れて休憩に入ると、踊り手たちには舞台の外の別の関係がある。それを映画『バードマン』風の地続きの撮り方で見せるのだという。2 D-Moneyの見たところ、同じ踊り手たちは揃いの黒い衣装から、楽で色とりどりの服に着替えている。一人がグルーヴを運んでセットに入り、互いのわだかまりを抱えた皆を踊りに巻き込んでいく。映像の最後には、次の曲「I've Been In Love」がまた少しだけ流れる。1

ただ一つのサンプル

Rolling Stone UKのフレッド・ギャラット=スタンリー(Fred Garratt-Stanley)によれば、『Volcano』に使われたサンプルはただ一つ、この曲に入ったグロリア・テイラー(Gloria Taylor)の「How Can You Say It」のギターのフレーズだけだという。記者は声のフックを、温かくてぼやけ、それでいて遠く、60〜70年代のモータウンの外ではめったに聴けない種類のソウルフルさと書いた。3 一方でD-Moneyは、速められ切り刻まれたクラシック・ソウルの厚いハーモニーを聴いている。1 もう一人のトム・マクファーランド(Tom McFarland)は、サンプリングが生む美学はずっと大事だったと話したうえで、こう言い添えている。

"for us, it's that ultimate challenge of 'How about we don't sample? How about we create this vision that is completely ours from top to bottom?'"(僕らにとっての究極の挑戦は、サンプルしなかったらどうか、上から下まで完全に自分たちのものを作ったらどうか、ということなんだ)3

AppleのMusicKitに登録された作曲者の欄には、二人と、盤のあちこちで歌う協力者リディア・キットー(Lydia Kitto)に並んで、ベン・ローリー(Ben Raleigh)とデイヴ・リンデン(Dave Linden)の名がある。4

二曲目と三曲目

8月26日、ジャングルは地元ロンドンのフェス、オール・ポインツ・イースト(All Points East)で主役を務めた。Rolling Stone UKの取材はその準備の最中で、記事には、ロンドン出身の自分たちにとってロンドンで演るのは特別な瞬間で、いつも緊張するけれど、いつも胸が躍る、という言葉が引かれている。3 投稿型の曲目表setlist.fmでは、その夜は「Us Against the World」で始まり、「Candle Flame」「Dominoes」と続いた。同じサイトがこのツアーの48公演から出した平均の曲目でも、並びは同じだ。56 10月26日には、シアトルのラジオ局KEXPで朝の番組の司会ジョン・リチャーズ(John Richards)がこの曲をSong of the Dayに選び、janice headleyは、その弾ける気分と温かさがアルバムの新しい方向を映していると書いた。7

マクファーランドは同じ取材で、自分たちの曲が素晴らしい踊り手たちの手で形になるのを見ると、かなり感情が動くとも話している。3 オフエアの曲は、ステージでも、オンエアの曲のすぐあとに置かれていた。

出典・注

[1] D-Money, Jungle Keeps Their Momentum Going With 'Dominoes', SoulBounce、2023年5月23日。「Candle Flame」の映像の終わりに次の曲が予告されていたこと、「Dominoes」の映像の内容(衣装、踊り手の動き、最後の予告)、ハーモニーの聞こえ方に使った。いずれも記者の見方。

[2] Hannah Mylrea, Jungle: 'Our new album is a real escape for us – and it can be the same for everyone else', whynow、2023年8月11日。14曲すべての映像と連作の筋(記者の地の文)、J・ロイドの言葉(直接引用はここから)に使った。

[3] Fred Garratt-Stanley, Jungle: 'We can literally do whatever the f**k we want', Rolling Stone UK、2023年8月8日。唯一のサンプルと声のフックの評(記者の地の文)、マクファーランドの言葉(直接引用はここから)、オール・ポインツ・イーストの準備と地元公演についての言葉(記事では話し手が明示されていない)、踊り手についての言葉に使った。サンプル元の曲名は記者の記述で、盤のクレジットとは照合していない。

[4] Dominoes, Apple MusicKit(公開API)の曲の登録値。作曲者欄(Josh Lloyd Watson, Lydia Kitto, Thomas McFarland, Ben Raleigh & Dave Linden)と発売日2023-05-23。曲のページ自体は収録盤『Volcano』(2023年8月11日、Caiola Records/AWAL)を表示する。欄の二人がテイラーの曲の作者かどうかは、この値からは分からない。

[5] Jungle Concert Setlist at All Points East 2023 on August 26, 2023, setlist.fm。その夜の最初の三曲に使った。利用者が書き込む曲目表。

[6] Jungle Average Setlists of tour: Volcano World Tour, setlist.fm。ツアーの平均の曲目での並びに使った。頁の注記では、67公演のうち空や極端に短い曲目表を除いた48公演から出した平均。

[7] janice headley, Jungle - Dominoes, KEXP Song of the Day、2023年10月26日。選曲者と、曲についての一文に使った。頁はレーベルを「Caoila Records」と綴っている。

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